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企業買収における政府による認可手順①

2012年06月26日 10時05分40秒 | 中国の投資環境・経済
外資は、新規外商投資企業の設立および新しい資本や設備の導入とは別に、株式買収または資産買収のいずれかの方法で設立会社の持分を購入することができます。

間接買収の場合
オフショアで行われる間接買収は株式譲渡のみとなります。間接買収がオフショアで行われると、中国政府は一般的に当該取引に対する管轄権を有しないため、独禁法関連を除き、中国側の承認を求められることはほとんどありません。

直接買収の場合
●一般的な流れ
現行中国法の下では、既存の外商投資企業の登録資本の移転を伴う取引は、新規外商投資企業の設立時と同様に、認可および登録が必要となります。商務部・地方公共機関が、国内企業および外商投資企業への外国投資に係る取引を審査し認可を与える権限を有します。国家工商行政管理局およびその地方機関(工商行政管理局)は、提案された取引が適切な審査機関により承認された後、登録手続きを行います。

●審査機関
直接株式譲渡の審査は、新規外商投資企業の設立の場合と同様です。一般的に、認可申請は、対象外商投資企業を初めに認可した機関に提出します。対象企業が外商投資企業でない場合、総投資額に応じて、申請は商務部あるいは省レベルの国家経済貿易委員会に行います。また、対象企業が「主要業種」である時、国家経済安全保障に影響を与える可能性がある時、「著名な商標」、「著名な中国ブランド」の支配に変化を生じるおそれがある時は、買収当事者は商務部へ報告しなければなりません。これに違反する場合、商務部及び関連政府部門は、各当事者に買収の中止、または国家経済保障に悪影響を及ぼさないように変更を求めることができます。
中国の法人または自然人により支配されるオフショア企業、または中国の法人もしくは自然人によって設立されたオフショア企業が、中国関連企業を買収するときも、商務部の認可を要します。また、買収当事者は、対象企業、購入者及び売主間で提携が行われているかを申告する義務を負います。

●資産評価
一般に、対象企業が既存の外商投資企業でない場合、各当事者は株式譲渡の前に株式評価を受けなければなりません。評価結果より買収価格が明らかに低い場合は買収が禁止されます。
買収が国有株の移転に係る場合、対象企業が既存の外商投資企業であるか否かに関わらず、売主は資産評価を行うべきであり、有資格の資産評価機関を任命しなければなりません。評価結果は、財務当局によって承認または登録された評価結果を買収金額の基礎としなければなりません。一般に、実際の買収価格と評価額の差が10%を超えることはできません。

●必須書類
株式譲渡の当事者は、株式譲渡契約または株式引受契約を締結します。株式譲渡または引受は、中国法に準拠しなければならず、審査機関による審査を受けなければなりません。
対象企業の定款は、必要に応じてその修正を行う必要があります。尚、対象企業が合弁企業および複数の投資者を有する独資企業についてはこれに加えて合弁事業契約書または株主同意書の修正が必要です。更に、対象企業が買収後、合弁企業または複数の投資者を有する独資企業になる場合は、新たに合弁事業契約書または株主同意書が必要となります。これらの修正または新たな会社関連文書は、株式譲渡契約の承認と同時に、審査機関の審査・承認を受ける必要があります。
その他の必要書類としては、一般に、対象企業の取締役の取締役会全員一致の決議書、対象企業の既存パートナーによる同意書および株式買権放棄書、国内有限責任公司を買収する場合には株主による全会一致の決議書が必要となります。審査機関はまた、当事者に対し、別途審査に必要な書類の提出を求めることができます。例えば、購入者の銀行資本信用証明書や株式譲渡承認決議が記載された取締役会決議書などがあります。
審査機関に提出する文書は全て中国語で書かれたものでなければなりません。中国語以外の言語の文書を提出したとしても、政府担当者は当該文書の検査を受け付けないので、認可プロセスが遅れることが予想されます。文書の公証、公認された翻訳者による翻訳の要否は、地方の慣行によるところが多いです。

●認可手順及びタイミング
必要書類を受領後、審査機関は中国語で書かれた書類を精査し、内容が不当と判断されれば変更を求められることがあります。当事者は、変更要請に異議があれば、審査機関に協議を申し入れる事が出来ます。規模、場所、認可レベル、業種、複雑性、および取引が与える影響の程度等の多様な要因が、審査機関での判断に影響を及ぼします

●国有株に関する特別手続き
外国投資者が国有株(金融機関や上場企業への国有株を除く)を購入することを計画しており、その結果、対象企業が外商投資企業となる場合、売主は下記の特別な手続きを経なければなりません。また、いかなる国有株(金融企業や上場企業への国有株を除く)の移転も、関連法令で他に定めがない限り、中国内の取引所を通じて行わなければなりません。趣旨は、取引の透明性を高め、公務員により実際価格よりはるかに安い価格で不正に国有財産が売却されることによって生じる国有財産の損失を食い止めることです。更に売主は取引所を通じて売却する株式の広告を行わなければなりません。公告期間中に購入希望者が複数現れた場合は、当該株式は競売または入札方式で売却されます。

●登録手順
対象企業は、買収の認可を受け、当該買収により変更が必要となる登録事項を修正するために、管轄地域の工商行政管理局に必要書類を提出します。

中国現地法人駐在員 高橋斉志
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特殊な株式の買収形態

2012年06月19日 11時41分46秒 | 中国の投資環境・経済
1.国有企業の買収
 中国には、いまだに多数の国有企業及び政府出資による私企業が存在し、一般的にそれらは財務問題を抱えており、再建の必要が強く望まれているものがほとんどです。外資を導入することで国有企業の再建を加速させるため、こういった国有企業の買収に関する特別法性を制定しています。その法制度の一つとして、デット・エクイティ・スワップ(DES)が用いられています。つまり、中国の債権者から対象会社の債権を買い入れ、それを将来、株式に変更する権利を取得するというものです。一般には、通常の直接買収に関する法制が適用されますが、資産評価、従業員の再配置といった問題が存在します。

2.合併
日本では合併は一般的なM&Aの手法ですが、中国では未だ一般的な形態として頻繁に利用されているとは言えません。日本と同様、合併には新設合併(A社とB社が合併してC社を設立する形態)および吸収合併(A社がB社を合併してA社のみが存在する形態)があります。合併における新設会社または存続会社は消滅会社の債権債務を包括承継し、また債権者保護手続も設けられています。
また、外国会社と中国会社間の合併は認められず、外国企業の中国子会社を通じた合併であっても、その中国子会社の出資完了および事業完了が要件となるほか、外商投資産業指導目録の遵守が要請されます。

中国現地法人駐在員 高橋斉志
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一般の買収形態

2012年06月11日 10時16分31秒 | 中国の投資環境・経済
1.直接買収
(1)直接買収とは
外資が中国対象会社の投資家から直接的に株式を取得し、または新株の引受を行う事をいいます。直接買収取引は、中国において行われるので、中国政府の承認を取得する必要があり、これには時間と費用を要し、かつ行政の影響力が非常に大きいです。

(2)長所・短所
中国企業に外国投資家がまだ参入していない場合、外国投資家にとって当該中国企業のエクイティを買収するにはこの方法しかありません。買収企業として当該中国対象企業の資産・事業につき移転すべきものとそうでないものに分別する必要がありません。そういう意味で、直接買収は、営業譲渡と比較して、日本と同様、手続き上、簡単な方法と言えます。
しかし、オフショア/間接買収と異なり、中国政府の承認を要する点は短所といえます。時間がかかる上、中国政府に株式契約の内容を調査させる機会を与えることになります。また、特に国有企業の買収においては、資産勘定要件の適用を受ける可能性があります。尚、有限責任の利益を受けるものの、偶発債務も含め全ての債務をエクイティの取得割合によって包括取得することになるという点でリスクが高いです。

2.オフショア/間接買収
(1)オフショア/間接買収とは
一方、外国企業は、中国の対象企業の海外親会社から株式の全部または一部をオフショアで取得する方法があります。ただし、この方法は、中国の対象企業が既に外資参入を許容している場合に限ります。このオフショア取引は、その海外親会社に適用される法制度に従って実施されるので、独禁法等の問題が無い限り、中国政府の承認は必要としません。但し、この海外親会社の株主が中国人であれば、中国の外国為替管理主管機関に一定の書類を提出することになります。

(2)長所短所
この手法の場合、対象会社の資産もエクイティ構造も全く影響受けることがなく、更に取引自体が完全に中国国外で行われるので中国政府の承認を要しません。従って、条件が揃えばもっとも簡易な方法であると言えます。また、対象企業の持分権者間の合弁契約によって、他の分権者からの同意が必要とされない場合があります。
ただ、条件が揃わないと意味がなく、純粋な中国国内企業には用いることは出来ません。また、この方法はエクイティ取得の場合のみ認められており、次の営業譲渡には認められません。

3.営業譲渡
(1)営業譲渡とは
外資は、中国で設立する、または既に設立した法人を受け皿として中国企業の資産の全部または一部を譲り受ける事ができます。その場合、当然ですが、中国法に基づく手続きに従って中国政府の承認を受けます。

(2)長所短所
中国法上、外資による中国企業の営業譲受けはその受け皿として、合資・合作、独資企業の設立が要求されます。外国人個人による資産取得も認められていますが、営業用資産の買収はかかる受け皿の設立が必要とされています。中国においても、営業譲渡において、原則として、対象企業の資産・負債の選択が可能という点で、営業譲渡に長所が認められます。
しかし、エクイティの取得と異なり、営業譲渡は個別の資産・負債の譲渡として構成されるので、個別の資産負債の移転に関して中国法上の形式要件を検討する必要があります。更に、営業譲受けの受け皿の設立につき、中国政府の認可が必要となります。加えて、税務上の利益享受が制限されます。

中国現地法人駐在員 高橋斉志
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