東京コンサルティンググループ・カンボジアブログ

毎週火曜日更新
カンボジアへの進出をコンサルティングしている駐在員が、カンボジアの旬な情報をお届けします。

Wiki-Investment

利益を移転できるのか?

2013年05月27日 15時51分42秒 | カンボジアの税務
こんにちは、カンボジア駐在員の市坪です。

今回は共同出資者間で利益を移転できるのかについて見ていきたいと思います。

複数の企業が共同出資で、赤字の企業Aと黒字の企業Bの2社を所有しているという例を考えてみましょう。この場合、カンボジアの税法ではこれらの2企業間では損益を相殺することができません。企業Bは法人税を納税しなければならない一方で、繰越欠損金がある企業Aでは最低代替税のみを支払うこととなります。これらの企業は当然、黒字の企業から赤字の企業へ利益を移転させ、企業Bの法人税を抑えようとします。この場合、税務局はどう対応するのでしょうか。

税法第18条によると、もし何らかの節税の動きがあった場合、税務局は関連する企業間で所得を再分配することに関して幅広い権限を有しています。
以下はその第18条の引用文です。
「法人組織であろうと、カンボジア王国内又は国内外で組織されたものであろうと、共同出資者のもと2つ以上の企業がある場合、租税管理は総所得、控除、その他の利益を企業及びそれらの共同出資者の間で、租税回避又は脱税を防ぐ目的で、若しくは企業及びそれらの共同出資者の所得を明らかに反映する目的で、必要的に配置されなければならない。
本条において、ある者が価値又は各企業の持分において20%以上を有する場合には、2つ以上の企業は共同出資者のもとにあるといえる。」

しかし実際この規定は、様々な理由で実行に移されにくくなっています。ほぼ全ての国で、共同出資者間の価格操作による課税利益の動きに対しては法規定があります。しかしカンボジアでは、収入がどのように再配分されるのか、控除されるのかということが明細に記されておらず、結局は税務局の主観的な判断に任せられていることになります。
しかし、カンボジアで企業の正確な利益を判定するのには、どの基準を用いればいいのでしょうか。
国際基準としては、共同出資者間で税の取引がされる時、アームズレング原則(独立企業間価格)が用いられます。これは、複数企業間で各企業の価格が独立していることを意味しています。言い換えると、関係していない企業同士は、自身の価格や条件を用いるべきということになります。
カンボジアでは、とりあえず税法第18条が所得移転に対して規定している根拠となっていますが、実際の事業運営ではこの国際基準を念頭に置いておくことがよいと考えます。

以上
コメント

繰越欠損金の控除額における問題点②

2013年05月21日 09時00分00秒 | カンボジアの税務
こんにちは、カンボジア駐在員の市坪です。
今回は前回に引き続き、繰越欠損金における2つのポイントを見ていきたいと思います。

①所有者の変更
利潤税プラカス9.5によると、企業の所有者の変更では、前所有者の時に負った繰越欠損金を引継ぐことができません。
プラカスでは以下のように記載されています。
「所有者を変更した場合、前の所有者が維持していた欠損金は、新たな所有者の利益に対して控除することができない。一般的に所有者の変更は、企業が売却された場合、所有者が死亡した場合、死亡者の相続人によって引き継がれた場合に行われる。」

以上のようにプラカスでは定めていますが、実務において問題が残ります。
1. もし公的に株式が取引される場合、カンボジアの企業は欠損金を繰越すことがほとんど不可能になる。
2. もしカンボジアに支店をもつ日本のグループが第三者に買収された場合、このカンボジア支店の所有者が間接的に変更されることとなるが、その場合の規定はない。

②企業の変更
繰越欠損金は企業がある事業を止めて別の新たな事業を始める時(所有者は変更せずそのまま)にもリスクを負います。

例えば、縫製事業を行なうある企業に欠損金が発生したとします。その何年後かにその企業が縫製事業をやめ、不動産事業を新たに始めたとします。その企業は今や土地の売買で多額な利益を得ています。通常、土地の取引などから生じたキャピタルゲインに係る法人所得を計算する過程で、縫製事業での繰越欠損金を考慮します。

しかし税務局の見解は、事業を変えた場合には、以前の事業で発生した欠損金を新たな事業の利益に対して控除することができないとしています。

また、利潤税のプラカス9.5には以下のように書かれています。
「事業内容に変更があった場合、その企業の古い事業は中断され、新しい企業を創設したと同様に考えられ、以前の事業の時に生じた欠損金は新たな事業の益金に対して繰越し控除を行うことができない」

実際にプラカスは、事業内容の変更があった際に欠損金が繰り越せないということしか明記していないため、企業が両方の事業を同時に行っている場合にはどうなるか定かではありません。

また、もう一つの疑問は、いつ“新たな事業”を開始したとみなすのかということです。もし古い事業と新たな事業が似ていたらどうなるのでしょうか。ある印刷会社が本の出版ではなく、オフセット印刷と資材印刷のデザインに事業変更したといったような場合、もしくは木のテーブル製造から鋼鉄テーブルの製造に変更したといったような場合が例として想定されます。
コメント

繰越欠損金の控除額における問題点①

2013年05月20日 16時49分22秒 | カンボジアの税務
こんにちは、カンボジア駐在員の市坪です。
今回は、繰越欠損金の控除額における問題点を見ていきたいと思います。

カンボジアでは、法人所得額の計算上、欠損金が生じた場合には、発生した課税年度以後5年間の繰越しが認められています。5年を超えて控除しきれなかった部分の金額については、残額が切れ捨てられることになります。
しかし、企業が再建を行った場合、もしくは売却された場合、欠損金に係るあるリスクが生じます。

カンボジアの税法によると、欠損金の繰越しは「その欠損金を発生させた企業」のみ適応されることになっています(利潤税プラカス9.5参照)。そして、この規定は税務局によって厳密に実行されています。
その欠損金を繰越している企業の所有者または株主の変更を行なうことにより、その変更分だけ繰越欠損金が減少し売却されたとみなされ、税務局はその売却された欠損金を一度益金と判断されます。

この規定の目的ははっきりしています。同じ企業に係る損金と益金は互いに相殺されるべきであるという一般的な考え方が背後にあります。
利潤税プラカス9.5を見ると、どんな企業が同じ企業であるとされるのか、またはそうでないのかについて記載されています。ここでは2つのポイントが重要となります。1つ目は、企業の所有者、2つ目は商業活動の連続性です。
次回は、この2つのポイントについて詳しく見ていきます。

今週の写真はリバーサイドと呼ばれるプノンペンの風景です。リバーサイドは多くの外国人で賑わっています。
コメント

質問:フリンジベネフィットとは?

2013年05月08日 10時00分00秒 | カンボジアの税務
こんにちは、カンボジア駐在員の市坪です。

前回は、税務監査について確認しました。
今回は、フリンジベネフィットに含まれるものを具体的に見ていきたいと思います。

日本では、個人が稼得した所得に対して「所得税」という税金が課税されます。一方で、カンボジアでは個人の所得のうち、給与所得のみを分離して「給与税」が課税され、その他の所得に対しては「利潤税」が課税されます。

給与税の課税対象は支給給与とフリンジベネフィットであり、それぞれに別々の税率が適用されます。課税対象は以下のように規定されています。

<フリンジベネフィット以外の給与>
報酬、賃金、ボーナス、残業手当、従業員貸付金及び給料の前払い

<フリンジベネフィット>
フリンジベネフィットとは、給与所得者が本来の給与のほかに受ける経済的利益を言います。簡単に言えば、会社が経済的な負担をして行う福利厚生のことです。例えば、以下のようなものが含まれます。
・社用車の個人使用
・食事や宿泊設備
・住宅手当の支給(使用人の費用も含む)
・電気、水道、電話代
・土地利率の貸付金
・社員教育費
・生命保険や健康保険料の会社負担分
・社会保険料
・福利厚生費
・社内割引販売

これらのフリンジベネフィットには一律20%の税率が課されます。
フリンジベネフィット以外の給与に関しては月間給与所得額によって税率が異なるので、詳しくはこちらの以前の記事をご覧ください。

写真はアジアハイウェイから眺める景色です。途中、牛が道路を横切りますが、車より牛優先です。
コメント

質問:税務監査はどの機関が行うのか?

2013年05月07日 16時13分09秒 | カンボジアの税務
前回は、VAT登録が必要な企業の条件について確認しました。
今回は、カンボジアでは特に注意するべき「税務監査」についてみていきたいと思います。

カンボジアの税務監査には以下の3つの種類があります。
①Desk audit 資料に基づく監査
②Limited audit 現場訪問に基づく監査
③Comprehensive audit 総合的な監査

上記のうち、①と②の監査については税務局の各担当部署によって行われます。高額納税義務者の場合、税務局のDLT(Department of Large Taxpayers)という部署が①、②の監査を行います。また、高額納税義務者とは、以下の基準を満たす企業のことを指します。
1)QIPの適用企業
2)外国法人支店または多国籍企業
もしくは
3)年次売上高が1億リエル(約25万ドル)を超える企業

税務監査のうちの③については税務局のDEA(Department of Enterprise Audit)という部署によって行われます。Limited auditとは、文字通り限定的な監査であり、VATのみ、あるいはその他2~3の税目を対象としていますが、Comprehensive auditに関しては申告義務のある全ての税について監査が行なわれます。

これら①~③の税務監査はカンボジアでは比較的頻繁に行われます。したがって企業は早ければ1年に1度、もしくは数年に1度これらの監査を受ける可能性があります。いつ行われるのかは、税務局の判断に任せられており、はっきりと定まっていません。

今週の写真はオフィスのすぐ近くにある王立プノンペン大学の写真です。校舎の前には芝生が広がり、たくさんの人が芝生の上でくつろいでいます。
コメント