水力発電において水力タービンにかかる圧力水の落差を極限まで有効に回収するための「ドラフトチューブ」を設計した例が下図です。
上図がドラフトチューブ=吸出し管と呼ばれるものです。
これは水力タービンの羽根出口の下流に取り付けられ、水力タービン羽根出口から流速を持って排出される水の流速を下げながら下差を利用して大気圧より低い状態を管内に発生してタービンランナ前後にかかる圧力差を増加させ有効に全落差を動力として吸収します。
設計として難しいところは、損失少なく流速を減ずるための管路の広がり具合をどのように決めていくかというところです。
それと上図にあるように、タービン羽根出口では円形の流路をドラフトチューブ最終出口では普通四角断面としますので、その断面変化を立体的に決めていくのが手間がかかります。
円断面から四角断面に変わる部分は、図のようにエビ継製缶構造と一般的になりますので、手間のかかる製作品です。
以上のような手間のかかる手順を踏んで出来あがったドラフトチューブの最終水力形状図が上図のようになります。
このような複雑なドラフトチューブを持つ水力発電所は、だいたい発電出力1000KW以上が多いと思います。