流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

製缶による構造設計と鋳造による構造設計

2010年10月04日 | 流体機械設計

流体機械を設計して全体構造を決める場合に常に迷うのがケーシングやドラフトチューブなどを薄板を曲げて溶接して作るいわゆる製缶品とするのか、または金属を木型から作った鋳込型に流し込み鋳造品として作るのかというところです。

例えば水力タービン吸出管いわゆるドラフトチューブであれば大きなものは鋳造では木型が巨大になり過ぎるので、下図のように薄板の製缶品がほとんどです。

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しかし割と小型の水力タービンのケーシングなどになると鋳造で作った方が価格が安くなり、しかも形状の曲面を自在に決めることも出来るなど有利な点も出てきます。

特に、例えばケーシングとガイドベーンが一体である、つまり固定ガイドベーンの場合は鋳造が相当に作り易い方式となります。

ただ木型を作る為の納期がかかり、全体の製作期間は製缶構造が有利ですが、現在は木型をNC加工でつくるようにもなったので必ずしも鋳造納期不利とは言えないかもしれません。

もちろん量産の場合は木型による鋳造が圧倒的に有利ですから、ポンプはほとんどが鋳造ケーシング+鋳造インペラとなっています。

また車用ターボチャージャーのような高速回転機でもタービンインペラやケーシングは鋳造になっているので、鋳造の技術侮りがたしというところでしょうか。

しかし量産型ポンプの中にも羽根とケーシング共にプレス板からの溶接組立というものも特に小型多段で増えていますので、量産し易くしかも流体の通り道がツルツルという利点もあり、より3次元プレスなどで動翼・静翼の高効率化が進めば相当にいいことだらけの製品になるようにも思います。

まさにどういう作り方がベストかは、それは状況によるということでしょうか。

ちょっと無責任な答えになってしまいましたが・・・