アルバム「演歌名曲コレクション17〜最後と決めた女だから〜」の掉尾を飾るのは、美空ひばりさんの「関東春雨傘」です。Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=k_ish2VaMRQ
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/138425/
この曲がひばりさんの持ち歌の中では異色の存在であることや、誕生の背景をご存じの方も多いと思います。
昭和38年、日本コロムビアの経営陣の中での方向性の違いから、中心幹部だった方が会社を退職して新たに日本クラウンを設立、北島三郎さん始めコロムビアに在籍していた多くの歌手や専属の作詞家作曲家が移籍するという分裂騒動が起こりました。五木寛之さんがこの事件をモデルにした小説を書いていらっしゃいますね。
会社を興した方は元々ひばりさんをコロムビアに招き入れた方、「リンゴ追分」や「津軽のふるさと」などひばりさんの曲を作ってこられた米山正夫さんもこの時クラウンに移籍されましたが、ひばりさんはコロムビアに残留されました。
その代わりに、新会社設立へのはなむけとして贈ったのが米山さんの作詞作曲となる「関東春雨傘」です。
ひばりさんは終生コロムビア専属の歌手でいらっしゃいましたが、「関東春雨傘」は日本クラウン発売第1号の作品として記録されることになりました。
余談ですが、日本クラウンは今年創立満60年を迎えました。その間、コロムビアを飛び出してクラウンに移籍するという流れは連綿と続いていたりするのでしょうか。デビュー以来Kiinaを担当してくださったTディレクターさんがいつの間にかクラウンに転職されていたのを知った時に、「あぁ、やっぱり」とどこかで納得する気持ちがありました。
さて、肝心の「関東春雨傘」です。Kiinaはコロムビアの大先輩であるひばりさんに並々ならぬ尊敬を寄せていて、ひばりさんの多岐に渡る曲を心からのリスペクトを込めてカバーしていますが、「関東春雨傘」のような小唄調の曲は少し肩の力を抜いて気持ちよく歌えているような気がします。
この年の国フォのスペシャルコンサートでは着流しに紫の蛇の目傘を持ち、粋な出立ちで歌ってくれましたね。
2017年に出された「美空ひばりを歌い継ぐ」のDVDにもこの時のライブ映像が収録されています。
「新・演歌名曲コレクション2-愛しのテキーロ」に収録した「弁天小僧」(三浦洸一さん)にも通じる「粋なKiina」の歌い方も大好きです。