2008年後半の勝負曲「哀愁の湖」が10月1日に発売されました。
https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCA-16174.html
その前に、「玄海船歌」と「哀愁の湖」の間で、Kiinaはまたひとつ大きな仕事をやり遂げました。
この年の「思い出のメロディー」で、Kiinaは松坂慶子さんと司会の大役を務めました。男性司会者としては最年少でした。
のちにKiinaはこの1回めの司会の時を「自分からはほとんど何も言えなかった」と笑っていましたが、NHKホールの客席から応援する私たちは堂々と曲紹介をするKiinaの姿がどんなに誇らしかったことか。
西郷輝彦さんの「星のフラメンコ」はKiinaの十八番です。何の不安もありません。
そして「無法松の一生〜度胸千両入り〜」。
袴姿のKiinaはバックに大きく映し出された村田英雄さんの映像と見事な共演を見せてくれました。今でも鮮やかに目に浮かんできます。
本当にあの頃は、1年1年どころではなく1日1日歌手としての器が大きくなっていくKiinaについていくのが精いっぱいな日々でした。
さて、「哀愁の湖」の歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=UiKvp4FD848
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/71223/
レコーディングに当たって、Kiinaは作詞の仁井谷先生から曲のイメージを詳しくお聞きして臨んだそうです。
将来を誓い合った恋人が不治の病で亡くなり、式を挙げるはずだった湖のほとりの教会をひとり訪ねる主人公。
この主人公になりきるために、確かKiinaは絶食に近いところまで自分を追いこんでMVの撮影に臨んだんでしたね。
翌年にリリースした「ときめきのルンバ」や「虹色のバイヨン」「情熱のマリアッチ」など衣装が目を引く曲をKiinaは「コスプレ」と呼んでいましたが、真っ白な花婿の衣装をまとった「哀愁の湖」も、なりきるという点で一種のコスプレ系と呼べるような気がします。
本当に、この曲を歌うKiinaはいつでも全身で哀しみを表していました。
「レコーディングでは出来るだけ淡々と歌うよう心がけた」とインタビューでお話ししていましたが、だからこそサビの「二度と逢えない…」の絶唱が一層胸を打ちます。
こうした曲は歌う本人に照れがあったりすると、聴いている方はしらけてしまいます。
「ドラマの主人公になり切れる」才能が遺憾なく発揮された一曲だと思います。