アルバム・オリジナル曲3曲めは「川中島回想」です。Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=roadGOPDfWM
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/239195/
仁井谷・宮下両先生コンビによる作品です。「旅うたスペシャルBOX」にも収録されました。
アルバム発売直前の10月12日に仁井谷先生が急逝されました。「川中島回想」は仁井谷先生ご自身の旅の実体験。レコーディングにも立ち会ってくださったのだそうです。
川中島と言えば上杉謙信と武田信玄が12年に渡り計5回の戦いを繰り広げた地です。主人公が今の視点に立っていにしえの戦国武将たちの戦いに思いを馳せるという、これまでのKiinaの曲にはなかった歌の内容になっています。
Kiinaには「星空の秋子」や「ちょいときまぐれ渡り鳥」など明るい曲、ノリの良い軽い曲も沢山書いてくださった仁井谷先生ですが、「川中島回想」は、古語を随所に散りばめた文語体のどっしりとした歌詞に仕上げてくださいました。
詩吟が挿入されているのは「白雲の城」以来でしょうか。ご参考までに元になった頼山陽の漢詩「川中島」の全文をご紹介しますね。
頼山陽「川中島」
鞭声粛粛 夜河を過る(べんせいしゅくしゅく よるかわをわたる)
曉に見る千兵の 大牙を擁するを(あかつきにみるせんぺいの たいがをようするを)
遺恨なり十年 一剣を磨き(いこんなりじゅうねん いっけんをみがき)
流星光底 長蛇を逸す(りゅうせいこうてい ちょうだをいっす)
レコーディングの時には、仁井谷先生にはこれからも沢山の曲を書いていただけるとKiinaも信じて疑わなかったことでしょう。アルバムに入っている歌声より国際フォーラムのスペシャルコンサートで披露した歌声の方が一層力強く、曲の世界観を深く掘り下げた表現になっていると感じられました。
きっとKiinaも仁井谷先生に届くようにという思いをこめて歌っていたのではないでしょうか。
「決めた道なら 大志なら 明日を目指し いざ行かん」という最後のフレーズは、仁井谷先生が歌い手のKiinaに重ねた思いであると同時に、先生ご自身が作詞家として目指す道でもあったことでしょう。
まだ69歳。返す返すも早すぎるご逝去が惜しまれてなりません。