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 光文社文庫のゲームブック「戦闘宇宙艇SRV-4B シャングリラ作戦」をプレイしました。



大統領命令――ソ連軍用宇宙ステーションに侵攻せよ!! 1997年。全面戦争の引金を引きかねない、このシャングリラ作戦に、あなたは軍用宇宙艇SRV-4Bを駆り、参加する。選ぶべきは軍への忠誠心か、人類への義務か? 世界の命運を賭けた近未来戦略ゲーム。

ワールドフォトプレス「戦闘宇宙艇SRV-4B シャングリラ作戦」(光文社文庫)裏表紙より。


 時は1997年。微妙なバランスを保っていた米ソの軍事バランスを崩し、世界情勢を有利に運ぼうという様々な思惑が交差して、あわや全面戦争にもなりかねないという危機が発生。その陰謀を未然に防ぎ、なんとか平和裏に事を収めようというのがこのゲームの目的です。

 本書は先日プレイした「F-4Jファントム ラインバッカー作戦」と同じ系列のゲームですね。冒頭で機体等の緻密な設定と、アメリカ・ソ連の二大国間の軍事的な状況が説明されます。近未来が舞台ということで登場する機体は架空のものですが、それぞれきちんと科学考証が為されていて、説得力のあるものとなっています。特に宇宙船を空中射出することができる、ソ連の『ラドガ』とかかっこいいですね。

 本書が出版された1986年からすれば近未来のお話なのですが、さすがにソ連が崩壊したり、冷戦が終結したりなんていうことまでは想定されていません。仮にそれらのことが予測できたとしても、お話としては東西冷戦状態の方がいろいろ作りやすいでしょうしね。

 ゲームシステムも「ラインバッカー作戦」とほぼ同じです。運勢と戦歴に加え、体力という3つ目の能力値がありますが、判定方法はやはり、サイコロを2個振って「戦闘判定表」を参照し、A~Fまでの記号を求めるというものです。記録シートには年齢や階級という欄もありますが、それらは雰囲気付けだけのもので、ゲームにはまったく関係なく自由に設定してもよいものです。

 これ以降、「シャングリラ作戦」のネタバレを含みます。ご注意ください。

 ただ、ゲームブックとしては、「ラインバッカー作戦」と比べてもちょっと物足りなかったですね。その最大の理由は、運の要素がとても大きいことです。ゲームブックですから当然ストーリーが分岐していくのですが、プレイヤーが行動を選択する場面もゼロではないもの、ほとんどがサイコロの結果による分岐ばかりなのです。これでは自分の力でミッションを遂行しているという感覚が乏しくなってしまいますし、再プレイする際にも以前選ばなかった選択肢を選びににくくなってしまっています。どちらに進むかを自由に選択することができるというルールに変更したとしても、サイコロを振るシーンでも多くを占めている「戦闘判定表」の記号による分岐ですと、記号の種類によってどちらが成功ルートでどちらが失敗ルートなのかは一目瞭然です。これはちょっと、ゲームブックとしては致命的かもしれません。

 また、全面戦争を回避するというストーリーは壮大なのですが、それだけに大統領や書記長をはじめ、司令官に兵士、工作員など、主人公以外の人物の話が、ゲーム中にもガンガン割り込んできて、相対的に主人公の存在感が薄いんですよね。実際にミッションをこなすのは主人公なんですけど、宇宙艇によるドンパチはほとんどなく、肉弾戦などの地味なシーンが多くなっています。もっと言えば、主人公がミッションをこなしているシーンよりも、米ソ両国のお偉いさん方が裏でいろいろ暗躍しているシーンの方が面白いですしね。

 私が最初にプレイしたときはサイコロ運が良かったこともあり、おそらく最良だと思われるコースを進んでしまったのですが、それだと話があっさりしすぎていてちょっと拍子抜けしてしまいました(あっさりしすぎていて、バッドエンドに突入しちゃったかと思ったくらいです)。その後何度かプレイして他のルートも読みましたが、お話としてはある程度失敗もした方が敵もいろいろと語ってくれたりして面白かったですし、政治シミュレーションとしても、何事も起こらないトゥルーエンドより世界中に衝撃が走るバッドエンドの方が面白かったです。

 結局、近未来(今となっては昔のことですが)における米ソ間の軍事的緊張状態のお話としてはそこそこ楽しめましたが、主人公の活躍に対するカタルシスが不足していて、ゲームブックとしてはイマイチだったかなぁと思います。



 光文社文庫から出ているワールドフォトプレスのゲームブックとしては、「ラインバッカー作戦」と「シャングリラ作戦」の他にもう一冊、「オルフェウス作戦 海上原子力発電所を奪回せよ」というものもあります。多分「オルフェウス作戦」も前2冊と同傾向の作品だと思うのですが、私はまだ所持しておりません。機会があれば入手してプレイしてみたいですね。


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妖魔シリーズ、鉄人28号ゲームブック (マイケル村田)
2016-11-21 20:00:43
光文社のゲームブックではRED BOX、ワールドフォトプレス、若桜木虔等が手掛けておりますが、なぜかスタジオ・ハードさんもこの光文社のゲームブックを2冊担当しております。それが妖魔館の謎と鉄人28号のゲームブック。前者は塩田信之さん&飯野文彦さん、後者は樋口明雄さんが手掛けており、妖魔館の謎の方は当時、高校生だった塩田信之さんのデビュー作であるものの、バグがやたら多く、ほぼ未完成品。後者の鉄人28号 東京原爆作戦の方は樋口明雄さんが手掛けており、バグがなく、光文社のゲームブックシリーズの中では最高傑作と言う程の出来栄えとか…。ちなみに塩田信之さんはこの後に手掛ける「メトロイド」、「終末の惑星」、「コナミワイワイワールド」等で高い評価を得られる作品を手掛けた事を考えてみると…、「妖魔館の謎」でデビューしたころの塩田信之さんはまだ不慣れな部分が多かったとか…。
 
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