だいぶ前の話ですが、4月30日に横浜スタジアムまで野球を観に行ってきました。で、その道中で社会思想社・現代教養文庫のM.アラビー著のゲームブック、「君ならどうする・食糧問題」をプレイしました。
これは発売当初に普通に新刊で購入して当時もある程度はプレイしたのですが、ゲームとしての面白さというよりもネタゲームブックとして楽しんでいたような記憶があります。改めてプレイしてみて、実際ゲームブックとしてどうなのかと言うところを確認してみました。
主人公は国の最高責任者。食糧事情に難のある国をよりよい方向へと導くのが目的のゲームです。最初にコイントスして国の特徴を8種類の中から選択します。今回は「裏・裏・裏」、「裏・裏・表」以外の6種類についてプレイしてみました(7つ目の途中までプレイして、飽きたためです)。
まず国の状況が説明されて、そこから政策を決定→その結果どうなったか→政策を決定→その結果どうなったか→……の繰り返しでゲームは進んでいきます。たまに三択のパラグラフも出てきますが、ほとんどは二択です。まあ二択なのはいいのですが、選択肢はどちらが正解とも言えないような形で、大抵は問題が改善された一方、別な問題がまた持ち上がるといった感じで状況が変化していきます。そして、あちらを立てたり、こちらをなだめたりといろいろ調整していきながら、あるところで八方丸く収まってめでたしめでたしと相成るわけです。
何故プレイしてからこのエントリーをアップするまでに1ヶ月も期間があいてしまったのかと言えば、いろいろ文章を書いていたのですがどうにもうまくまとまらなかったためです。そこでもう端的に書いてしまいますが、クリアを目的としたゲームとしては、はっきり言ってそんなに面白くはありませんでした。
このゲームにおいて最も不満だったのは、作者の政治的・経済的信念のようなものが色濃く投影されている点です。その証拠として、私がプレイした6タイプの国において、全て同じ最終パラグラフに到達してしまったことが挙げられます(未クリアの2タイプがどうかはわかりませんし、到達できなかっただけでマルチエンディングだったりするのかもしれません)。
普通、国が異なれば食料事情の安定する形も異なるはずです。それが全て同じ結末に落ち着く(かどうかははっきりとはわかりませんが)ということは、作者の想定する理想的な食料供給のあり方がこのエンディングであると判断せざるを得ません。扱っているテーマがテーマだけに、「魔術師○○を倒すにはこのアイテムを使うしかない」というような唯一の正解を求める構造にするのではなく、国によって様々な解決を図ることができるようになっていた方が良かったと思います。
ただ、マニアックゲームブックとしてはそれなりに見るべき点もありまして、特に面白かったのは主人公がどんな失政をしたとしてもけしてその職を追われないところです。農民が困窮したり、無職の人が増加したり、果ては内戦が勃発するような事態になったとしても、しぶとく権力の座にしがみついているところがステキでした。
もっとも、元々は学者さんが書いた作品なのでゲーム的にどうこうといった見方をすること自体的外れなのかもしれませんけどね。ゲームとしての側面、あるいは現実のシミュレーションというような側面は置いておくとして、単純に小中学生向けに食糧問題を考えさせるための一助にはなると思います。
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