日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

カレンダーの印

2023年05月19日 | エッセイサロン
2023年05月19日 毎日新聞「男の気持ち」掲載
 
 大型連休のにぎわいが戻ったとの報道に触れると、思い出すことがある。
 息子が保育園の年中さんの頃たった。壁掛けカレンダーの日付に規則正しく丸印が付いていることに、妻から言われて気付いた。丸印は「お父さんの休みの日」で、息子が妻に確認して書いたという。
 当時、私は3交代勤務。朝勤は午前7時、夕勤は午後3時、夜勤は同11時からの就労だった。勤務は朝、夜、夕の順でそれぞれを3日間勤務、各勤務の切り替えの間に1日の休日が入る。  
 3交代勤務なので盆だ、正月だ、そして連休だといっても長期の家族サービスなどは考えもしなかった。家族から求められた記憶もない。
 丸印は朝勤明けの休日。朝勤の終業の午後3時から次の就労まで50時間近くある。その日なら一緒に遊んでもらえるという息子の考えに一本取られたと思った。
 丸印を知ってからは努めてキャッチボールをし、菜園で収穫の手伝いもさせた。朝のランニングもした。しかし、小学生になると、近所の子ども同士が集まって遊ぶようになり、丸印は自然に消えた。
 それでも、妻と息子、同居の母を連れ、九州や山陰などへの1泊の車旅行は何度かした。今、映像で見るような豪華な旅ではなかったが、母の懐に収めた、小さな父の遺影と一緒に旅した。息子は丸印は忘れただろうが、私には思い出の一つになっている。

 (今日の575) まる印に父の役目を教えられ
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