鬼山竜也の住宅業界 商売の王道

良い家づくりに真剣に取り組んでいる方々が、お客様のためにより良い仕事が出来るようになるためのヒントになれば、嬉しいです。

【第381回】 正しいステップを踏むこと

2012年01月16日 | 住宅コンサルタントとして
注文住宅の営業は、やはり簡単ではありません。
家そのものが、非常に商品として複雑であり、
かつ最終的に、業者さんと契約するまでに、非常に複雑なプロセスを経なければならないからです。

・よほどのお金持ちの方でない限り、予算には上限がある
・夫婦の間で、土地や業者選び、こだわりに関して意見が異なる。2世帯ともなると、ますます複雑
・家そのものが、一般のお客様には分かりにくく、価値を伝えにくい
・価格の基準が無い。もしくは複雑すぎて、普通の方にはなかなか理解しにくい

こうした中で、自社の価値をお客様にしっかりと伝え、価格の適正さも分かっていただき、
予算の中に収まって、かつ提案内容が期待値をクリアしていれば、契約となります。

しかし、注文住宅を難しくしている一面としては、
「最終決定権者は誰か?」ということが、家族ごとに異なり、
しかも決定権者に必ずしも簡単に会えないケースもある、ということが挙げられます。

特にご主人がキーマンの場合、海外出張が多かったり、
もしくは学校の先生で部活の顧問などを本格的にやっていたりすると、
本当に会う時間を作っていただくことが出来ません。

そこで、キーマンではない奥様と商談するケースがほとんどなのですが、
ここでご主人と奥様の価値観が合っている夫婦と、
ご主人と奥様の価値観が全く異なる夫婦に分かれます。

後者の場合、奥様とどれだけ面談を重ね、奥様経由でクロージングをかけたとしても、
まず決めていただけることはありません。

この場合、

「クロージングをかける前に、意思決定権者には必ず面談し、
好きになっていただいたり、少なくともこちら側の人となりを知っていただく」

という正しいステップを踏まなくてはならないのです。

「いや、何度も打診したんですが、どうしてもご主人が時間が取れないし、
奥様に全て任せているそうなので・・・」

というようなケースもありますが、お客様がそうおっしゃるからということで、
奥様とだけお話を進めていても、最後の最後にご主人のひと声で
他社に決められることがあったりするのです。

この場合、何としてもご主人にも面談して、お互い理解し合った上で、
クロージングに入っていかないといけません。

そういうステップを踏んでいない場合、ご主人が業者決定の際の判断基準になる部分は、
プランと見積のみになってしまいます。

自社がどの会社よりも安く住宅の価格を提示できるのであればいいのですが、
そういうわけにはいかないですよね?

キーマンとなる方の判断材料を事前に理解していただき、
かつ人となりを分かっていただいた段階で、見積を提示しなければならないのです。

私は簡単にプランと見積を提示することに対し、基本的に反対しています。
まずはお互いを理解し、お客様のこだわりを理解し、
こちら側の強みや信念、基本的な価格を理解していただいた上で、
OKであれば、プランと見積を出させていただくようにすべきだと思っています。

でも、事前の相互理解が苦手な会社さんの場合、
プランに逃げてしまうケースが非常に多いのです。

まだお互いを理解し合えていないし、共感もしていただけていないのに
プランと見積を出す訳です。
本人は仕事をした気になっていますが、実際には歩留まりの悪い仕事の進め方となります。
要は単純に価格だけで判断されてしまうことになるのです。

正しいステップを踏んで商談を進めれば、
70%前後の確率でそれまでの頑張りが成就出来るのです。
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