青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

花吹雪、花吹雪

2017年04月16日 16時42分51秒 | 中央東線

(花吹雪のホームにて@勝沼ぶどう郷駅)

甲府盆地を見下ろす高台にある勝沼ぶどう郷駅のホーム。時折吹き抜ける春らしい強い風に、散らされた桜がもの凄い花吹雪となってホームに降り注ぎます。桜は咲く前から散り際まで美しいと申しますが、さすがにこの光景は鉄道に興味ない勢の一般花見客の皆様も歓声を上げつつ「こんな中をデンシャが走って来たら絵になるんじゃないかしら!」な~んて二人連れで歩くオバチャンの至極真っ当な意見。しかしテツなら知っていると思うのですが、「花吹雪の中を駆けて行く電車」というこの時期らしいテーマ写真、撮ろうととしても簡単には撮れるもんじゃないんですよねえ…


はい、オトーサンも「あわよくば花吹雪とワンチャン」を狙って何本か粘ってみたんですけど、そうそう都合よくデンシャの通過する時に花吹雪になんかなってはくれません。ドラマで使うような大型送風機でも構図の右側に置いておけば撮れるのかもしれないが(笑)。比較的チャンスの多い普通列車(停まるからね)でもこんなもんすよ。まあ淡くヒラヒラと舞う花もそれはそれで趣深いと思うのだけどね。


「風よ吹け~!」と念じても、いわんや勝沼ぶどう郷に停まらない特急をや。漢文訓読。ただ通過する特急はそこそこスピード出してますんで、線路に降り積もった花びらをあたかもシュプールのように吹き飛ばしていく感じはなかなかいい。こっちの方が打率高いかもしれない。散り始めからの桜鉄の楽しみ方にも色々あるようです。この時期からGWまでの撮りモノだと、桜吹雪とこいのぼりがどちらも風の気まぐれさと戯れる被写体だと思うのですがいかに。


勝沼の旧ホームに咲く甚六桜を西面から。扇状地の斜面に、大波の波頭のように圧倒的に咲くこの桜たち。樹齢が40~50年くらいと言う事なんだけど、桜の花としてはまさに働き盛りと言うか勢いがありますよね。見たところ幹がカビたり、テングスとかにやられている木もなさそうだし。保存会の方々がいらっしゃるようですが、手入れも丁寧なのでしょうね。


甚六桜の定番構図、駅の北側に回り込んでの一枚。こちらも見事な桜のシュプールを描いて、E257の特急あずさが通過して行きます。つい先日JREから「東海道線の踊り子185系の引退」と「後継は新型車両の投入によって中央本線から捻出するE257系の転属」が発表されてましたけど、つーかE257を追い出すはずのE353が試運転ばっかやっててもなかなか実戦配備されないのはなんでなんですかねえ。発表されたと言う事はE353にメドが立ったと言う事なのか。


そしてその記事で特に言及されていなかったスーパーあずさことE351系ですが…E353が量産されれば当然の如く廃車なのでしょうね。バブル期のハイスペック車両(特に振り子系)の特急車って、システムが複雑すぎて今やどこも嫌われ者になっちゃってるのが実情ですからねえ。甚六桜との取り合わせも、あと何回見る事が出来るのでしょうか。
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山男 桜は咲いて 今むかし

2017年04月15日 23時30分35秒 | 中央東線

(桜祭りの提灯と@EF6418号機)

今日は子供が珍しく朝早くに起きて来たもんだから、朝から気合い入れて弁当なんぞをこしらえて花見に行って参りました。やれ秩父に行ってみようかとか、混雑を覚悟で小湊行ってみようかとか色々考えたんですけど、家族運用だと桜の時期はとみに最近は殺伐としていると噂の小湊や、SLの桜の構図を求めて朝もはよから三脚だらけになる長瀞の桜並木みたいなガチ勢の多いところは行きにくいってんで勝手知ったる勝沼の甚六桜へ。桜祭りの提灯が下がる並木道、公園のヌシであるロクヨン18号機の優しい顔が迎えてくれました。


桜咲き乱れて、ほころんで、風に散って。さすがにこの週末で南関東と、甲州路でも標高の低いところは終わってしまうのかなという雰囲気。桜の花弁の中が赤く染まって、花全体としても白から全体的に赤味を帯びてくると散り際のサインなんですよね。地面に降り積もった桜の花びらが、吹く風にパアっと散って巻き上がる。弁当を広げる唐揚げの上に桜の花びら、いとをかし。


甚六桜撮影ポイントとしては定番のHDS俯瞰から。昔ロクヨン今ブルサン、山岳機としてすっかりポピュラーになって来たEH200が牽引する2080レが花曇りの坂道を上って来ます。「HDSって何だよ!」って思う人、ハッピードリンクショップの事です。去年も言いました。ここは甚六桜でいうと北端の場所になりますが、スイッチバック時代に使われていた引上線の跡地に咲く桜が本当に見事です。


勝沼では10分程度の間隔ですれ違う83レ。根岸から来るタキ編成に梶ヶ谷でコキを足すのでコキ+タキの編成になります。それにしても引上線の桜は花付きが良すぎるね。花の重みでしなだれかかるような迫力があって、言うなれば圧倒的な熟女感のある桜です。一応盛りが過ぎて散ってるんですけど散っても散っても花びらが減らないというか。


コキタキ編成ですから、その切れ目あたりでワンショット切れてれば良かったんだけどバッファが足らずにタキ編成部分だけ。連写時におけるD7100のバッファのなさにはいつも泣かされるな。まあ承知でもう2年使ってるから使ってる方が慣れなきゃしょうがないのかもだけど。これがホントのタキ桜ってか。そして桜もそうなんだけど遠く見晴るかす甲府盆地には桃の花が咲いているのが見えますでしょうか…

子供と二人で三脚並べて撮っていたのですが、地元民のおじいちゃんがそんな光景をニコニコと眺めながら言うには「桜と桃が一緒に咲く年は最近記憶がないなあ」との事。もうちょっと晴れて欲しかったけど、土曜日でも貨物が運転されてて良かったねえと子供が言う。まだまだ朝晩は冷えるんでしょうか、燃料需要は旺盛なようですね。
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最後の桜

2017年04月13日 22時53分54秒 | 小田急電鉄

(正真正銘の満開@秦野大カーブ)

正真正銘の満開を迎えた秦野大カーブ。70000系就役を来春に控え、LSEもこれが最後の桜か。才ヶ分の踏切の向こうから、陽炎の中をやって来たはこね31号。オレンジバーミリオンの車体が春の日差しに躍ります。


あまりこういう構図は作らないんだけど、展望席を半逆光気味に。権現山に続く山並みの稜線も芽吹きの季節か色が柔らかくなってきましたね。ついこないだ、秦野盆地に雪が降った日の翌朝に登った権現山の展望台、この週末は花見客で溢れるのではないでしょうか。


菜の花の築堤に入日射す、春の日秦野大カーブの夕暮れ。この大カーブはトラップのように架線柱を支えるワイヤーがかかっているので、構図を決める時には注意が必要です。


最後の桜…そう思ったらなかなか立ち去りがたく、日が暮れるまで満開の秦野大カーブでLSEを追い掛けてしまった。朧な春の空気の中、夕映えに桜も染まるはこね36号。4月になり日もだいぶ伸びて来た事を実感するねえ。それにしても土曜日から結構天気悪くて雨にも打たれたはずなのに、寒いせいか今年の桜は案外持っているような気がする。しかも「元々大カーブの桜はほかの木より3~4日遅いんですよね」とは地元氏の弁、座間桜が撮れなくなった…とお嘆きの小田急ファン諸氏、秦野大カーブはまだまだワンチャンありそうですよ。
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龍口寺の桜

2017年04月11日 21時21分52秒 | 江ノ電

(桜の隙間から@龍口寺前)

常夜燈の石灯籠、石碑、お寺の催事の書かれた看板、そして行き交う車、頭上を渡る電線と架線。桜が咲いた江ノ島・龍口寺前、交差点に飛び出して来る江ノ電を隙間から狙ってみましたが、いずれにしてもなんかゴチャゴチャしているのであります。




最近設備や内装がリニューアルされてお色直しを終えた1500形。2000形は腰の行き先表示幕で季節感を表現していますが、この日は鎌 倉表示でやって来ました。いかにもスマホ世代が喜びそうな…ポップな絵文字のようなフルカラーLEDが優秀。短い車体をくねらせて走る江ノ電をアップで。この交差点は電車が近づくと昔ながらの鐘突き音のする警報機が鳴るのがいいんです。江ノ電を語る上で欠かせない音。


日本一の急カーブとの噂も高い龍口寺前の交差点。半径28mなのだそうな。江ノ島の駅から江ノ電本社脇をすり抜け、花屋の角からSカーブを描いて腰越の商店街に入って行く20形。ここの交差点はいっつも藤沢方面から右折して江ノ島方面に向かう車と鎌倉方面行きの電車が鉢合わせするのがホント見ていておっかないのだよね。江ノ島の交差点から詰まってるのに、無理に龍口寺を右折して軌道敷内で立往生する他県ナンバーが江ノ電にビービー警笛鳴らされてるのとかよく見ますもんね。


台枠が車幅からはみ出しそうになりながら、キイキイと車輪を軋ませる1000形。いつも交差点に進入する車とコラボになってしまうこのアングル、珍しく車の少ない瞬間で撮影する事が出来ました。江ノ電グリーンと取り合わせる見頃の龍口寺の桜でしたが、惜しむらくは青空が欲しかった。桜の時期はいつもこうだよなあ。
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四十八瀬の春浅く

2017年04月09日 07時37分50秒 | 小田急電鉄

(可憐なのは、花か雫か@渋沢7号踏切)

マメザクラが雨に打たれて。ポップコーンのようなかわいらしい花だ。ソメイヨシノより少し早く満開を迎えるらしい。秦野大カーブから場面を変えて渋沢7号。こんな雨の日に渋沢7号なんて来る人間は相当のモノ好きだと思うのだが、雨中戦を覚悟して足元をゴム長で固めていたのが幸い。四十八瀬川も多少は水かさが増えてましたが、ジャブジャブと浅瀬を渡って辿り着きました。


里山を見ると木々の枝にもほのかに若芽の色があって、春の芽吹きが感じられるようになって来ました。頭高山へ向かう山道の道すがらにあるこのマメザクラ、天候もイマイチの中でどうモチーフにしたもんか…と考えて、WBをいじくって色彩をマゼンタ寄りに。


使う人の皆無な渋沢7号の隣には、果樹園や畑をやっている一軒の古農家さんがある。この踏切はほぼこの古農家のプライベート踏切のようなものなのだが、果樹園では白いナシの花がちょうどピークを迎えていました。この農家さんの敷地はいつも丁寧に整えられていて季節ごとに花の色があり、渋沢7号の四季を彩っています。


この辺りは矢倉沢往還の古道を保存するため、以前は荒れ放題だった藪やマントが伐採されてだいぶ整備が進んだように感じます。おそらくあと1~2週間、桜が終われば麗しい春の里山風景が見られるはずです。またライムグリーンの山を撮りに渋沢7号に来てみようかなあ。

梨の花とその白さを競うように、VSEが四十八瀬を下ります。

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