青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

ワンマンも 無人化もない マンパワー。

2021年12月06日 17時00分00秒 | 伊予鉄道

(貴重な自社発注車@見奈良~田窪間)

朝の輸送力列車その2は610系2連×2。今はどこの地方私鉄も、都会を走っていた大手私鉄のセコハン車両を使うことが多いのですけど、この610系は伊予鉄道(鉄道線)では唯一の貴重な自社発注車。2連の2本しか作られなかったので、この4両が現状の伊予鉄自社発注車の全てとなります。何でそんな半端な数の自社発注車が?という事なのですが、京王から5000系を持って来て旧型車を入れ替える際、予定していた両数が足りず、その不足分を自前で注文したのではないかという説があるらしい。610系は車体だけがアルナ工機で新造されていて、制御機器類は700形で使う中古部品。伊予鉄からのオーダーを受けた京王サイドから「すいません、もう5000系ないんです。台車とかマスコンとか部品は用意するんで、車体は伊予鉄さんでなんとか・・・」みたいなやりとりがあったのではないかと(笑)。

見奈良から徒歩連絡で田窪(たのくぼ)駅。小さな単式ホームの駅ですが、きちんと女性の駅員が詰めていました。この辺りは半農半住という感じの雰囲気で、7時台の電車はやはり松山市の中心部に向かう通勤通学客が目立ちます。松山市方面への一方通行の需要かな、と思いきや、意外に横河原方面への乗客もそれなりに。横河原周辺には愛媛大学の医学部や国立医療センターなどの医療機関が集中しているので、職員の通勤や通院需要だろうか。

平井駅。駅の隣に農業倉庫と大きなJA(松山市農協小野支所)があり、かつては農業倉庫からの貨物の積み出しがあったのではないかと思われる側線が残っています。伊予鉄の貨物取扱ってのはいつまであったんでしょうね。伊予鉄は、荷物室の付いたモハニだとかデハニみたいな合造車が長い事走っていたので、鉄道貨物と言うよりは貨客混在の列車で貨物輸送を行っていたのかもしれませんが。

平井駅のホーム上屋を支える古レール。何気なく見ていると、うっすら「CARNEGIE 1912」の刻印が見えます。米国のカーネギー社で1912年に作られたレール、という事なので110年物。こういうところにも伊予鉄の歴史の長さを伺い知ることが出来ます。日本が国産レールを作り始めたのは1900年頃、九州の官営八幡製鉄所での事だそうですが、なかなか品質的にも物量的にも追っつかずに、暫くは海外からの輸入レールが使われていたのだとか。

高浜方面行きホームに進入する700形。横河原線は結構右側通行の交換駅が多くて、見奈良・平井・梅本・北久米が右側通行になってますね。そして伊予鉄は一部を除いて3両編成・ツーマン運行がおおよその基本原則。ICカードを導入していても、都市型ワンマンにすらしていないというのが特筆出来ます。日中15分毎の高頻度運行なので、運転士が乗降確認までやるのは時間が掛かり過ぎてしまうとかかな。あと、この平井駅のように交換駅も島式でカマボコ型に湾曲しているホームが多く、なかなか運転士だけでは後方の安全確認がしづらいとかあるのかも知れません。ワンマンにするには、ホームカメラの導入などの抜本的な対策が必要かなって思います。

そうそう、伊予鉄って規模的に無人駅にしちゃっても良さそうな感じの駅でも、ほとんど駅員配置があるんですよね。見た感じは嘱託社員と言う雰囲気の年配の方が多いんだけども、駅に人が居るかいないかってだいぶ違います。ここ平井駅には気のいいじいちゃん夫婦みたいな二人がいて、トイレの位置を尋ねたら「恥ずかしいかも知らんけど、コロナだからドアだけ閉めんといてや~!」みたいな事を言われて苦笑してしまった。換気大事。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする