青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

Our Island 春の新潟・粟島探訪その④

2010年05月09日 21時38分42秒 | 日常

(画像:島の機動力)

粟島に来て気付いたのは、地元民(特にばあちゃん)の三輪自転車率の高さである。
元々島民以外は車を持ち込めない島ではある。島には一応車は走っていたけれど、ガソリンスタンドは見かけなかったんでねえ。給油とかどうしてるんだろ。まあたぶん役場が本土から一括購入して「給油の日」みたいなものを設定してみんなに配ったりしてるんだろうが。
そんな化石燃料の乏しい島で、三輪自転車はエコな乗り物として活躍している。朝もはよから島のばあちゃん連中は、決して三輪車に乗ったりはせず、ハンドルの部分を手で押しながらえっちらえっちらと港へ行き、フネから上がった海の幸を後ろのバスケットに入れてはめいめい家へ帰って行く。自転車として使うのではなく、簡易リヤカーとしての色彩が強い。
その三輪車、どれも潮風でサビサビになった年季モノで、おしなべてハンドルが左側にかしいでいる。それが長い事腰の曲がったばあちゃんが左側から引っ張ったせいなのか、粟島へ輸出される三輪車はそーゆー仕様になっているのかは結局分からなかった(笑)。

宿で朝食を済ませてから、昨日は足で回った粟島を今日はフネで回ってみようと言う事で観光船乗り場に。島内一周1時間ちょい、西海岸の釜谷の集落を経由して1,200円で回ってくれる。船着き場でキップの販売をしていたオヤジ、どっかで見たなと思いきや、昨日温泉で山小屋氏をとっ捕まえてハイテンションで喋り倒して来たファンキーなジジイだったw
つか、キップ売ってるだけかと思ったらジジイそのまま運転室に乗り込んじまったよ!
昨日はビール5本飲んじゃってたいそうゴキゲンだったようだが、運転大丈夫か?w

 

9:00きっかりに内浦港を出航した船は、青空の中を海原に向けて滑り出した。我々も船尾の観覧席でのんびり風景でも…なんて思っていたのだが、ファンキージジイはレバーを落とさず全速で海の上を豪快にバウンドしながら疾走を開始(笑)。波しぶきかかりまくり。ってか手すりにしがみついてないと下手すりゃ落っことされちまうよ!だいたい観光船ってもっとのんびり回るもんじゃねえのかよwそう言えばこの観光船「シーバード」って書いてあったが「シーシェパード」の間違いじゃねえのか?ちょうど酸っぱいものの入ったペットボトル(アクエリアスネオ)なら持ってるんだがw

  

海のオトコにしてみれば、こんな凪の海「かっ飛ばさないとアクビが出ちまうわ」って事なのかもしれないが、海のもくずにされないように気を付けながら眺めを楽しむ(笑)。サイクリングコースからは分からなかった西海岸の風景、八幡鼻を回り、節理の海岸を縫って立島を回る。岩石の形から分かるように、基本的にはこの島は地層が時計回りに10度ほど傾いているのですね。昭和39年にこの島の沖合で起きた地震が新潟地震。横倒しになったアパートの写真が印象的です。

  

ハギーさんが足を向けて寝れない仏崎、岬の左側にある展望台でみんなでワンセグで見た天皇賞を私は忘れないでしょう(笑)。爆走する観光船は、あっという間に鳥崎を回り、旗崎を回って内浦港へ帰って来た。一応きっちり1時間ちょっとかかってるんだが、体感としては速かったなあw

時刻はお昼前、今日も漁船のパレードに迎えられて「フェリーあわしま」が内浦港に接岸。
昨日よりさらに多くの客を乗せたフェリー、今日の島びらきでは大鯛のプレゼント。今朝上がった鯛なんだろうねえ。
我々は午後一番の高速船で島を離れる予定にしましたんで、それまでに昼飯を…って事で抽選会の人々がなだれ込んでくる前に改めてわっぱ煮をいただくのでありました。今日の魚はカワハギ。昨日のわっぱ煮と比べてさっぱり味でこれはこれで美味かった。お土産に島びらき祭の一角で売られていたトロ箱一杯の魚を買ったんだが、ハタハタにカワハギにホウボウにノドグロ、それにヒラメとタイがぎっしり入って2,000円だった(笑)。儲ける気ないのか、そもそも価格的にそんなもんなのか。いずれにしろ我が家だけでは食い切れないんで、親族呼んで煮たり焼いたりして食ったのだが、大好評でしたw

わっぱ煮を食ったら出船までする事はなく、港のフェリー待合室でひっくり返って惰眠をむさぼるwみんな今日も朝早かったしね。写真は帰りの高速船「あすか」。フェリー1時間半のところ高速船は50分ですが、値段は倍もします。が、ここは御大尽が気前よくフネ代を出してくれました(笑)。
ウマのカネ、フネに化けたり内浦港。

と言う訳で、一泊二日の粟島紀行も終わりを迎えるのでありますが…
まず、島びらきのイベントに重なったのが良かったかな。
島人が全開でもてなしてくれたのが分かったし、わっぱ煮もうまかったし、結構楽しめましたよ。
あ、思ったよりは発展していたと言うか、島らしい不便さとかかったるさみたいなものは感じませんでしたね。普通に携帯入るし(笑)。天気が良かったせいもあるけど、山笑うを通り越して島笑うと言う感じの若葉の輝きと、その輝きに彩りを添える山桜のほころびが印象的な島でしたねえ。

高速船が汽笛一声港を離れ、島の人々は手を振って別れを惜しむ。
たかだか一泊二日でも、島と言うのは立ち去る時に一抹の感慨みたいなものはあるね。
それは船の別れになるからなのでしょうか。
セツ子は見送りに来てくれなかったのがちょっと寂しかったけど(笑)。

新潟の小さな離島は、何となく里心付くような優しい島。
みんなの心のOur Island、粟島の旅でした。

コメント
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