百醜千拙草

何とかやっています

ツイッターから

2021-01-08 | Weblog
先日のZoomでのセミナーは楽しかったです。研究そのものは個人的な活動だと思いますけど、興味のオーバーラップする人々と対話をするというのは、精神衛生上、ポジティブな作用があるものだとあらためて思いました。
来週に提出する書類の準備を始めました。それ以外は特に変わりありません。
ここ数日のツイッターでのニュースをピックアップ。

6日のトランプ支持者の議会への乱入で死亡者が出た事件、さすがに前代未聞の異常なできごとで共和党も民主党も激しく非難をおこないました。トランプが選挙結果を受け入れず、選挙による分断をさらに煽り、今回の恥知らずな事件に発展したと考えられるわけで、ツイッターもフェイスブックもトランプのアカウントを凍結、新聞の社説では、非常に強い口調でトランプと事件を非難し、議会は、内閣に即時、トランプを任務執行不能を根拠に大統領職から追放するように要請、副大統領のマイクペンスは共和党とキャビネットと、トランプ追放について協議を始めました。前代未聞の恥かしい事件で、もし、これでトランプ追放となると、1/20まではペンスが第46代大統領を勤めることになります。因果応報と思いますけど、トランプはもっと早くに罷免されるべきでした。それにしてもトランプ支持者というのは、自分たちがトランプという利己的なナルシシストに利用されただけだということがどうして理解できないのでしょう。

話かわって、サイエンスのネタ。
BroadのDavid Liuが開発したBase-Editorを使った早老症マウスモデルの遺伝子治療の成功例がN紙に発表された様子。Base-Editorを使ったTranslational Researchはこれが初めてではなく、数年前、すでに眼科的疾患モデルに応用されています。今回は、NIH ディレクターでヒトゲノムプロジェクトのアカデミックセクターのリーダーを勤めたフランシスコリンズとの共同研究。コリンズは早老症研究が専門で、いまだに自分の研究グループを維持していますが、N紙が論文を採択したのは、コリンズとLiuという有名人同士の組み合わせの話題性もあったのではないかなと思います。ただ一回のAAV投与で非常に優れた治療効果があり、広範な組織で高効率な遺伝子改変が得られたそうですが、正直驚きました。ひょっとしたら遺伝子改変できた細胞はそうでない細胞よりも増殖や組織での生存が優利なために正の選択をうけたのかも知れません。私もBase-Editorは二、三年前にマウスの胎児で試した事がありますけど、mRNAの形で使ったせいかうまく行きませんでした。合成蛋白の形でどこかの会社が売り出してくれないかなと思っているのですが。Base-editorは作用メカニズム上、C - T かA - Gのtransitional mutationにしか使えませんし、作用ウインドウに変異部分が特異的にポジションイングできるような位置にPAMが存在していないと使えません。そういう制限は実はかなり大きいのですけど、二重鎖DNA切断をしないというのは非常に大きなメリットです。Base-editorが適応にならない、C-AまたはT-Gのtransversionなmutation、その他の比較的小さな変異なら、よりフレキシブルなPrime Editorを使うことになると思います。おそらくPrime Editorを使った遺伝子治療も現在どこかで誰かがやっているでしょうから、まもなくその成果を目にすることになると思います。CRISPRは思ったより早く遺伝子治療に変革をもたらしつつあります。

マイアミ大、臍帯血ステム細胞を使ったCOVID19の治療の治験で有効性を確認。おそらく幹細胞のもつ免疫調節作用によると思われますが、期待されていた抗サイトカイン療法がパッとしなかったことを思うと興味深いです。細胞療法は重症例に対する最後の希望かも知れません。

コメント
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