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岩出山中学校 風の翼

2009-06-19 | 世界地理
宮城県大崎市立岩出山中学校新校舎は1996年3月完成。
地下1階、地上3階。建築面積6557㎡。総工費51億円。
教科教室型校舎(言語系、自然系、生活系、芸術系)。   
設計は山本理顕。

公立中学校は箱形コンクリート建築、学年別フロアという固定観念がある。山本理顕設計の岩出山中学校は鉄骨とコンクリートのむきだしになった、素材の特徴を生かした、斬新なデザインである。
しかも中学校では珍しい教科型校舎である。
「風の翼」の曲線が美しい。




山本理顕は岩出山中学校の設計により、1997年にはBCS賞(建築業協会賞)と東北建築賞を受賞、1998年には毎日芸術賞を受賞した。

多感な中学生が、冷え切った箱形コンクリートの教室で3年を過ごすのは悲しい。一流建築家による、ハイセンスな校舎からは、次代を担う優秀な人材が輩出することは間違いない。

建築デザインを重視したために建築費用50億円は余りに高く、しかも校舎の象徴である「風の翼」はムダ、という岩出山町民(現在は大崎市岩出山)の声は少なくなかった。教員30人、生徒300人には贅沢というのが本音であった。
芸術性よりも実用一点張りにこだわる町民が反発していることが一因かもしれないが、校舎外側には汚れが目立つようになった。

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完成してから10年以上経過したので、外の汚れは当然である。PTAが宮城県名物「イモ煮会」のレクリエーションをかね、大人の知恵と機械を使って外壁の清掃をしたら、建設当時の輝きがよみがえる。そうすれば、生徒はもっと校舎に誇りを持つだろう。

建築デザインの研究者や学生、全国の学校関係者が、わざわざ岩出山まで足を運んで校舎を見ている。岩出山中学校関係者や旧岩出山町民が考えている以上に、「風の翼」は魅力的なのでであろう。
校舎外壁の汚れを除去し、さらに芝生を養生してもらえば、見学者の感動もひとしおだろう。


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