ひきつづき、今日も東京ファンタの感想を。
18日は「東映まんがまつり外伝」に行って来ました。上映作品は深作欣二監督のSF映画「ガンマー第3号宇宙大作戦」と、「東映版スパイダーマン」。
どちらも実写なのに、なぜ「東映まんがまつり」?と思ったら、この2本、かつて本当に東映まんが祭りで上映された作品だったのですね。アニメだけっていうイメージがあったので、意外でした。あ、でも考えてみればヒーロー戦隊ものの実写も上映されたことあるんだから実写もありか。それにしてもスパイダーマンはともかく、深作欣二と「まんがまつり」ってのがすごいミスマッチ。菅原文太とプリクラってくらいミスマッチ。わけわからんが。
1日前の「ジャッカスまつり」もバカ映画を愛する特異な人たちの集まりで場内はただならぬ雰囲気でしたが、この日の「まんがまつり外伝」はそれに輪をかけて異様なもりあがりをみせました。
年齢層は、「ジャッカスまつり」がだいたい20代後半から30代だったのに対し、こちらはさらにひとまわり上。30~40代の、当時をリアルタイムで知るおじさんたちの熱気で場内はムンムンしておりました(こういうマニアックなイベントにおなじみの光景なのが「男子トイレの長い列」。「ジャッカスまつり」よりも女子トイレはすいてたよ。ってか女の子ほとんどみかけなかったし。)
ほんとこの日のマニア度はすごい。画面にキャストやスタッフの名前が出てくるだけで「オオ~」と拍手がおこる(映画の冒頭に出る波頭と「東映」のマークにすら拍手喝采)のはいいとして、ゲストのトークショーで昔の特撮のタイトルがでてくるたびに歓声と拍手がおこる。素人なわたしにはただただ驚くばかり。いやもー、「いい年したオトナがコドモ映画で大はしゃぎ」なイベントでした。
さて「ガンマー第3号宇宙大作戦」の感想を。
前述しましたが、深作欣二監督のSF映画です。しかもオール外人キャスト!でもこどもむけなので吹き替え版です。
ストーリーは、地球に衝突する恐れのある遊星を爆破しに行った主人公たちが、そこでナゾの生命体に襲われる、というものです。
深作欣二といえば任侠もの。別にヤクザは出てきませんが、「男同士の対立、そして友情」は描かれていて、そういうところが彼の作品らしいところかな、と思いました。
とはいってもそこは「まんがまつり」。かなりツッコミどころも満載です。
映画の冒頭は主人公が上官から遊星が地球に接近し、衝突してしまうという説明を受けるところからはじまるのですが、主人公が衝突の理由を尋ねると上官は、「この際原因はどうだっていい」と力強く言い切ります。どうだっていいのかよ!オイオイ!
しかも、衝突するのがあと10日後ってんだから、いきなりすぎる!宇宙戦艦ヤマトよりも短けーじゃねーか!
でも、つっこみどころばかりではないですよ。宇宙ステーションの丸みを帯びたデザインとか、謎の生命体の動きとか、なかなかよくできているんですよ。ゲゲゲの鬼太郎みたいな効果音も面白いし。そういうみどころも、結構あります。
上記以外にもみどころは多々ありますが、まあDVDも発売されるというので、つづきはそちらをどうぞ。
さて2本目は「東映版スパイダーマン」です。
70年代にTV放映され、その後の「東映戦隊もの」のはしりとなったものです。
再放送かもしれませんが、こどものころ見てましたよ。おぼろげながら覚えてました。クモのように壁を「這う」といってもロープにつるされて壁から手足が浮いちゃってるとことか、何の脈絡もなく敵方が巨大化し、スパイダーマンも巨大化するのかと思いきやどこからともなく超合金な乗り物が空を飛んできてロボットに変身し、あっけにとられている間に必殺技が繰出されて敵がちゅどーんって倒されちゃうとことか。
まあ、そんなことをおぼえとったわけです。んで、今回の上映。
みてる間に「ああ、そうだったそうだった」と思い出したところも多かったですね。スパイダーマンが呼ぶ乗り物ってのが、獅子のような頭がついて、スフィンクスみたいにかっこいいデザインではあるのですが、ロボットに変形するとその獅子頭がじゃまっけになるのかいきなり背中のコブになってしまう。正面からみるとフツーのロボットの形してんだけど、背中をみるといきなり獅子頭が90度の角度で不自然にくっついているわけです。
スパイダーマンのキメポーズ、重心が低くて、やってるほうは相当つらいだろうなーと思ったら、股関節のやわらかい人を採用したそうです。ナットク。
スパイダーマン上映の前に、当時のアクション監督の方がゲストできてまして、当時の撮影の裏話をいろいろ話してくれたのですが、これが面白かった。というか感心させられっぱなしだった。
当時はCGはもちろん予算もなかったので、お金をかけた合成技術が使えなかったそうです。そんな状況で「壁を這う蜘蛛男」をどうやってビジュアル化するのかというと、ビルの上からロープで吊って、カメラアングルでロープが映らないようにしたんだそうです。
お金が無いなりの工夫。ちょっとしたことにもCG使ういまとなっては考えられないことです。ゲストコメンテーターの庵野秀明監督も「現場で一発撮りの緊張感って今はないですよね」と言ってましたが本当にそのとおり。
それにも増して感動したのが、ロケのエピソード。
外でロケするときには子供達にスパイダーマンがロープで吊られてる姿を絶対に見られないように気を遣ったそうです。子供達の夢を壊さないように、と。
だから、ロケ現場に子供が居合わせると、「今日はもう撮影おしまーい」といったん片付けて、子供がいなくなったのをみはからってソレっと撮影を再開するのだそうです。
ステキな話だなあって思いましたよ。こどもたちの夢を壊さないようにって気遣いが。と同時に、今の子供たちはきっともうそんな気遣い以前の状態なんだろうなあって思って哀しくもなってしまいました。
そんな話を披露してくれたゲストの方は上映前に、「きっと今改めて見るとロープがみえちゃうんでしょうね」ってしきりと恐縮していたけれど、ここで庵野秀明が一言「オトナにはロープは見えませんよ」ってナイスフォロー!!
チープに作られた映画ですからツッコミどころは多々あるのですが、ロケのエピソードをきいてると、かえってほほえましい、というか夢がある、というか、誇らしささえ感じてしまう。当時の製作者たちはお金が無くとも誇りをもって仕事してたんですね。
始まる前まではどんなイベントになるんだろー、と思ってましたが、映画は面白かったし、貴重な映像だし、いい話もきけたし、女子トイレは空いてたし、かなり得した気分でございました。
18日は「東映まんがまつり外伝」に行って来ました。上映作品は深作欣二監督のSF映画「ガンマー第3号宇宙大作戦」と、「東映版スパイダーマン」。
どちらも実写なのに、なぜ「東映まんがまつり」?と思ったら、この2本、かつて本当に東映まんが祭りで上映された作品だったのですね。アニメだけっていうイメージがあったので、意外でした。あ、でも考えてみればヒーロー戦隊ものの実写も上映されたことあるんだから実写もありか。それにしてもスパイダーマンはともかく、深作欣二と「まんがまつり」ってのがすごいミスマッチ。菅原文太とプリクラってくらいミスマッチ。わけわからんが。
1日前の「ジャッカスまつり」もバカ映画を愛する特異な人たちの集まりで場内はただならぬ雰囲気でしたが、この日の「まんがまつり外伝」はそれに輪をかけて異様なもりあがりをみせました。
年齢層は、「ジャッカスまつり」がだいたい20代後半から30代だったのに対し、こちらはさらにひとまわり上。30~40代の、当時をリアルタイムで知るおじさんたちの熱気で場内はムンムンしておりました(こういうマニアックなイベントにおなじみの光景なのが「男子トイレの長い列」。「ジャッカスまつり」よりも女子トイレはすいてたよ。ってか女の子ほとんどみかけなかったし。)
ほんとこの日のマニア度はすごい。画面にキャストやスタッフの名前が出てくるだけで「オオ~」と拍手がおこる(映画の冒頭に出る波頭と「東映」のマークにすら拍手喝采)のはいいとして、ゲストのトークショーで昔の特撮のタイトルがでてくるたびに歓声と拍手がおこる。素人なわたしにはただただ驚くばかり。いやもー、「いい年したオトナがコドモ映画で大はしゃぎ」なイベントでした。
さて「ガンマー第3号宇宙大作戦」の感想を。
前述しましたが、深作欣二監督のSF映画です。しかもオール外人キャスト!でもこどもむけなので吹き替え版です。
ストーリーは、地球に衝突する恐れのある遊星を爆破しに行った主人公たちが、そこでナゾの生命体に襲われる、というものです。
深作欣二といえば任侠もの。別にヤクザは出てきませんが、「男同士の対立、そして友情」は描かれていて、そういうところが彼の作品らしいところかな、と思いました。
とはいってもそこは「まんがまつり」。かなりツッコミどころも満載です。
映画の冒頭は主人公が上官から遊星が地球に接近し、衝突してしまうという説明を受けるところからはじまるのですが、主人公が衝突の理由を尋ねると上官は、「この際原因はどうだっていい」と力強く言い切ります。どうだっていいのかよ!オイオイ!
しかも、衝突するのがあと10日後ってんだから、いきなりすぎる!宇宙戦艦ヤマトよりも短けーじゃねーか!
でも、つっこみどころばかりではないですよ。宇宙ステーションの丸みを帯びたデザインとか、謎の生命体の動きとか、なかなかよくできているんですよ。ゲゲゲの鬼太郎みたいな効果音も面白いし。そういうみどころも、結構あります。
上記以外にもみどころは多々ありますが、まあDVDも発売されるというので、つづきはそちらをどうぞ。
さて2本目は「東映版スパイダーマン」です。
70年代にTV放映され、その後の「東映戦隊もの」のはしりとなったものです。
再放送かもしれませんが、こどものころ見てましたよ。おぼろげながら覚えてました。クモのように壁を「這う」といってもロープにつるされて壁から手足が浮いちゃってるとことか、何の脈絡もなく敵方が巨大化し、スパイダーマンも巨大化するのかと思いきやどこからともなく超合金な乗り物が空を飛んできてロボットに変身し、あっけにとられている間に必殺技が繰出されて敵がちゅどーんって倒されちゃうとことか。
まあ、そんなことをおぼえとったわけです。んで、今回の上映。
みてる間に「ああ、そうだったそうだった」と思い出したところも多かったですね。スパイダーマンが呼ぶ乗り物ってのが、獅子のような頭がついて、スフィンクスみたいにかっこいいデザインではあるのですが、ロボットに変形するとその獅子頭がじゃまっけになるのかいきなり背中のコブになってしまう。正面からみるとフツーのロボットの形してんだけど、背中をみるといきなり獅子頭が90度の角度で不自然にくっついているわけです。
スパイダーマンのキメポーズ、重心が低くて、やってるほうは相当つらいだろうなーと思ったら、股関節のやわらかい人を採用したそうです。ナットク。
スパイダーマン上映の前に、当時のアクション監督の方がゲストできてまして、当時の撮影の裏話をいろいろ話してくれたのですが、これが面白かった。というか感心させられっぱなしだった。
当時はCGはもちろん予算もなかったので、お金をかけた合成技術が使えなかったそうです。そんな状況で「壁を這う蜘蛛男」をどうやってビジュアル化するのかというと、ビルの上からロープで吊って、カメラアングルでロープが映らないようにしたんだそうです。
お金が無いなりの工夫。ちょっとしたことにもCG使ういまとなっては考えられないことです。ゲストコメンテーターの庵野秀明監督も「現場で一発撮りの緊張感って今はないですよね」と言ってましたが本当にそのとおり。
それにも増して感動したのが、ロケのエピソード。
外でロケするときには子供達にスパイダーマンがロープで吊られてる姿を絶対に見られないように気を遣ったそうです。子供達の夢を壊さないように、と。
だから、ロケ現場に子供が居合わせると、「今日はもう撮影おしまーい」といったん片付けて、子供がいなくなったのをみはからってソレっと撮影を再開するのだそうです。
ステキな話だなあって思いましたよ。こどもたちの夢を壊さないようにって気遣いが。と同時に、今の子供たちはきっともうそんな気遣い以前の状態なんだろうなあって思って哀しくもなってしまいました。
そんな話を披露してくれたゲストの方は上映前に、「きっと今改めて見るとロープがみえちゃうんでしょうね」ってしきりと恐縮していたけれど、ここで庵野秀明が一言「オトナにはロープは見えませんよ」ってナイスフォロー!!
チープに作られた映画ですからツッコミどころは多々あるのですが、ロケのエピソードをきいてると、かえってほほえましい、というか夢がある、というか、誇らしささえ感じてしまう。当時の製作者たちはお金が無くとも誇りをもって仕事してたんですね。
始まる前まではどんなイベントになるんだろー、と思ってましたが、映画は面白かったし、貴重な映像だし、いい話もきけたし、女子トイレは空いてたし、かなり得した気分でございました。