おさびし日記

たのしい作文練習帳

おさびし十余首選 塔10月号

2018-10-20 22:00:09 | Weblog
10月20日(土)

【おさびし十余首選 塔10月号】

 テレビより流るるメロディに歌詞つけて朝から明るい私がいる(西藤光美)

 止まらない雨おそろしく胸に生えた腕もて空を押さえんとする(山下泉)

 会釈して尻から座るゆっくりとホームに人の列流れつつ(山内頌子)

 暗算をしながら歩むマーケット卵の奥に何か小暗し(山内頌子)

 捨てられた自転車一台ヒルガオになってゆくのを朝あさに見る(関野裕之)

 水屋より取り出す藍の絵の皿の三人のをとこ橋を渡れり(清水弘子)

 ドロップの蓋はコインで開けたのにブドウは当たりの色だったのに(相原かろ)

 卵膜のつるりと剥けて夕餉まで雨やみし路地をひとまわりする(冨田織江)

 松ぼっぼっぼっぼっぼっぼっぼっくりを拾う お前に投げつけるため(田村穂隆)

 リコーダーを復習ふ子けふは二音のみシソシソシソシソ七夕近し(西山千鶴子)

 ひとしきり工具売り場をさまよへば力湧き来るごとし 帰らむ(益田克行)

 「ところてんは要りませんか」と問はれたり井川で「黒蜜ひとつ」と言へば(岡本伸香)
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