兎の工作室 BLOG

mixiに移行しましたが、たまに更新。

どう違う?ダイヤフラム式ダンパーとエアレーションダンパー

2006-08-03 18:18:13 | Weblog

<撮影:サン丸パパさん・感謝>


突然ですが本日はダンパーの話。

ダイヤフラム式ダンパー&エアレーションダンパーについて
ちょっと掘り下げてみます。

まず ダイヤフラム式ダンパー。

DF-03アルミダンパーはもちろんこれです。

しっかりオイルを入れ、エアを抜いて
手順に従ってダイヤフラムをきちんと載せ、
あふれたオイルをぬぐって
キャップを締めれば、初心者にも正しく組めます。

なにしろ

シリンダーに満たされているのはオイルだけ。
こういう単純明快な流体のことを

単相流

といいます。ストロークを詰めたり
「引き」あるいは「パッツン」で組んでも
ダイヤフラム室で空気が縮むか伸びるかしているだけ。
反発力が変わるだけで

減衰力は変わりません

そのため、オイルやピストンの情報があれば、
セッティングの再現率は高いのです。

このように、初中級者にやさしい
扱いが楽なダイヤフラム式ダンパーですが

ピストンスピードの変化を無視すると、
初期からフルストロークまで、シャフトがどのポジションでも
効き具合は一本調子です。

なので

初期作動か絶対的な減衰力か、どちらか一方を
犠牲にする必要があります。

そのためオフロードでは案外スイートスポットが狭く、
多くの(コアな)EPオフロード屋さんが
ダイヤフラム式ダンパーを前にして眉をひそめるのは
このためです。

一方、各社のハイエンドオフローダーが
こぞって採用しているのが

エアレーションダンパー

エアレーションダンパー内部では、
なにが起こっているのでしょう?

エアレーションダンパーの作動油は、
正確にはオイルではありません。

泡=気体



オイル=液体

の混合物です。こういう微妙な流体のことを


気液ニ相流 といいます

オイル=液体は圧縮できませんが
泡=気体は圧縮できます。

細かい泡が混ざったオイルは、極端にいうと
オイルでできたスポンジ、もしくはムースみたいなものなので
ストロークが小さい場合、入れたオイルの固さほどの減衰力は出てません。
選んだ番手より、ずっと柔らかいオイルとして振る舞います。
細かい凹凸には素早く忠実に追従するため、
結果としてタイヤの接地が良く保たれ、トラクションが向上します。

一方で、ジャンプの着地など、深くストロークした場合
シャフトの体積分、シリンダー内が加圧され
気泡が圧縮されて小さくなり(←追い出されるわけではない)、
作動油は単相流に近づいていきます。
結果、ナマのオイルの固さが発揮され、しっかり踏ん張ります。

小さな凸凹に柔らかく素早く追従し
ストロークするに従って減衰力が高まる…
エアレーションダンパーは一種の可変式ダンパーであり、
簡単な構造で、電動バギーのように重量が軽いくるまが
オフロードで走るためのニーズを見事に満たすため
不動の地位を得てます。

魅力的なエアレーションダンパーですが、

ただし

それは正しく組めていれば・の話です。
その機構上、正しく組むにはダイヤフラム式と異なり、
独自のノウハウが必要です。

最低限、作動油の特性を決定づける「空気とオイルの総量」は
分離状態で把握し、管理してやる必要があります。

そうしないと
ボイルの法則を引っ張りだすまでもなく
作動の仕方・固さの変化はダンパー毎に
てんでバラバラになってしまい
もはやセッティングどころではありません。

てなわけで最初は
正しく組めるよう、知識と習慣を身につけないといけません。

セッティングも、慣れないうちは混乱するでしょう。

だってね、

オイル番手とピストンが同じであっても
ショック全長、「引き」で組むか、「パッツン」で組むかで
減衰力も減衰特性も全く変わってきます。
(気温・気圧も無視できないかも。)

ちなみに圧力が逐次変化する状況下での気液二相流の
解析はとても複雑で、
ボク程度の数学力では数式見た瞬間拒否反応が。orz
数学得意な方は 「気液二相流 オリフィス」のキーワードで
ググってください。

ともかく、

ある程度の知識や経験がないと
セットを再現することはおろか
一台分を正しく組上げることさえ難しいのです。

また、使用時にも注意しなければいけない点があります。
時間が経てば当然オイルの中の気泡はオイル内を上昇し、
ぬけてしまいます。
つまり単相流モードに戻ってしまいますので、そのままだと
固さが出すぎて足がちゃんと動いてくれない・ということがあります。

つまり

走行前に

全てのダンパーを

十分撹拌 してやらないと、

ヒート中に挙動が変わってしまいます。

エキスパートがスタート前にサスをクチュクチュとストローク
させているのを見たことありませんか?
あれはおまじないではありません。
エアレーションダンパーの中身をしっかり混ぜているのです。



以上とりとめもなく
ざっとダイヤフラム式ダンパーとエアレーションダンパーの
作動原理の違いや長所短所を書き連ねてみました。

何かを感じ取っていただけると幸いです。
ご参考まで(・ω・)ノ


<撮影:サン丸パパさん・感謝(・ω・)ノ>
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3 コメント

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結論は「甘い考え・弾む・・」 (まぐろどん)
2006-08-04 00:17:09
なんとなくZX-5ショックをGETして、いろいろ適当に自分の中で「分かった気が」していた本件、実に分かりやすい説明、感謝です!!さすがガイヤヒモーター命名者は違うとです。。。



「そんなこと分かっているじょ」と思う人がおられたら、「それでは人に説明してみんしゃい」といいたいでっす。



エアレーションは、ダーパクで試した結果、立ち上がりの挙動が落ち着いたので、niCさんの言うとおりと思って観てました。同時に「手入れが命」これは、かのYellow氏もっともアツく語る内容でして。。。



「足」に関わる部分、とっても気を配るようになってきた最近の私です。昔は「走ればいいじゃん」だったのですが最近は安定志向を求むように・・・オサーン化現象進行中の私です。
Unknown (くろぅど)
2006-08-04 10:37:01
なるほど~

ダイヤフラム式とエアレーション式にはそんな意味があったのですね。



アソシ系を良く触っていたのでエアレーションに違和感はなかったですが、単純に「ストロークがでかいからエアレーション」だと思ってました。



しかし、最近ハチイチバギーは殆どがダイヤフラム、ショック吸収命のバギータイヤにモールドインナーというのにかなりショックを受けていました。



この流れをタミヤがいち早く取り入れた?のかどうかは定かではありませんが・・・
まぐろどんさん、くろぅどさんどうもです(・ω・)ノ (niC)
2006-08-04 16:11:08
結構迷宮でわけわかめな

EPバギーのダンパーセット

でもまあ、とどのつまり



どんなスケールのマシンでも

走るフィールドは1/1地球



なので



小さいもの・軽いものほど

外乱には弱いようであります。

エアレーションは

そんな「小さなお友達」への

特別な逃げ道かもですね。



そこへいくと



なんたって1/10EPバギー比で

寸法が2割増し、タイヤ径が4割増し

重量なんと2倍。

広いサーキットを電動の倍ぐらいの

平均速度で走るハチイチGPバギーですから

電動ほど細かいギャップに頓着する

必要はなさそうですね(・ω・)ノ





寸法が大きいバギーは

単位時間あたりのストローク量が大きいです。

ということは

ピストンスピードが速いということで、

ピストンスピードが速いと

オイルの粘性抵抗以外の要素

つまりピストンの性格≒慣性抵抗が

大きく影響してきます。

穴数や穴径を落として

柔らかめのオイルを使えば

ダイヤフラム式でも

初期作動と大入力時の反応に

差を付けることが可能だと思います。



なので

実は今ぼくは、それをちまちま検証しています(・ω・)ノ

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