日本盤のTUG OF WARを予約して待っていましたが、多分1度くらいは当初より伸びたのかな。4月の中下旬にアメリカ盤が池袋のオンステージ山野に入荷しました。大量にではなく、ビートルズの棚に1枚だけ。なので数枚だけ入り、1枚ずつ餌箱に入れたのでしょうか。
1980円、いやもっと高かった気がします。あと数週間待てば日本盤が手に入るので待ちました。ジャケットに色合いが濃すぎたのと、当時のアメリカ盤の価格からすると1割程度高かったのも記憶に有ります。
ここからはアメリカ盤の話。
アメリカ盤のマトの打ち方は
A 1st cutting; B 2nd; C 3rd; D 4th; E 5th; F 6th; G 7th; H 8th; J 9th; K 10th; L 11th; AA 12th; AB 13th; AC 14th; AD 15th; AE 16th; AF 17th; AG 18th; AH 19th; AJ 20th; AK 21st; AL 22nd; BA 23rd; BB 24th; BC 25th; BD 26th; BE 27th; BF 28th; BG 29th
です。
なので、
AL 37462-1A が初回マトになります。
AL 37462-1AB が13番目のマト。
マトというのは、原盤=ラッカー盤の製造順番。カッティングマシーンで音をテープから彫った盤です。ラッカー盤は柔らかいので(って触ったことはありませんが)、そこにメッキを流しメタルマザーを作成(凸)、メタルマザーからマザーを作成(凹)、マザーからスタンパーを作成(凸)、スタンパーからレコードを作ります。多分、そうなはず。
よって、最初のラッカー盤をカットする時に、その国々で好まれるだろう音を作っているのではないか、と思っています。事実、アメリカ盤のTUG OF WARはとっても力強く、派手な音に聴こえます。とはいえ、実はUK盤もUS盤もSteve Guy(SG♡)というアメリカのカッティングエンジニアの手によるもので、US盤とUK盤がどうして音の印象が違うのかは、奥が深い何かがあるということで。
で、以前調べたマト研。
ここで注目なのは、コイコイさんが所有のピットマン工場のC/Eが手書きだっていうことです。
で、ピットマン工場のテスト盤を久々に手にして聴いて見ました。これはA面がマトD、B面がマトBで、A面は手書き、B面は活字。ピットマン工場製のレギュラー盤でB面のマトBは活字なので、C,D,E,Fあたりだけ手書きな気がします。
肝心の音ですが、Take It Awayで痛恨の針飛び。これが原因で手書きマトDは採用されなかったのかもしれません。しかし、音がUKテイストなんです。USもUKもSteve Guyがカットしているから当然かもしれませんね。
UKマトはA面もB面も6Uからスタートで、アメリカ盤もカッティングに相当苦労しているようです。3つの工場の手持ちのディスクを全部調べてみました。ついでにUSマザーを利用しているカナダ盤も。
キャロルトン(でっかくGの手書き文字あり)工場は
AA/A AJ/AA AA/K AC/AE BA/AF AA/AE BA/AG
とかろうじてB面にマトAがあるだけであとは全部2桁マト。
テレホート(でっかくTの手書き文字あり) 比較的TUG OF WAR の初期ディスクを生産(なぜなら1982年工場閉鎖)。
J/G J/H J/H AB/G J/H J/G J/G K/G J/G
ここから、成功カッティングのマトは A面J、B面Gだったのではないかと推測出来ます。
そして鬼門のピットマン。NYに近いからここでテスト盤をプレスしたのかもしれません。TUG OF WARの場合はT、Gが刻まれていないものがピットマン工場製と考えて良いでしょう。
手持ちのマトは、
H/A G/B H/A、そしてコイコイさんの手書きのC/E、テスト盤のD/B。
たくさんあるTUG OF WARの中古盤なれど、本当に見つかりません。
カナダ盤は、全部二桁です(バンクーバーとトロントのツナを買い占めました)。 初盤 AG/AC AF/AB AF/AC AF/AB AF/AC
2nd AG/AB AF/AB AG/AC
プロモ(カタログ番号はTCXではなくTC番号です) AG/AC
A面のマトA、マトB、それから手書きマトのUS盤、お持ちの方いらしたら 教えてください。兄弟アルバムのPIPES OF PEACEはUKの初回1U/1U、USのA/A、いとも簡単に見つかるのに不思議です。それくらいTUG OF WARのデジタル録音を初めてラッカー盤にカッティングするのは難しかったのかもしれません。
なお、Steve Guy氏についてもよく詳細が残っていないので今後要調査です(ビートルズ関係では珍しい)。そして、今まで思っていたUS盤もUKでカッティングされたのかということも。
で、このアルバムは1982年11月にデジタル録音した甲斐がありCD化されるのであります。