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EPFL、安価な材料を用いた太陽光水素生成デバイスを開発!

2014-01-19 11:37:16 | 報道
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームが、新たな触媒を利用して、太陽光を利用した水の電気分解による水素生成のデバイスを開発したことが、2014年1月8日付けの Nature Communications に論文として掲載されました。

太陽光を利用する新たな水素生成デバイスの特徴と発電効率
今回開発されたデバイスは、水素生成触媒として硫化モリブデンを、光電極(負極)としては酸化銅を使用しているのが特徴です。酸化銅の光電極上に硫化モリブデン触媒層を成膜することで太陽光による水の電気分解が可能となります。AM1.5太陽光シミュレータを用いた実験では、最大で -5.7mA/cm2@0Vというこれまでよりも高い光電流が測定され(pH1.0の可逆水素電極を基準として測定)、優れた水解能を有することが実証されました。また、白金触媒よりも光電変換層への光透過性が高く、かつ酸性条件下での安定性が向上するという利点もあると報告されています。
太陽光を利用した水素製造技術が確立されれば、太陽電池で作り出した電気エネルギーを利用して水を水素ガスと酸素ガスの形態に変換でき(水のガス分解)、また保存することができます。これらのガスは、燃焼させて発電タービンをまわして大量の電気を作り出すことができ、また夜間に燃料電池用の水素燃料としても利用できるなど、発電だけでなく、太陽エネルギーの保存・貯蔵にも有効であると期待されています。

新水素生成デバイスのセールスポイント  
水素を太陽光エネルギーで水から直接製造する技術は、水分解光触媒プロセスとして1960 年代末から研究され始めましたが、水を効率的に分解できる光触媒としてチタンや白金が利用できることが解明されたのは、5,6年前のことでした。しかし、これらの触媒はレアアースであるために、水素生成デバイスに組み入れられて広く利用される上に、大きなネックになっていました。
当該研究において、水素生成触媒として硫化モリブデンを、また光電極(負極)として酸化銅を使用して、安定した効率の高い水分解ができたことは、科学的意義のみならず、産業・経済的意義もきわめて大きいと思われます。すなわち、これらの触媒は、チタンや白金に比べて安価で豊富に存在するので、その普及やデバイスの規模大型化の上にも意義は大きいと考えられます。

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