行き着けなくても一日一歩の気構えで。たそがれおやじの覚醒。
日暮れて途遠し



週間ポスト2006.8.4の記事です。ネタ元記事は『月刊FACTA』8月号(7.20発売)の「村上ファンド『投資家リスト』」。サブタイトルは「小泉改革を丸ごと否定しかねない。政治家や経営者ら31人の名に『魔女狩り』が始まる予感……」

北朝鮮ミサイル、富田メモ、ポスト小泉などが新しい話題が次々と登場して、例によってテレビでも新聞でも、福井日銀総裁村上ファンド関与責任問題、宮内義彦規制改革・民間開放推進会議の議長の参考人招致問題などもう過去のことのような空気が醸成されている。この村上ファンド投資家リストもテレビ、新聞では影響が大きすぎるのか?一切報道がないようだ。

FACTAもあげられた対象者にはすべて事実関係を問うていてその対応を表にしているし、ポストも政治家に同様の確認を問うている。
朝日新聞は6月15日の記事で、今回名前の出ている堺屋太一氏に「村上ファンド事件――何が問われているのか」でインタビューしている。マスコミの責任としても、事実確認・追求の姿勢が必要なのではないか。

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「有力閣僚」「小泉チルドレン」の名前がズラり
政財界激震、出回った「村上ファンド出資者名簿31人リスト」の標的

名指しされた「竹中平蔵」「片山さつき」……これは一罰百戒の「検察リーク」か、それとも第2の“ガセメール事件”なのか

週刊ポスト2006.8.4

多くのマスコミ関係者が追い続けてきた“爆弾リスト”が、ついに飛び出した。そこに掲載された錚々たる面々に、永田町も霞が関も、そして財界も驚きを隠さない。リストを詳細に調べると、作成者の思わぬ意図が見え隠れしてきた。
「これが事実なら小泉政権は即座に吹っ飛びます。でも、たいへんなものが出回ってしまったなァ……」
こう嘆息するのは、自民党中堅代議士である。
無理もない。出回っているのは「村上ファンド出資者名簿」――挙げられているのは、次のようなビッグネームである。
◆竹中平蔵総務相
◆塩川正十郎元財務相
◆伊藤達也前金融相
◆岡田克也前民主党代表
◆片山さつき経産相政務官
◆堺屋太一元経企庁長官
これはほんの一部。リストは31名に及び、このうち政治家は13名。著名企業の経営者も複数含まれている。
驚きは、「小泉金融改革」を支えた「竹中-伊藤コンビ」が仲良く顔を揃えていることだ。政権発足時に財務相として小泉首相を支えた塩川正十郎氏と合わせ、リストが本物なら、日本の金融財政の中枢は、村上ファンドに“汚染”されていたことになる。
財務省高級官僚が嘆く。
「福井(俊彦)日銀総裁はインサイダー取引で巨利を得ていた村上ファンドに出資していたということで“濡れ手で粟”と大批判を浴びた。規制緩和の旗を振り、金融自由化を進め、村上(世彰被告〉を育てたといわれる竹中総務相などが軒並みファンドに投資しているとするなら、『結局、自分たちのための規制改革か』と、国民はソッポを向いてしまう)
31名リストを公開したのは、会員制経済月刊誌の『FACTA』(8月号)である。この雑誌については後述するとして、村上ファンドには福井総裁以外のVIP口座があると指摘されてきた。
機関投資家相手の村上ファンドは、最低でも5億円が投資単位となる。例外がオリックスが窓口になっていた「アクティビスト投資事業組合」で1口1000万円。福井総裁の投資もここで、「第1回アクティビスト投資事業組合第36号」が、“福井口座”の正式名称だった。福井総裁の1000万円は周知のように2473万円になった。
村上被告のバイタリティと弁舌にオリックスの信用と営業力。それだけに、ファンドへの投資が福井総裁だけとは考えにくく、事実、オリックス元幹部はこう証言している。
「福井さんだけじゃない。宮内会長も村上氏も人脈が広く、政財界の著名人が購入しています」
それだけに村上ファンドの「投資家リスト」を求めてマスコミは駆け回り、7月に入ると、「もうじきリストがオープンになる」「複数のリストが存在する」といった情報が流れ、そうしたなか、『FACTA』発売日の7月20日、記事のコピーが、アッという間に永田町に出回ったのである。

「リストは検察のメッセージ」

『FACTA』記事のタイトルには「村上ファンド『投資家リスト』」。
そのサブタイトルはこう書かれている。
「小泉改革を丸ごと否定しかねない。政治家や経営者ら31人の名に『魔女狩り』が始まる予感……」
確かに政治家は「小泉改革」を担った有力閣僚に小泉チルドレン、そして経済人は「改革」の恩恵を被ったヒルズ族など。まさにその衝撃はメガトン級なのだが……。
『FACTA』の編集・発行人は阿部重夫氏。『日本経済新聞』の元記者で、欧州総局ロンドン駐在編集委員、『日経ベンチャー』編集長を経て退社。99年から03年までは会員制総合月刊誌『選択』の編集長として勇名を馳せた。独立してファクタ出版を設立、このスクープ記事は、創刊第4号の“目玉”だった。
阿部氏は記事に自信を持つ。
「すべて書き尽くしております。リストの入手先は申せませんが、間違いのない資料であるとの確信を持っています」
取材源の秘匿は当然のこと。ただ、リスト流出で考えられるルートは、捜査にあたった検察ルート、家宅捜索を受けた村上被告が代表を務めていたM&Aコンサルティングルート、小口投資の窓口となっているオリックスルートの3つ。このうち、最も可能性が高いのは「検察筋ではないか」と、取材を続ける全国紙司法担当記者はいう。
「村上ファンドやオリックスには、こうしたリストを作成する必要もそれを流出させる意味もない。そう考えると検察筋とみるのが自然だし、同様のリストを所持しているマスコミが数社あると聞いている。同じルートということだろう」
その背景には、検察の捜査中断があると考えられる。
今年に入って、東京地検特捜部はライブドア事件に着手、堀江貴文被告を逮捕、その延長線上でニッポン放送㈱の売買を巡ってインサイダー取引があったとして村上被告を逮捕した。堀江・村上事件の捜査はこれで終了だが、小泉政権が推し進めてきた市場中心主義の流れのなかで、「額に汗して働く国民の気持ちを大事にするような捜査をしたい」という大鶴基成特捜部長の意思は変わらず、6月末に就任した但木敬一検事総長も、「市場の規律と浄化」を掲げている。そこに「リスト流出」の意図を感じる司法関係者は少なくない。
「検察は9月以降、同種のファンドの大きな経済案件に着手していくようだ。しかし、村上ファンド関連では、これ以上の逮捕者は出ない可能性が高い。だからこのリストは、村上ファンド絡みで儲けた政財界人への警告として、一罰百戒の意味を込めて出されたものではないか。“福井総裁だけじゃないのはわかっているよ”という検察のメッセージでもある」(検察OB弁護士)

「総裁選を狙ったタイミング!?」

本誌は独自に、「出資者名簿」に登場する政治家にファンド投資の有無と村上被告との関係を問うた。
最も興味をひかれるのは、小泉政権下で「金融財政改革」を担った竹中、伊藤、塩川の3閣僚経験者が、福井総裁同様、「濡れ手で粟」で儲けたかどうかである。
竹中総務相の事務所には、取材要請を重ねたが、回答はなかった。
塩川事務所は秘書が嘆息してこういう。
「そんな事実は一切、ございません。間違いです」
伊藤事務所は、通産官僚時代に村上被告と面識があったことは認めたうえで、不快感を露にした。
「本人に確認しましたが、『投資などまったくの事実無根で迷惑している』とのことでした」
岡田克也氏は「リストは根拠のない捏造」といい切り、片山さつき氏も投資を否定した上で「面識すらない」と回答。堺屋太一氏は面識はあるが投資は否定。
こうした前述の6人以外にも、リストには7人の政治家の名前が上がっている。
すでに投資の事実が明らかになっている松井孝治参議院議員を除けば、西村康稔代議士と浅尾慶一郎、林芳正各参議院議員や斎藤健元埼玉県副知事らが、交際は認めながらも投資は否定。河野太郎法務副大臣は「投資も面識もない」、茂木敏充代議士からは本稿締め切り時点までに回答を得られなかった。
経済人は揃って「投資した事実はない」といい、その他の各氏も、数人の無回答をのぞいては、投資については否定した。こうなるとよもや第2の“ガセメール事件”ではあるまいが、リストの信憑性に疑問すら漂う。
しかし、本誌取材で、ある1人の経営者の会社が、過去に投資していた事実が明らかになった。ただし、同氏が社長に就任する以前の投資であり、同氏は、「(個人として)自分が載っているとすればまったくの事実誤認だ。それに膨大な数の出費者のなかで、なぜ31名を意図的に抽出、リストにしているのか理解できない」と、リストの流出意図に疑問を呈した。
複数出回っていたとされるリストのなかには、ただ出資者の名前と金額だけが記されただけのものなど、かなり情報量が限定されているものもあったという。
村上ファンド事件の取材を続けるジャーナリストの伊藤博敏氏は、リストの真贋はともかく、流出のタイミングに、「別の意図を感じる」とこう語る。
「サミットが終わり、小泉後継選びが本格化するこの時期にリストが出回ったことは、意味深長です。経済閣僚ほか、小泉改革を象徴するメンバーが多く記載されているのは、小泉改革を否定することにつながる。それは小泉改革の後継者にとって打撃になります。特に竹中総務相は、ポスト小泉の最有力候補といわれる安倍晋三官房長官を支援している人物。彼らを“標的”として牽制する思惑もあったのではないでしょうか」
1枚のリストが政財界を揺るがせた。流出の意図も含め、さまざまな「読み方」ができるところに、村上ファンド事件の「解明されざる闇」があるといえよう。



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