ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

思い込み、ってやつが大敵だ!

2020-07-26 16:09:03 | 暮らし

 ただのボールベンだ。

 デザインはアフリカの衣装みたいで、洒落てる。もっと気に入ってるのは書き心地がすっごくなめらかってことだ。太さも適当だし、おまけに名入り、ときた。

 国境なき医師団からのプレゼントだ。ちょっとばっかし寄付したそのお礼ってこと。ほら、あの10万円、コロナで大変でょ、頑張って!の給付金さ。ゆとりなんってないけどな、年金暮らしはコロナで減収にゃならん。米、みそ、野菜も自給してるしな。だったら、もっと大変なところで使ってもらおうかい、って送らせてもらった。山谷で労務者に炊き出し支援してる団体へと半額5万円ずつね。

 別にそのこと誇ったり、記念にしたりしたいからってわけじゃないぜ。ともかく書き心地がいいんだ。これ芯換えたら、ずっと使えていいよな。どれどれどんな替え芯なんだ?って分解してみた。ほぉーらね、これならきっとネットの文房具屋で手に入る。よしっ、インク使い切らないうちに買い込んでおくか。

 さっ、元に戻そうぜ。

 部品は、筐体上下、インク、スプリングが2つ、インク芯を入れる太めの筒、その中に入るらしい押さえようの筒、一端はぎざぎざになっていて、これと組み合わされるらしい小さな部品、それとポケットに差し込む抑えの金具と頭部のねじ式キャップ、たったこれだけ。

 こんなもん、決まってるさ、はめ込み方なんてな。まずはインク芯に細めのスプリングを通して差し込み、次に、太めの筒をねじ込んで、次は、・・・できた!

 と、思ったら、内部の長さと筐体が一致しない。うーん、やり直し。この筒の入れ方が反対か?いや待てよ、もう一つのスプリング、役割をよく考えろ。よし、これなら内と外は同じ長さだぜ。行けたろ。ありゃ、頭部ねじが、は、は、はまらない。このねじを押し込めれば、すべて完成、のはずなのに、うーん、どうした?女ねじ部分が変形しちまったか?いや、これねじ切られてるか?時計組み立て職人さながら、スタンドランプに近づけて目をしかめてみるが、うーん、老いぼれ視力め、わからん!が、どうしたってここにねじがはまる以外に解決はないっ!

 狭い机の上、何度も分解しちゃ部品をすっ飛ばして拾い、無理やりはめようと試みちゃ取り落し、懐中電灯まで動員して机の下をはいずり回ること数度ならず。手ぼっこの老眼ジジイ、いい加減、うんざりしてきた。が、分解した部品元に戻さないことにゃ、お気に入りの1本だって、ごみ箱行きだ。ここは何として、頑張って、解決策を見つけ出すしかない。

 それにしても、内部部品はたったの6個!組み合わせなんて、数学的に行ったってたかが知れてる。すべての組み合わせを試してみりゃいいんだぜ。と、思いつつも、形がそれぞれ独特なんだ、組み合わせの方法だって限られる。ここは、これとこうセットだろ、このスプリングはここにはまる以外に考えられない。と、なるとやっぱり、キャップの頭部だぜ、問題は・・・・。

 夕食後、軽い気持ちで始めた分解組み立て作業、気が付けば10時をとうに回ってる。い、いかん!たかだかボールペン1本に何をしておる。無駄な時間を費やせる身か?今夜は台本の続きを書くのではないか!

 もういい。とても残念じゃあるが、このボールペンとは相性が悪かったってことだ、諦めだ。が、最後、最後にも一度、試してみて、・・・あっ、も、もしかして、こっちの筒が女ねじになってるんじゃないか?それなら、上手く行くかも知れんぞ。

 お、おーっ!はまった!!なんと、ねじになっている部品を思い違いしてたんだ。どうしたって、これじゃない、こいつは別の用途で、ねじになんてなってない!と、がちがちの先入観、強固な思い込み!そうか、これがひっくり返るなら、差し込み順は、こうなって、スプリングはそうか、筒の外側からか、なるほどなるほど。これなら、筐体の上部が自由に動く。

 ねじキャップを止めて、出来たっ!やったぜ!ジイサン。元に戻せた。良かった、良かった。頭の方は、すんでのところで耄碌しておらんかった。

 さっ、このボールペン、甦りの1本、因縁の1品だぜ。きっときっと、言い台本書かせてくれるに違いない!

 

 

 

コメント
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