ステージおきたま

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白拍子の舞、見たことある?説経節、聞いたことある?

2019-05-21 08:47:03 | 菜の花座

 お見せしましょう、白拍子の舞。お聞かせしましょう、説経節!簡単な話しだぜ、菜の花座公演『異聞・巷説「安寿と厨子王」』見にくりゃいいのさ。

 本物か?って?本物って思えば本物、偽物と思えば偽物さ。だって、当時の映像も音声も残っちゃいないわけだから。なんせ、中世だぜ、中世!正解なんて見つけられないのさ。せいぜい、今に伝わる伝統の舞、能とか神子舞とか歌舞伎の舞踊とか広く見渡して、そこから源流とおぼしき辺りを探るしかない。説経節なら、義太夫とか浪花節とか講談とかか。

 過去の芸能を見通すって言っても、時代考証なんて、大それたたくらみとは無縁だ。あくまで、感触いただいて、そこからはこちらの創作活動だ。そう、それらしく、ってことだ。ええーっ、それが中世の舞?語り?なんて観客に違和感を感じさせないこと。で、なおかつ、今の人たちも惹きつける芸になっていること。ここが、難しいし、やり甲斐もあるところだ。

 白拍子三輪の衣装にしても、巫女さんの赤白の袴姿から出発して、そこを大胆に着重ねて、片肌脱ぎの色っぽい姿を作り出してくれた。音楽も古風な調べながら、明らかに今風の歌になっている。振り付けは日本舞踊の先生に?って団員の思惑を軽く裏切って、モダンダンスのRさんに依頼した。これがなかなかいい。仕舞いの身ごなしも残しつつ、伸びやかなダンス風に仕上がっている。躍り手、音楽、踊りが見事に新しい芸に結晶したって思うぜ。

 

 さらに、苦心惨憺だったのが、説経節だ。舞いの方は、まだいろんな芸能が残っていてそこらからあれこれ類推することができる。が、説経節となると、今に伝わるのは語りの台本のみ。グーグルで画像検索してみても、果たしていつの時代のものやら、他の門付け芸やら判然としないのだ。衣装にしても、新内流し風のぞろりと着流しのものから、三河万歳の直衣(のうし、または、なほしと読む)に烏帽子ものと、これぞ、という決定版には行き当たらない。

 だったら、ここは新しい説経節語りを創造しちまえばいい。で、出来たのが、大黒舞風の旅芸人姿だ。これも彩りに今風のセンスが散りばめられている。足袋だって見ものだ。白拍子といい説経節語りといい、衣装さんのセンスの良さが生きている。説経節をどう語るか、これまた伝統を生かしつつ、菜の花座バージョンに仕上がりつつある。

 無謀な試み、中世芝居!こうやって無理難題を一つ一つ片づけて、新しい世界を築き上げて行くわけだ。菜の花座、気付いてる人は気付いてるが、いつだって新しい取り組み、工夫に挑戦してるんだぜ。

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