ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

野田秀樹は頭の体操

2010-05-28 21:55:30 | 教育

 さあ、中間試験が終わった!いよいよ定期公演『カノン』に向けて全力疾走の時だ。生徒たちが最後の試験で頭を悩ませている時間帯、顧問二人で綿密に演出プランの練り直しをした。

 すでに立ち稽古は初めていて、柱を何本も作って、それを舞台中に立てるってアイディアは出来ていたんだ。でも、柱を何本、どこに立てるかが決められないでいた。柱を立てるって実はとっても難しい。中央よりに立てたりするとその奥かなりのスペースを観客から隠すことになるし、照明の妨げにもなる。出はけにも支障かでたりする。舞台空間を立体的に仕切れる所は素晴らしいんだけどね。

 しかも、今回は9本なんて、やたらな本数を立てちまうことにしたもんで、う~~~ん、どさ立てる?しかも、うまくねえよな、劇の象徴的道具立てとして2間×9尺なんてとてつもない絵を中央奥に出さなくちゃなんないんだ。『民衆をひきいる自由の女神』って、ほら世界史の教科書に載ってるでしょ、片手に銃を片手に旗を掲げてバリケードを先頭に立って乗り越えていく女性の絵。これが最初と最後のクライマックスなので、これをすべての客席からしっかり見切れるようにしなくちゃなんない。

 ああでもない、こうでもないって思い悩んでいたけど、もうここまで来たら決めんなね。パズルみたいに柱動かしながら、もう!これしかない!これで決まり!!後は、この柱で区切られた空間をやりくりして、次々に展開するシーンを描き分ける。

 この巨大な絵が盗まれるってシーンもあんだぜ!盗賊一味が待ち伏せにあって弓を雨あられと射かけられるなんて場面も!さらに極めつけ、巨大な鉄球が家の屋根や壁をたたき壊す!?できねえだろ、こんなこと!!!!!

 ほんと、野田芝居は頭の体操だ!野田MAPなら優秀なスタッフが役者の数倍も控えていて舞台裏を魔法のように取り仕切るんだろうけど、高校演劇だぜ、部員の大部分はキャスト。残るは舞台監督、照明、音響のぎりぎり数名だけ。しかも技術なし!機械力無し!資金無し!!この自由奔放、勝手気まま、やりたい放題の台本とどう面と向かえばいいって言うんだ!!

 ってぶつくさ言いながらも一昨年の『キル』に続いての挑戦なんだよな。結局、好きなんだよ。このパズルが、頭の体操が。無理難題が提示されればされるほど、負けるもんか!なんとか切り抜けてやるって闘志が猛然とわき起こって来るんだよね。これが野田の台本にぶち当たっていく隠れた動機なんだろうね。

 もちろん、高校生ができることだ、たかが知れてる。ちゃちな仕掛けだ。ごまかしも随所。所によってはト書きぶっ飛ばして、無視!それでも、精一杯考え、二ヶ月近く装置や衣装や道具作りに没頭して、なんとか切り抜けるべく頑張っている。さあ、その成果、どう現れるか?おっと、まだ最後のシーン、絵から血が流れって場面の工夫が終わってなかった。

 なに?血を流しゃいいだろって?そうはいかないんだよ、2回公演だからね。2間×9尺なんて絵2枚も準備できるわけないだろ!う~~~~~~~~ん、どうするぅぅぅぅぅぅぅ!

コメント
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