ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

バンダラコンチャ『相思双愛』

2009-05-21 23:56:59 | 演劇

 どうもいかん!最近舞台を無心に見ることができなくなっている。ついつい、お前はどうなんだよ、って自分に突っ込みを入れながら見てしまう。とりわけ優れた芝居についてはそうだ。ああ、こんなの書けないよ!こんな舞台作れねえよ!当たり前だろ、あっちはプロだもの。それで飯喰ってる奴らだもの。

 でもさ、そう簡単にあっちとこっちを分断したくないんだよ。飯が懸かってようといなかろうと、作品で勝負は同じだぜって立ち位置は、断固譲りたくない。向こう意気だけでもそのくらいはつっぱっていたい。

 だから、近藤芳正パンダラコンチャ『相思双愛』には落ち込んだ。台本が良いんだよ。て言うか、僕には絶対書けないな、って打ちのめされてしまった。自分の書く本のいたらぬ部分をぶすっと差し貫かれた気分だった。どういうことか?大したストーリー展開もないのに、だらだらと、いや違った、くどくどと、またまた違う、みっちりと書き込めるせりふ力のことだ。よくもあんな風に書けるもんだ!これもちろん賞賛です。

 何故って、僕が書くモノは、結局ストーリーに頼り過ぎてるってことなんだ。そう、これが僕の大きな欠点。ストーリーを転がし過ぎるってことだ。その点、今回の芝居は、途中三分の一でほぼ全容は見通せてしまう。なのに、こまめに丁寧に会話を描ききって飽きさせない。とりとめもないやりとりの中にほんのりと、時にはくっきりと登場人物の思いが浮かび上がる。不思議な二組の相思双愛がじんわりと心に迫る。もちろん、近藤が引き出す笑いもふんだんに盛り込まれている。こういうせりふ劇を書けたらな、と思った。だから、暗い気分でプラザを後にした。

 でも、こういうものだけが、芝居じゃない。あちらこちらと飛び跳ねるストーリーに身をゆだねるおもしろさだって、芝居の醍醐味の一つだろう。スリリングな展開の中に差し込まれた観客を刺し貫く一つのせりふ!そんなあり方だってありなんだって、気を取り直すまで丸1日かかった。そうなんだ、舞台も千差万別!人生いろいろ、舞台色とりどり!無いモノねだり、出来ないモノ羨ましがってることはない。僕は僕の書けるものを書けばいい。

 とは言うものの、この舞台のようなねっとりとしたせりふのやりとり、書けたらいいよなぁ!

 

コメント
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