TAOコンサル『市民派アートコレクターズクラブ』

「注目の現代作家と画廊散歩」
「我がルオー・サロン」
「心に響いた名画・名品」
「アート市民たち(コレクター他)」

及川伸一展~ねむいねこ~ @ギャラリー403

2014年06月12日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 

 ドミノのコマのような、縦長のキャンバスの上と下に2つのモチーフが配置された作品が大半を占めていました。男性、数学や物理のような図、女性、ネコ、記号やマーク。背景の情報もなにもない空間に、ポッと置かれた2つには、パッと見たところ、明らかな意味合いや必然性といったものは一切感じられません。けれども、2つが選ばれたペアとなって上下に並べられると、どうなるか。見る側としてはそこに、たとえば、何らかの対比や、共通項や、バランスや、相反や、といったなにかしらの関係性やストーリーを探ろうとしたり見つけ出そうとしたり生み出そうとするものではないでしょうか。2つということを意識してついついキョロキョロしたり凝視してしまう。そんな想像の膨らむ楽しい時間を与えてくれる作品たちのように思いました。(それが伝わる作品の写真が掲載できないのがとても残念!)(山本理絵)

ギャラリー椿にて本江邦夫氏とバッタリお会いし、暫し歓談

2014年06月07日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
ギャラリー椿の富田有紀子展及び門倉直子展を鑑賞していたら、本江邦夫氏が入って来られた。
私はかつて市民派コレクターによる山田正亮コレクション展を企画したことがあるが、この時大変お世話になった。そんな訳で大変懐かしく、暫らくの時間歓談することになった。
本江さんはアートの世界の有名人であり、改めて語る必要はないが、多摩美大の教授であり美術史家である。東京国立近代美術館時代にはルドン展などを企画し、シェル美術賞その他の審査員として多くの若手アーティストを世に送り出して来られた。この日は、そんな話題も含め久しぶりの美術談義となった。

本江邦夫氏と私のビジネスパートナーRYさん

そもそも美術館は評価が定着した有名画家の展覧会を企画することが多いが、もっと世に出て優れた作家を発掘するなどの活動をすべきある。そういう中で、率先してを実践してきたのが本江邦夫氏である。本江さんが推薦し世に紹介してきた作家には黒田アキ、辰野登恵子など何人もいるが、自分はそういう仕事ができたことを満足している、とその自負を語っておられた。
久しぶりであったが、本江さんの本音と美術のついての薀蓄を聞くことができ、楽しいひとときであった。美術談義のあと、門倉直子さん及び私のビジネスパートナーR・Yさんを交え、写真を一枚。

本江邦夫氏とアーティスト門倉直子

清水玄太 石彫展 @東邦画廊

2014年06月06日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩


 安山岩を彫った石彫は、どれも素朴でユーモラスであたたか。清水さんの口調や雰囲気そのものです。彫る際には、素材そのものの形や表面を活かして、敢えて何も手を加えない部分を残しつくりあげているそうです。足すのでもなくて、引くのでもなくて、そのままに残す。言い換えるなら、この石彫たちは清水さんと安山岩自身との共作なのではないでしょうか。何かを表現したり伝えようとしているのは人間だけでない。草や木や石だって、何かを表現しようとしているにちがいない。そんな自然たちの意思をも、清水さんの作品は気付かせてくれます。もともとは石垣だったという安山岩を素材に使っていることを考えると、何百年も昔に生きた名も無き石工たちも、共作、コラボレーションの一員に加えていいのかもしれません。(山本理絵)

門倉直子展 @ギャラリー椿

2014年06月06日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 このところ、ずっと少女の絵を描き続けているという門倉さん。少女というと連想されるのは、あどけなさや可愛さや未成熟さ。でも、門倉さんの描く少女は違う。見る側をグッと睨み強い眼差しを大きな瞳から送りつけてくる。「あなたは今、それで本当にいいと思うの?」と、弱い心や妥協や惰性に自省を促すような視線。不動明王や金剛力士像をふううーっとソフトにさせた睨みを感じます。不動明王のような絶対的な怖さがないだけに、逆にジャブのように効いてくる。そんな力を感じる少女たちです。(山本理絵)




(5月26日~6月7日)
ギャラリー椿 東京都中央区京橋3-3-10第1下村ビル1階

谷口仙太郎展・・重量感あるマチエールの風景・人物像

2014年06月03日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩

私の絵の好みは幅広いが、人気作家より無名で人知れず頑張っているような画家の作品に関心がある。その一人が銀座の片隅の酒場の主人、谷口仙太郎である。その彼が店をたたんで本格的に絵を描き始めた。その作品が実にいいのだ。
作家本人からご案内をいただき、永井画廊の個展を覗いてきた。台湾への旅で心に残った建物風景、木々の向こうを見ながら立つ人物像など重量感あるマチエールのモチーフがズシンと心に響いてくる。


小生、元々彼の作品に惹かれるところがあり、一点所蔵しているのだが、改めてその資質を見直してしまった。若い頃、ヨーロッパ的なスマートな絵画でなく、メキシコのリベラやシケイロスの反骨的な壁画に惹かれたとのこと、成る程と納得できる。(T・Y)

右、谷口仙太郎氏

右作品「圓山大飯店」