私の絵の好みは幅広いが、人気作家より無名で人知れず頑張っているような画家の作品に関心がある。その一人が銀座の片隅の酒場の主人、谷口仙太郎である。その彼が店をたたんで本格的に絵を描き始めた。その作品が実にいいのだ。
作家本人からご案内をいただき、永井画廊の個展を覗いてきた。台湾への旅で心に残った建物風景、木々の向こうを見ながら立つ人物像など重量感あるマチエールのモチーフがズシンと心に響いてくる。
小生、元々彼の作品に惹かれるところがあり、一点所蔵しているのだが、改めてその資質を見直してしまった。若い頃、ヨーロッパ的なスマートな絵画でなく、メキシコのリベラやシケイロスの反骨的な壁画に惹かれたとのこと、成る程と納得できる。(T・Y)
右、谷口仙太郎氏
右作品「圓山大飯店」