TAOコンサル『美術史からの思索』

「ルネッサンス~東洋美術」
「ぜひ見ておきたい展覧会」

NY便り(東京発)・・MOMA(NY近代美術館)はモダンアートの殿堂だ

2015年05月23日 | ポスト印象派~モダンアート
MOMAの誕生は1929年、モダンアート・同時代の美術は過去の美術と同様に重要かつ不可欠なものであるという理念のもとに設立された。研究テーマも絵画や彫刻だけでなく、映画や写真、建築とデザイン、版画と挿画本などを対象に、20世紀以降の現代美術の発展と普及に貢献して来た。
 ピカソ

 ゴッホ

現在、MOMAのコレクションはポスト印象派及びモダンアートを中心に15万点をはるかに超える。収蔵作品は、ピカソの「アヴィニヨンの娘たち」やゴッホの「星月夜」をはじめ、セザンヌの「水浴の男」やモネの「睡蓮」、シャガールの「誕生日」やワイエスの「クリスティーナの世界」など、名品中の名品が揃っている。しかもモダンアートについてはカンディンスキーやモンドリアンから始まり、ジャクソン・ポロックやアンディー・ウォーホル、ジャスパー・ジョーン、マーク・ロスコなどの一級品を中心におびただしい数に及ぶ。
マチス

私はこれらの主要作品を観た後、特に好きなジャクソン・ポロックのアクション・ペインティングや、観る者を包み込むようなマーク・ロスコ、針金のような細い人物彫刻のジャコメッティー、赤一色の静かなバーネット・ニューマン、フランク・ステラのストライプ、その他フランシス・ベーコン、ウイレム・デ・クーニング、サイ・トゥオンブリ、アド・ラインハート、ブライス・マーデンなどをじっくり眺める。これらの作品は私を哲学的思考の世界に引きずり込む。至福のひとときである。
 
アンディウォーホル

 
マークロスコ

 
バーネットニューマン

MOMAには河原温や杉本博司など日本人の作品も収蔵されているが、この日は草間彌生の作品が展示されていた。おおー、こんなにあると圧倒されるよ(笑)。
 草間彌生

私の美術館の楽しみは作品鑑賞だけでなく、カフェでワインや珈琲をゆっくり楽しむことにもある。彫刻庭園の脇には本格フレンチ「ザ・モダン」があり、彫刻を眺めながらのディナーは最高である。孫たちが一緒の日はカジュアルなカフェでのランチがいい。この日は上階の気さくなレストランで、生ハムのサラダとビールでランチを楽しんだ。

NY便り(東京発)・・ニューヨーク近代美術館が好きだ、彫刻庭園で寛ぐ贅沢

2015年05月20日 | ポスト印象派~モダンアート
娘家族と息子家族が暫らく暮らしていたこともあって、ニューヨークには何回か旅している。NYで一番好きな美術館はニューヨーク近代美術館(愛称MOMA)だ。マンハッタンのほぼ中央に位置し、谷口吉生のシンプルなデザインが都会の雰囲気に溶け込むように建っている。


MOMAはモダンアートの殿堂である。収蔵作品はポスト印象派以降の近現代美術である。私は30代半ばに現代美術を観て美術が好きになったが、当時本格的な作品を見る機会は少なかった。MOMAにはそんな名品たちが信じられない程たくさん展示されている。

私はこの美術館に行くと、彫刻庭園で暫しの時間漂うように過ごす。最高のひとときである。
ここにはジャコメッティやバーネットニューマンなど、私が好きな彫刻が幾つもあり、ベンチに座って日向ぼっこする。都会の中にありながら、その喧噪を離れて暫しの時間を過ごす。なんという贅沢であろうか。

ジャコメッティー


ヘンリー・ムーア


バーネット・ニューマン


NY便り(東京発)・・グッゲンハイム美術館で河原温特集を観る

2015年04月11日 | ポスト印象派~モダンアート

NYのグッゲンハイム美術館はカンジンスキーなどで知られる美術館である。マンハッタン中心部からは少し遠いが、この日、グランドセントラル駅を起点にマディソン街及び5番街の街並みを眺めながら歩いて美術館に向かう。両脇にはブランド店が軒を連ね、ガゴシアンGなど著名なギャラリーもある。
美術館に着くまで知らなかったのだが、偶々河原温特集をやっていた。なんという幸運であろうか。

河原温は時間や存在を扱った「コンセプチュアル・アート(概念芸術)」の第一人者として国際的に高い評価を受けている現代美術家である。1年前に81歳で亡くなったが、この展覧会はその死に敬意を表しての企画であろうか。
河原温作品・MOMAにて

 日付絵画と同日の新聞
葉書シリーズ

河原温は60年代半ばにニューヨークに拠点を移して活動して来た。ただ、メディアに登場することもなく、私生活がほとんど不明の芸術家として知られている。渡米後の作品は時間や空間をテーマにした観念的なものといえる。1966年から描き続けられてきた日付絵画「TODAYシリーズ」はキャンバスにその日の日付だけを丹念に描くというもの。その他「Iam Still Allive」という文面の電報を世界各地から発信するシリーズや絵葉書にその日起床した時間を記して特定の知人に郵送する「I Got Up」など幾つかのシリーズがある。
グッゲンハイム美術館の内部は大きな吹き抜けになっており、円を描くようにゆったりしたスロープがあり、この壁に河原温作品は飾られていた。作品を見ながら、こういう独自の世界を築き上げた河原温という作家に改めて脱帽してしまった。
河原温の画集を観ながら

セントラルパークを眺めながら特製ジュースと珈琲

私は30代半ばに三重県鳥羽を拠点にアート活動をしていた青年から現代美術を学んだが、河原温や杉本博司のことを語ってくれたことを懐かしく思い出した。

ヴェルサイユ宮殿で開催中の李禹煥(リ・ウーファン)展のこと

2014年09月07日 | ルネッサンスから東洋美術まで
パリ・ヴェルサイユ宮殿で李禹煥の特別展が開催されている。
李禹煥は今年78歳。若い頃、韓国から移住して以来哲学を学び、その後もの派の中心的存在として活躍して来たアーティスト、今回はヴェルサイユ宮殿で立体を中心とした展覧会である。(以下は本日のNHK日曜美術館で放送された画像である)




展示作品は自然の象徴としての石と人工物としての鉄を配置したものが中心であるが、李さんは「自然の未知なるものが無限性・宇宙の大きな力、いろんな要素を引き出してくれるのが芸術の面白さ」と語っていた。




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私は20年以上前から李禹煥に関心を持ち、作品を見続けて来た。2003年にソウルで開催された回顧展にもシロタ画廊主催の旅に参加、李さんを囲んで会食するなど楽しい思い出であった。下記写真は回顧展及びブログに作家の紹介文を書いた折のものである。

2000年頃、李さんと歓談

 作品 初期Correspondance作品

 2003年ソウル回顧展の旅

東京写真美術館、植田正治とロベール・ドアノーの作品と遊ぶ

2014年08月12日 | ルネッサンスから東洋美術まで
東京写真美術館

恵比寿ガーデンプレイスにある東京写真美術館が改修工事に入るらしい。そんな噂を耳にして、ビジネスパートナーのRYさんと早速出かけた。そう、二人とも建物の外壁にある写真家の作品が好きなのだ。植田正治とロベール・ドアノーの写真である。
だが、見るだけでは面白くない不良老年、植田作品のオブジェの真似して写真の中に入ろうとする。BPのRさんも真似してドアノーの写真の前に立とうとする。どうかな、うまく溶け込んでるかなあ?だって。・・困ったもんだね、二人とも~。それ名品なんだよ(笑)。
不良老年、オブジェになる
    BPのRさんも真似して

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植田正治は人間をオブジェのように配置する構図の作品など、前衛的な演出写真で知られている。特に砂丘シリーズで有名である
   

ロベール・ドアノーはフランスの写真家、「パリ市庁舎前のキス」で有名である。


ヤゲオコレクション展・・現代美術ハードコアの収集に驚嘆!

2014年06月26日 | ルネッサンスから東洋美術まで
東京国立近代美術館のヤゲオコレクション展を観て来た。まず、現代美術のハードコアは世界の宝という展覧会のサブタイトルがいい。並んでいる作品も、アンディーウォーホルをはじめ、マーク・ロスコ、ウィレム・デ・クーニング、ゲルハルト・リヒター、フランシス・ベーコン、杉本博司など、まさに現代美術のハードコアの作家のものばかり。私は30数年前にコレクションを始めた初期、これらの作家の研究に力を入れたこともあり、嬉しい展覧会であった。個別には中国の作家サンユー(常玉)の作品や杉本博司の最後の晩餐などが素晴らしかった。


このヤゲオコレクションのことは最近現代美術の世界で話題になっているが、台湾のヤゲオコーポレーションの会長であるピエール・チェン氏が25年間に収集したもので、西洋と東洋の現代美術を対象にするなど作品収集の方針は注目に値する。特に素晴らしいのは、まさに現代美術の中核作家を中心に取り組んで来たこと。




このコレクション展を観て改めて考えさせられたことがある。アメリカには現代美術コレクションが幾つかあるし、台湾にもヤゲオのような素晴らしいコレクターが出現した。しかし日本にはない。何故なのか。日本人はゴッホや印象派など評価の定まった作品への収集意欲は強いが、現代美術への関心は薄い。高度経済成長も経験したというのに、日本の資産家も企業家もこういうコレクションをする勇気がなかったということか。伝統的な美術も素晴らしいが、やはり、いまだ評価が定まっていない同時代の美術に挑戦するくらいの精神を持ってほしいものだ。



米国ハドソンヴァレーで見たシャガールのステンドグラス

2013年08月19日 | ルネッサンスなど西洋美術を見る眼
 フェイスブックに、知人のご家族Sa.Tさんがフランスの地方都市ロレーヌの大聖堂とシャガールのステンドグラスの写真を掲載された。特にステンドグラスが素晴らしいとのメッセージを見て、2年前にアメリカで見たシャガールのステンドグラスのことを思い出した。

 ニューヨーク、マンハッタンの北に位置するハドソンヴァレーは、緑が美しい渓谷である。ここにはかつてロックフェラー家が3代にわたって暮らした豪邸があり、その敷地の一角にユニオンチャーチという教会がある。小さいが美しい教会だ。この教会の礼拝堂に足を踏み入れると、正面と後方にマチスとシャガールのステンドグラスがあり、外からの光に輝いていた。
特にシャガールのステンドグラスはブルーの色が美しい。
シャガールのステンドグラスの一部

礼拝堂内部とシャガールのステンドグラス

ロックフェラー家の教会ユニオンチャーチ入口

舞踏家田中泯と現代美術フランシス・ベーコンの世界

2013年08月18日 | ルネッサンスなど西洋美術を見る眼
 先日、現代舞踏家田中泯のトークショーを観ながら、「画家ベーコンを踊る」と題したテレビ番組のことを思い出した。
フランシス・ベーコンは英国を代表する現代美術の画家である。作品は難解である。どちらかというと気味悪い顔や、暗く、重く、不安な作品が多い。絵に表面的な美を求める人には不向きかも知れないが、20世紀を代表する画家と評されている。
 
 番組では、田中泯はベーコンの絵と向き合いながら、絵がわかるとかいうことではなく、引き取ったということだと語っていた。そして作品を前に素裸で踊るのだが、次第に気持ちが高揚し、叫び、泣いていた。ベーコンとの最初の出会いは30年前、師の土方巽から絵を見せられた時であったという。

 ベーコン没後20年の今年、東京国立近代美術館から始まったフランシスベーコン展は現在豊田市立美術館を巡回中である。ベーコンは人間を描いている。不安を描いている。戦争体験で多くの死を目にして来たことが意識の根源にあるのだろうか。その絵には迫ってくるような存在感がある。観る者の心に突き刺さってくる絵である。しかし、描かれている世界は悲劇的だが、僕はそこに微かな希望を感じる。
 





ラファエロ展、優しさと憂いの傑作『大公の聖母』を見る

2013年05月17日 | ルネッサンスなど西洋美術を見る眼
 聖母子の画家とも呼ばれるラファエロの作品が来日した。ラファエロ・サンティと言えば、レオナルド・ダヴィンチ、ミケランジェロと並ぶイタリア・ルネッサンスの巨匠の一人だ。


 今回の目玉作品『大公の聖母』はラファエロの代表作の一つであり、史上最高の聖母とも言われる最高傑作だ。聖母マリアの視線は下に向けられ、我が子イエスの運命を悟ってか、悲しげに見える。構図も、輪郭を描かない技法のためか、全体に優しく柔らかいイメージである。しかも背景が黒一色であることも手伝って、造形や色彩の美しさが際立っている。

その他素晴らしい作品が何点も来ている。特に『友人のいる画像』が印象に残った。自画像と肖像画が一緒に描かれた変わった人物画で、後方から友人の左肩に手を置いた人物がラファエロである。

 ラファエロは1483年、イタリア中部のウルビーノで生れ、その卓越した才能は皇帝や貴族に愛され、ヴァチカンの壁画『アテネの学堂』の制作にも携わる。この作品、是非見てみたいものだ。(山)

ピエトロ・ロレンツェッティの『夕日の聖母』のこと

2013年01月15日 | ルネッサンスなど西洋美術を見る眼
 私の書斎は現代美術を楽しむための小さなスペースであるが、オープンキッチンの後ろにイタリア・フィレンツェ時代の画家ピエトロ・ロレンツェッティの作品が架けてある。勿論本物ではないし、イタリア・アッシジの土産物店で買ってきたただのエスタンプだ(笑)。

 アッシジはイタリア中部、ウンブリア地方の丘の上に建つ、長さ5kmの城壁に囲まれた中世要塞都市である。ここには1253年に完成したゴシック様式のフランチェスコ聖堂があり、聖フランチェスコが眠っている。フランチェスコ聖堂の建築にはチマーブエやジョット、シモーネ・マルティーニ、ピエトロ・ロレンツェッティなど錚々たる芸術家たちが携わった。

 
 その一人、ピエトロ・ロレンツェッティは弟のアンブロージョと共にシエナ派の代表的画家として知られるが、その傑作の一つがフランチェスコ大聖堂の下堂に残されたテンペラ・フレスコ画『聖母子と洗礼者ヨハネと聖フランチェスコ』である。窓から差し込む夕日がその金色の背景に反射した時の美しさが素晴らしいことから、『夕日の聖母』とも呼ばれている。

 作品は聖母子が対等に視線を合わせて語り合う脇に洗礼者ヨハネと聖フランチェスコが立つ構図であるが、いまだ平面的な人物表現が主流であったと思われる14世紀のこの時代に、画期的な表現であったと思われる。(山下)




オープンキッチンに架けてあるエスタンプ『夕日の聖母』




西洋美術史講座、万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチ

2012年02月19日 | ルネッサンスなど西洋美術を見る眼
 美術史家Sさんによる西洋美術史講座ももう4年、その第14回である。この日は盛期ルネッサンス美術のレオナルド・ダ・ヴィンチということで、皆、楽しみにしている様子である。テーマは『底知れぬ叡智、万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチ』。
 建築家でもあるフィレンツェ生まれの美術史家ヴァザーリは『レオナルド伝』の中で、「人が天から豊かな才能を与えられるからといっても、普通にはごく常識的な範囲で与えられるものだが、時にはその範囲を超えて与えられることがある。つまり、同一人物が美と品位と才能とを一身に兼備し、その人物の成すところ神に通じ、万人に抜きんでているがために、その才能が後天的なものでなく、天与のものであることが示される。レオナルド・ダ・ヴィンチの如きは、まさにその好例というべきである」と語っている。

 

 ヴァザーリの語るとおり、レオナルド・ダ・ヴィンチはミケランジェロ、ラファエロと並ぶ盛期ルネッサンス時代の巨匠の一人であるが、その才能は抜きんでていた。。作品は「受胎告知」「モナリザ」などよく知られており、いずれも人気が高い。よりこさんの講義の後半は、そんな作品群の、スライドによる解説である。

 作品を一点紹介する。『聖アンナと聖母子』は、晩年期(1510年頃)に制作されたレオナルドの最高傑作の一つである。マリアの母アンナが、聖母マリアとイエスを抱く構図の作品であるが、柔らかい人物表現が素晴らしい。

作品解説の後はお茶会である。女性陣が準備してくれたお菓子や珈琲を戴きながら雑談する時間も好評である。

『空海と密教美術展』、見応えある東寺の仏像曼荼羅

2011年08月30日 | 天平文化など日本美術の魅力
 “即身成仏”とは、真言密教の教えである。密教を日本にはじめて伝えた弘法大師空海は「人は皆、仏としてこの世に生まれ、その人しかできない仏としての働きが託されている。」と説いた。

 密教はインド大乗仏教の流れをくむ一流派であり、大日如来が自らの悟りの世界を説いた教えであると言っていいだろうか。文字通り、秘密の教えであり、難解である。空海みずから「その教えは奥深く、文筆で表し尽くすことは難しいので、図画を用いて教えを広める」という言葉を残しているとのことであるが、そんな訳で、真言密教では造形を重視している。

 東京国立博物館で開催中の『空海と密教美術展』には、空海が中国から請来した経典や絵画、法具類などと、平安前期の代表的作品が展示されている。特に、京都教王護国寺(東寺)には、大日如来を中心とした仏像曼荼羅21体が安置されている。曼荼羅とは聖なる空間のこと。

 今回の展覧会では、菩薩二体、明王二体、梵天・帝釈天、四天王二体による計八点が展示されているが、この仏像曼荼羅は、まさに密教の宇宙観をあらわす曼荼羅を立体表現した世界である。特に、金剛法菩薩坐像、金剛業菩薩坐像は面長で精悍な顔立ちや引き締まった身体表現が美しく、見応えあった。

 私の美術コレクションの中に、松田正平の『大威徳明王』なる作品がある。そんな次第で、“水牛に坐した大威徳明王像”は、特に興味深く、その力強い造形におおいに満足した。(山下)




アートサロンでのクリスマス会、赤ワインとローストチキンで乾杯

2010年12月19日 | ルネッサンスなど西洋美術を見る眼
 
この日、我が書斎&ルオーサロンのクリスマス会に16人の紳士淑女が集まった。2か月に1度開催している美術史家Sさんの西洋美術史講座の仲間たちである。いつもは、ルネッサンスを中心にした美術史の講座に真剣そのものであるが、この日はお勉強なしということで、皆、楽しそうにはしゃいでいる(笑)。

 会の準備は、美穂さん、加音さん、玉恵さん・理絵さんなど4人の女性たち。早めに来ていただき、クリスマスツリーの飾り付けやオードブル料理などを作っていただく。嬉しいね。

 さて、いよいよ会の始まり・・・クリスマスの日くらい讃美歌で始めたいではないか、という訳で、うろ覚えの312番を皆で歌って、シャンパンで乾杯!そして、ローストチキンやピザにナイフを入れる。テーブルの上には差し入れのワインやお惣菜、お菓子などが山のように並んでいる。

 実は、この日のために53インチ大型テレビを装備したのだが、これがとてもよかった。ブルーレイの映画『セントオブウーマン』のさわりを見たり、一昨年のフィレンツェ、アッシジなどイタリアへの旅の画像を映して楽しんだ。
勿論、ルネッサンス美術の解説は美術史家Sさんである。そして、美術談義や映画の話題、ワインを飲みながら、皆大賑わい、楽しい夜であった。メリー・クリスマス!(山下)


全員ではないが、記念写真!


女性陣が飾り付けたクリスマスツリー・・ビューティフル


賑やかに楽しそうな女性たち


“一の蔵”の原酒も用意したよ・・喜ぶ男たち




西洋美術史講座第12回『初期ルネッサンス美術』のこと

2010年10月10日 | ルネッサンスなど西洋美術を見る眼
 我が書斎&サロン『流れる星のサーカス』での西洋美術史講座も12回目となった。私は30年近いコレクション人生の中で、たくさんのアート作品を見てきたが、その中心は現代美術であり、印象派以前の西洋古典絵画については詳しくない。
これらを理解するには、西洋の歴史・哲学、聖書の知識などが必須であるが、この講座のお陰で古典絵画を見る目も養われつつあり、嬉しい限りだ。

 ぐずついた天気が続いていたというのに、すっかり雨も上がって、13人の方が集まった。
本日のテーマは『初期ルネッサンス美術・・モニュメンタルな人物像と透明な光に満ちた風景』、講師は西洋美術史家、Sさんである。

 初期ルネッサンス美術のジョット及びシモーネ・マルティーニに連なる画家たち、フィレンツェでモニュメンタルな造形に取り組んだブルネレスキ、アルベルティなど、或いはピエロ・デッラ・フランチェスカのことなど、スライド撮影を入れて約二時間半、素人には難しい部分もあるが、充実した講義で皆満足の様子。そして、スライド鑑賞の後は、お茶とお菓子の時間は講師を囲んでの美術談義。

 恒例となった二次会は参宮橋の鳥屋『鳥一』。久しぶり参加のT・辻氏、R・神谷さんなども交え、美術の話、映画の話、龍馬伝の話など、実に賑やかに盛り上がった。(山)


お茶会での美術談義に盛り上がる




ナポリ宮廷の美の傑作、カポディモンテ美術館展

2010年07月21日 | ルネッサンスなど西洋美術を見る眼
 国立西洋美術館でイタリアを代表する美術館の一つ、カポディモンテ美術館展が開催中である。ナポリを見下ろす丘の上に建つこの美術館は、ブルボン家のカルロ7世によって建造された宮殿をそのまま美術館としたものであり、母方のファルネーゼ家が収集したルネサンス及びバロックの美術品を受け継ぐと共に、ブルボン家が統治したナポリの美術を収蔵、膨大なコレクションとなっている。

 そんな訳で、今回の展覧会にはルネサンスからバロックまでの名品が展示され、見応えあるが、私の目に止まったのは、今回の目玉出品作、パルミジャーニの『貴婦人の肖像』、グイド・レーニの『アトランテとヒッポメネス』や、ベルナルディーニ・ルイーニの『聖母子』、ティツィアーノの『マグダラのマリア』、エル・グレコの『燃え木でローソクを灯す少年』などであった。(山下)




パルミジャニーノの『貴婦人の肖像』・・緻密な描写の美しさが溢れるような作品である。衣装や毛皮の描き方など凄い。


ベルナルディーノ・ルイーニの『聖母子』・・レオナルドの作品とされてきた気品溢れる作品。背景の黒が明暗効果を出している。

グイド・レーニの『アタランテとヒッポメネス』