ポン太よかライフ

得した気分、首都圏見て回りの旅、美術館散歩

ブリューゲルの動く絵

2011-12-22 06:54:16 | 映画

渋谷のユーロスペースに行きました。

上映されたのは摩訶不思議な映画
ピーテル・ブリューゲル《十字架を担うキリスト》の絵が実写で再現され、
中にいる人々がそれぞれに物語を紡ぎだします。

圧巻の描写は、断崖の岩山の頂上にある巨大な風車小屋
風が唸り、大きな車輪が悲鳴のようなきしみ音をあげながらゆっくり動いて粉を引くさまは力強く
ハウルの動く城のようでおもしろい。
機械の動きの面白さと対象に、雲にも届くばかりの高みにあるため、ひとたび風や雲や嵐にさらされると、
自然がみせる迫力も本当に怖い。
よくこのような映像が撮れるものだと技術に感心します。

ここから見下ろす粉ひき親父が神のような目線で下界を望むと、
素朴でつつましい村人の生活が赤い服のスペイン兵の暴力にさらされている現実が見えてきます。

中世の魔女狩りや、宗教弾圧を連想する目を覆いたくなる虐待や拷問にも、多くの人々は他人の不幸には割と鈍感で、
目を覆うばかりの暴力や虐待に嘆き悲しむ人がいる一方で、驚いたり怖がったりはするものの、ぼんやりと遠巻きに見物する人もいます。

そこでは、聖書のキリストが十字架にかけられても、多分神話のイカロスが墜落しても、
感情移入することもなく、ささやかな自分の生活の楽しみの中だけに懸命に思いを寄せて生きている人々がいるかのように
職業やら生活の異なる沢山の人々が一緒の画面に描かれています。

時折流れる音楽、農民の踊りに使われるドミッラソ、ドミッラソ、ドミッラソ、ドミ~という単調な笛の音も
何が起ころうと日々の生活は変わらない、16世フランドルの無教養で非力な村人のある種のたくましさが
にぎわいのある不思議な風景から伝わってくるようです。

映画公開を記念して、来場者には24日にはベルギーを代表するチョコ、レオニダスのマノンカフェホワイトとモザイクビターのセット、
                    25日には、ベルギーのトラピス・ビール「オルヴァル」のクリスマスプレゼントがあります。

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