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「奥州安達原」「連獅子」二月歌舞伎座

2021-02-03 21:12:15 | 見る
二月歌舞伎座、二日の初日に第三部を見てきました。
第三部は勘九郎・七之助メインで「奥州安達原」「連獅子」、十七世勘三郎(二人のお祖父ちゃん)の追善。子どもたち二人も出演。

まずは「奥州安達原」袖萩祭文と呼ばれている場。
源義家と安倍貞任・宗任兄弟の戦の話で、ヒロイン袖萩の父が源方であるのに、袖萩は敵の貞任と結ばれて何年も前に家を出たっきりという設定。
父が切腹しなければならないと聞いて心配した袖萩が館へ忍んで来るのだが、袖萩は辛苦の果てに盲目になっている。雪の中、みすぼらしい物乞い姿で幼い娘の手を引き、むしろをかぶった袖萩が、こっそり庭先からようすを知ろうとして、木戸口にたどり着く。
このお芝居は後半は貞任・宗任と源義家が登場して、実はナニナニという「見あらわし」がある歌舞伎のお決まりの展開で、貞任の衣装のぶっかえりやら、長い白旗と長ーい赤旗の小道具やら、華々しいのだが、前半はまるで違った雰囲気で、家に入れてやりたくともできない立場の父母と、袖萩母娘の哀れな姿が見せ場。盲目の薄幸の美女に健気な幼い娘、そこに降りしきる雪と、哀れさの詰め合わせのような「愁嘆場」ですね。
今回、娘を勘ちゃんの次男・長三郎くんがやっています。この役はものすごく仕事が多い!お母さんは目が見えないので、娘があれこれやってあげる。むしろを敷いたり三味線を渡したり、自分の着物を脱いで着せかけてあげたり、もちろんうしろの黒子さん(この場面は雪の場なので、白子)がやらせてくれるわけですが、段取りは当人が覚えてなきゃならない。立ったり座ったりセリフを言ったり泣いたりすがりついたり、後半にお父さんが出てくると、お父さんにもすがりついたりしなきゃならない。
長三郎くんは7歳かな、上手だったの!ちゃんとできてました。以前は、お父さんにガンガン怒られてもモゾモゾしたりぼーっとしてたのに、今回はちゃんと悲しげに見えるし、健気な情がある。成長したねえ!
お母さんが七之助叔父ちゃんなので、良い組み合わせね。七之助ははかなく美しく、初役ということだが、落ち着いて見える。


二番目は勘九郎・勘太郎の「連獅子」
去年の自粛期間にずっとお家でお稽古していたのが実ったのね。勘太郎くんはまだ9歳、連獅子の最年少記録だそうです。これまでの記録保持者はお父さんだったんだって。10歳で。
勘太郎くんは去年あたり急に背が伸びて大きくなったなぁと思ってたけど、今回、お父さんのあとに続いて出てきたとき、思わず「わ、ちっちゃ!」と声が出ちゃったわ。大人と並ぶと、同じ衣装だからよけいに、ちっちゃい!
踊りは元気いっぱい、いまの体格体力でできるめいっぱいの体の使い方で、大きく動いてて、とてもいいと思いました。きちんとした踊り。お父さんのような踊りの名手になれるかはわからないけど、こんなにきちんと踊れるのは、いいですね。花道を後ろ向きに走りこむのも(子どもだからやらせないかなと思ったけど)やって、拍手喝采。


さて、お父さんですが、袖萩祭文のほうでは、貞任役。この役もすごく仕事が多い。以前に見たときは初役のときだったのかな、段取りでいっぱいいっぱいな感じだったけど、今回はそのいろんな作業も「手に入った」感があって、堂々と見せ場にしてた。
この役、珍しいのは、衣装のぶっかえりがあって、公家の扮装で登場していて実は武将の貞任だったのですと見せたあと、ラストにもう一回公家の姿に戻すんですよね。よくそんなことできるなぁと思うけど、サササッと衣装を戻すの、驚くわ。
連獅子の親獅子は、子を見守るようすが大きく見えるし、勘ちゃん立派になったなぁとしみじみ思っちゃった。二人の息子たちの成長は誇らしいでしょう。「連獅子」終わったあと、拍手が鳴りやまなかった。
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