Parsley & たんぽぽ日記

おもいつくまま

絵をみにいこう! (素敵な美術館  Ⅱ)

2005-07-21 19:51:26 | Weblog
 私が秋野不矩さんの作品に出会ったのは、今から20年位前になります。友人にいい絵があるから観に行こうと誘われ、(どこの美術館だったかは、忘れてしまったのですが) そこで初めて秋野さんの絵を観たのです。
 絵に対して、今ほど思い入れのない頃でしたので、ただまあそんなにいいのなら観に行ってみようかな、とそんな軽い気持ちで美術館に入った私でした。
 
 そこで最初に私の目に飛び込んできたのは、赤・黄・黒・オレンジの4つの色でした。美術館の薄暗い照明の中で、フワッと浮き上がって、そしてそれが強い光を放っていました。形としてではなく、色の強さとして私の脳に焼き付いてしまったようです。
 
 作品として忘れられないのは、「インドの女性」と、「回廊」でした。
 「インドの女性」は、真紅のストールをまとった女性の立ち姿を描いたものです。「回廊」は、回廊に差し込む強い陽射しと影の強いコントラストが印象的な絵です。回廊の影の部分に犬がねそべっているのも、面白かったです。(この2つの絵を同時に観たかどうかもうる覚えなのですが) この2作品が私の中にずっと残っていて、秋野さんが静岡の天竜市にご自分の美術館を建てられたのを知った時に、もう一度あの絵が観てみたいと思い、秋野不矩美術館まで足を運んだのでした。
 
 秋野さんの絵を観ていていつも思うのは、秋野さんが好んで描かれた<インド>の、明るく強い陽射しが、黒という影までも包み込んでしまいそうなまぶしい光の風景の中、そこに描かれた人々・動物・建物がどこか悲しげで、さびしげで、でも力強い生命力も感じてしまう。極端な二つの思いを、同時に受けてしまうのでした。  秋野さんのインドへの思いが、ストレートに伝わってくるからなのでしょうか。 ずっと観ていると、なんだかせつなくもなってきてしまい、私が秋野さんの作品を観る時は心が元気な時にしています。

 秋野さんの美術館は、緑に囲まれた小高い丘の上にありました。
 丘の上まで歩く道沿いに、古めかしい、木製の電柱が距離を置いて立っていて、その電柱が美術館の入り口近くまで招いてくれます。とても懐かしい気がしました。
 美術館は、靴を脱いで見学します。裸足で歩いていると開放されたようで楽になりました。展示室の大理石がまた、熱くなった足をひんやりと冷やしてくれて気持ちよいものでした。
 大展示室は真四角な空間でした。秋野さんの大きな作品を展示室の真ん中に座り込んで観れるのです。ひんやりとした大理石の床の上で、暑いインドの絵を見ているのも不思議な気がしました。
 美術館自体はそんなに大きいものではないのですが、自然素材で作られた安らげる空間でした。
 外観は何かの砦という感じでした。面白い建物だな。というのが第一印象でした。
 私が観に行った時は特別展示の時だったので、沢山の作品が観られたのですが、普段はそんなに置かれていないようです。
 
 暑い夏の時期に、ひんやりとした空間で絵を観ながらすごすのも、素敵な一日になるのではないでしょうか。 

Parsley




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