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「頭の中身が漏れ出る日々」北大路公子

2013年07月02日 | 本(エッセイ)
決して地下鉄で読んではいけない

頭の中身が漏れ出る日々 (PHP文芸文庫)
北大路 公子
PHP研究所


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「人生でもっともいたたまれない三十秒」とはどんな時間か。
「完全防水」という携帯を手にした時、人はどんな行動をとるべきか。
料理で失敗するたびに現れる「脳内姑」との壮絶な戦いとは。
40代独身、趣味昼酒。
札幌の実家で愉快な両親と同居するキミコが、
ぐうたらな日々に頭の中で思うことを、
漏れ出るように綴っていくエッセイ集。
奥の深いくだらなさに心の底から笑いがこぼれ、
何となく元気になれるかも。


* * * * * * * * *


私は本作でまた、禁を犯してしまいました。
うっかり地下鉄の中で読んでしまいまして、
まあ、乗り過ごしたりはしなかったものの、
あまりの可笑しさにプッと吹き出してしまい、
非常に恥ずかしい思いをしました・・・。
前回散々懲りたたはずなのに・・・。
(その時の顛末はこちらをどうぞ→「生きていてもいいかしら日記」)


40歳独身、趣味昼酒というこの著者のスゴイところは、
なんといってもこの発想の突拍子のなさと、妄想の比類なさ。
こういう柔軟な思考ができたら、毎日楽しそうだなあ・・・などと思ってしまいます。


最大の傑作は紹介文にもある「人生でもっともいたたまれない三十秒」。
いや、これは妄想のお話ではないのでした。
実話なのですが、皆さん、こんな場面を見たらどうしますか?

午前8時のコンビニ。
缶ビールを12本買い求める40代の女性。
バッグから財布を取り出そうとしたらしいけれども、
なんと注射器が転がり出た! 
彼女は慌ててそれを拾い上げようとしたが、
キャップが外れて針が手に刺さってしまったらしい。
その彼女がその時口にした言葉は
「だ、大丈夫、これ犬なんです。」

怖いでしょ~。
どう見ても「朝っぱらから酒とクスリに走ったあげく
幻覚を見て意味不明な言葉を笑顔で口走る中年アル中兼ヤク中女」ですよね。
しかし、これこそが著者の姿なのでした。
どうしてこんなことになってしまったのかは、
是非本を読んで確かめてくださいね。


本作で最も共感を覚えたのは、雪に関してのこと。
雪に対して、
「どうせ解けるなら積もるな!」
と毒づく彼女の姿に、
おお~、札幌の同士よ!!と
ハグして背中をぽんぽん叩き合いたくなってしまいました。
今後もまた、読みたいと思います。
そのためには、公子さま、
昼酒は(よる酒も)ほどほどに、
お体大切に。

「頭の中身が漏れ出る日々」北大路公子 PHP文芸文庫
満足度★★★★☆


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