映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

引っ越し大名!

2019年09月01日 | 映画(は行)

引っ越しは戦でござる!

* * * * * * * * * *

「引っ越し大名」といわれた、ある藩主の実話をもとにしています。



姫路藩の書庫番・片桐春之介(星野源)は、人と接するのが苦手で、
いつも書庫に引きこもっては読書三昧の毎日。
そんな時、姫路藩が幕府から豊後日田への国替を言い渡されます。
藩は、度重なる国替のための借金、そして現在の15万石から7万石への減俸となることなど難題だらけ。
前任の引っ越し奉行は過労のためか亡くなっており、引っ越しのためのノウハウもありません。
ところがそんなところにいきなり、書庫番の片桐が新引っ越し奉行に抜擢されてしまうのです。
片桐は固辞するも、受けなければ切腹といわれ、無理やり職につくことに・・・。



しかし、片桐の持ち前の人の良さ。
幼馴染で武芸の達人・鷹村(高橋一生)や、
前任引っ越し奉行の娘・於欄(高畑充希)、
勘定方の中西(濱田岳)らの協力を経て、
引っ越しの準備が進んでいきます。

 

国替は、すべての藩士とその家族の大移動。
参勤交代どころの話ではなく多大な費用・労力がかかるのは想像がつきます。
まずは次の藩主を迎え入れるための引き継ぎ文書を整備するというあたりに、
職場の異動経験のある私などはリアリティを強く感じました。



費用を抑えるために家財は誰もが差別なく半分に減らすとか、
人足を雇うのをやめて、全て自分たちで行うとか・・・。
片桐は思い切った手段を切り出します。
しかし言うのは簡単ですが、相当の反発も予想されますよね。
これを成し遂げるのは本当に大変そうです。
そして最も大変なのが、減俸となるための人員削減。
つまりはリストラであります。



ここで片桐は、藩士たちをクビにするのではなく「百姓になれ」というのです。
いつかまた加俸となったときに、きっと藩に呼び戻すから・・・と。
そんな口約束など、信じられないと普通なら思うはず。
しかしそこが片桐の人柄ゆえなんでしょうかねえ・・・。
一人ひとりに直に話をして納得させるのです。
実際、ここのエピソードが本作の要。
このことにつながるラストは、涙・・・涙・・・。
理不尽な中央からの命令に翻弄されながらも、
精一杯にベストを尽くし生きようとする人々の姿・・・。
いじましいです。

片桐に星野源さんの配役、ナイスでした!!
そしてその幼馴染で、調子の良い、
しかし実は武芸の達人でもある鷹村の高橋一生さんも良かったなあ・・・。
見せ所たっぷり、本人も楽しかったのでは? 
あの槍はとても重くて大変だったそうですが・・・。
ときにミュージカル風でもあり、とにかく楽しんで見ることのできた作品でした。

<シネマフロンティアにて>
「引っ越し大名!」
2019年/日本/120分
監督:犬童一心
原作・脚本:土橋章宏
出演:星野源、高橋一生、高畑充希、濱田岳、及川光博

引っ越しの困難度★★★★★
歴史発掘度★★★★☆
満足度★★★★.5



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
楽しい映画でしたね! (こに)
2019-09-13 09:15:14
ベテラン俳優と若手(と言っていいのかな?)の絡みも楽しくて満足の映画でした。
それにしても昔の人は忍耐強かったのですねぇ。
Unknown (たんぽぽ)
2019-09-13 19:41:43
こにさま
ひたすら耐えて、幕府の言いなりになるしかなかったのでしょうねえ。そうでなければお取り潰し。そうした憤懣がたまりにたまって幕末の動乱へつながる、ということで、歴史は面白いですね。
それぞれの俳優さんの見せ所もあって、ホント、楽しかったです!

コメントを投稿