映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

北の桜守

2018年03月24日 | 映画(か行)

最果ての地で、幸せになることを拒む母

* * * * * * * * * *


吉永小百合さん出演120作目だそうです・・・。
すごいですね!
でも本作、予告編のときから小椋佳さんの主題歌が何やら暗くて重くて、
あまり是非見たいという感じではなかったのですが、結局見てしまいました。
「北の零年」「北のカナリアたち」に続く北の三部作最終章。
まあ、北海道が舞台というだけで内容は全く関連ありません。
・・・などと言いつつ「北の零年」は実は見ていない。
でもまあ、私は特別に吉永小百合さんのファンではないにしても、
いつまでもお若くキャリを保っていることにはリスペクトを感じております。

さて、1945年、樺太で家族と暮らしていた江連てつ(吉永小百合)。
夫(阿部寛)と二人の息子。
ささやかな平和な暮らしでしたが、
ソ連のいきなりの侵攻により、事態は急変します。
夫は出兵し、てつは2人の息子とともに北海道の網走を目指します。
戦後も夫は戻らず、網走の厳しい環境と貧しさの中、
鉄は必死で息子を育て上げます。
時は過ぎて1971年。
次男の修次郎(堺雅人)はビジネスで成功を収め、
15年ぶりに網走を訪れ、母を札幌の家に迎えますが・・・。
老いた母は、どこか精神が不安定な様子をのぞかせます。



樺太ではたしかにいたはずの長男が、北海道に来てからは姿を表していません。
嫌な予感を抱いてしまうのですが、
そのことには一切触れられないままにストーリーは進んでいきます。
てつさんは、脳の検査をして、医師には「アルツハイマー」ではないと診断されます。
何か過去に大きなショックとかストレスになるようなことはなかったか、
と医師は問うのですが・・・。



しかし修次郎は、仕事が超多忙そうにもかかわらず、母に付き合って旅をしますね。
これまでの思い出をたどる旅。
・・・とはいえ、殆どが辛い思い出と重なる旅なのです。
戦後まもなく闇米を運んだ道・・・。
そして稚内の港を訪れた時に、封印していた過去が蘇る。



悲惨な体験を積んだ上、こんな北の最果ての地で、耐えに耐えた生活・・・。
う~ん、やっぱり重すぎです。
本作にはケラリーノ・サンドロヴィッチ氏演出の舞台パートが交えられていて、
なにやら趣き深い雰囲気を醸しています。
口には出せない心の叫びはそのシーンで表されているわけですね。



修次郎は札幌の狸小路に、ファストフード+コンビニのような、
アメリカンスタイル・当時のはしりの店を出すのですが、
ちょうどこの作品を、その狸小路のすぐ近くの劇場で見ました。
当時のちょっとレトロな雰囲気の狸小路のことを懐かしく思いました。
その頃は映画館がいくつもあったなあ・・・なんて。



<ディノスシネマズにて>
「北の桜守」
2018年/日本/126分
監督:滝田洋二郎
出演:吉永小百合、堺雅人、篠原涼子、岸部一徳、佐藤浩市、阿部寛

最果ての地度★★★★★
満足度★★★☆☆



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