映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

騙し絵の牙

2021年03月28日 | 映画(た行)

予告編、あおりすぎでは?

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塩田武士が大泉洋をイメージして主人公を「あてがき」したという小説に、
そのまま大泉洋を起用して映画化という、話題性たっぷりの本作。
コロナ禍で公開が丸一年先送りとなったということもあり、
期待たっぷりでした。

出版不況の波にもまれる大手出版社の薫風社。
創業一族の社長が急逝し、次期社長の座を巡り権力争いが起こっています。
そんな中、専務の東松(佐藤浩市)は大改革を進め、
売れない雑誌は容赦なく廃刊しようとする。
それを受け、カルチャー誌「トリニティ」の変わり者編集長速見(大泉洋)が打ち出した手は・・・。

ストーリーは、文芸部から「トリニティ」の編集部に回されてしまった
編集者・高野(松岡茉優)の視点で語られます。
彼女の文学や仕事に対するまっすぐな姿勢が、
この有象無象の会社の中では、実にすがすがしく好印象。
彼女は今も個人書店の経営に奮闘する父の娘、という設定がいいですよね。
本好き、書店好きの者の心をくすぐります。

さてその彼女が、編集長速見に振り回されることになる。
変わり者で、独創的。
すごいと思うこともあるけれど、基本、何かが怪しい・・・という感じ、
まさに大泉洋さんの真骨頂。
松岡茉優さんと大泉洋さんのコラボが功を奏しています。

そしてコネタ的騙しの背後に、もっと大がかりな騙しが・・・というのにも納得。
オシャレな作品でした・・・。

が、しかし、予告編で、あおりすぎたのが失敗。
結局、期待していたほどのどんでん返しじゃなかったなあ・・・という印象が残ってしまった。
時々あるんですよね、こういうの。
予告編がオーバーすぎて、期待感が高まりすぎた故の失敗。

もっと普通にみていれば十分に納得のいくレベルのできではあったと思うのです。
それがために、「大泉洋」臭を消せとまで言われた、
大泉洋さん幾分控え気味の演技ではなかったのか。
それなのに予告編であんなにあおっちゃダメでしょう。

そこが、残念・・・。

<ユナイテッドシネマ札幌にて>

「騙し絵の牙」

2021年/日本/113分

監督:吉田大八

原作:塩田武士

出演:大泉洋、松岡茉優、宮沢氷魚、池田イライザ、斎藤工、中村倫也、佐野史郎、佐藤浩市

 

満足度★★★.5

 



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