映画と本の『たんぽぽ館』

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パトリオット・デイ

2017年06月11日 | 映画(は行)
知らなければフィクションとしか思えない



* * * * * * * * * *

2013年、ボストンマラソン爆弾テロ事件の裏側、
事件発生から102時間で犯人逮捕に至った実情を描く作品です。



2013年4月15日「愛国者の日(パトリオット・デイ)」の祝日は、
恒例のボストンマラソン開催日。

ボストン警察殺人課の刑事トミー(マーク・ウォールバーグ)も、
会場の警備に駆り出されます。
そしてその日、ゴール地点付近で大きな爆発があり、多くの犠牲者が出たのです。
混乱の中、怪我をした人々の救護活動に当たる警官や見物に来ていた一般市民たち。
事件はFBIの主導で、地元警察と共同体制で捜査が開始されます。
近辺の監視カメラを始め一般市民のスマホ映像などもかき集め、チェックを行い、
犯人と思しき白い帽子の男と黒い帽子の男、2名があぶり出されます。



なんとしても犯人を見つけ出す。
そういう覚悟が見えますね。
あれだけの映像の中から、不審人物を探し出すというのは至難の業に思えるのですが、
眠い目をこすりながら、不審な動きをする人物を見つけ出した
そのことに、驚嘆させられます。
そして、大きな倉庫内に再現された現場の見取り図。
犯人の動きを予測し、それなら何時何分頃にどこの監視カメラに姿が写っているはず・・・
と、答えを導くところはなんともかっこよかった。



FBIと地元警察の関係というのは、いわば日本の警視庁と所轄の関係なんですね。
大きな事件にはFBIが乗り出してきて、地元は引っ込んでいろ、と。
でもこの件については、とにかく人手がほしかったのと、
地元をよく知っている地元の警察官の協力が必要不可欠だったということなのでしょう。



逃走しようとする兄弟に車を奪われ、
拉致された中国青年が決死の脱出を図るというのも劇的ですし、
その挙句に住宅地での銃撃戦。
全く、フィクションの世界としか思えないできごとが、本当にあったことだなんて・・・。
ニュースで伝えられたことの裏で
こんなできごとがあったというのは本当に驚くばかりでした。



登場人物は、トミーのみが架空の人物で、
でもそれはあのときに働いた多くの警官たちの代表ということなのでしょう。
捜査に当たった方、怪我で障害を負った方、
最後の方でご本人のインタビューもあり、
確かに実際に起ったことなのだと、また感慨を深くしてしまうのでした。
特にあの事件で片足を失った方が、
義足でまたボストンマラソンに参加したなどということには、
人間の強さも感じられるのです。
人と人の絆の大切さを改めて思い起こされます。


それにしても、残念ながら昨今このようなテロ行為は、
少なくなるどころかますます増加しています。
根本的にこんなことを失くすためにどうすればよいのか・・・
それは多分、国家間の経済格差をなくさなければならないのでしょうけれど・・・
う~ん、あまりにも難しい。
自国の利益のことしか考えないというのが最近の風潮ですもんね・・・。


「パトリオット・デイ」
2016年/アメリカ/133分
監督:ピーター・バーグ
出演:マーク・ウォールバーグ、ケビン・ベーコン、ジョン・グッドマン、J・K・シモンズ、ミシェル・モナハン

歴史発掘度★★★★★
サスペンス度★★★★★
満足度★★★★.5




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