映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「世界中で迷子になって」 角田光代 

2016年09月03日 | 本(エッセイ)
迷子になっても懲りない根性が必要だ

世界中で迷子になって (小学館文庫)
角田 光代
小学館


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「旅」と「モノ」について、作者ならではの視点、本音が満載の一冊。
読み進めると驚くほど共感するとともに、新鮮な奥深い視点をそこかしこに感じます。
懐かしいのに新しい。
そんな魅力溢れるエッセイが文庫に。
巻末に文庫書き下ろしエッセイ「2016年未来の旅」収録。


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角田光代さんの「旅」と「モノ」についてのエッセイ集。
一人で世界中どこへでも旅をするという著者のバイタリティには驚かされます。
私は海外旅行には疎いので、そうした旅への衝動というのがわかるようなわからないような・・・。
多分、どこへ行っても人の心持ちは同じということが
わかっているからなのかもしれません。
その上で、その場所独特の何かを感じ、見出したいという好奇心。
旅の行動原理はそれに尽きるのでしょうね。


私は、言葉の壁と方向音痴が、大きな障害に感じられてしまい、
海外旅行に一人で臨むなどという意欲はわきません・・・。
意気地のない私・・・(T_T)


しかし、旅した先で、その土地特有のお酒を飲むとすごくオイシイ、
というのにはちょっとそそられました。
ギリシャならウゾー。
モンゴルで馬乳酒。
キューバのモヒート。
それも高級ホテルではなく、地元の人が行く酒場で。
これこそは旅慣れた人でなけでば味わえないもののようですねえ。


さて、そんなわけで、私としては「旅」の項よりも「モノ」の項のほうが納得することしきり。
特にモノを買うことについて。
友人が集まったりするときのために高い食材やお酒を購入するのは平気なのに、
自分だけのためには、どうしてもできない。
ついしみったれてケチケチしてしまう。

衣類を買うときにはつい、自分で言い訳をしてしまう。
「こういうのが一枚あれば絶対重宝する」とか、
「白は汚れるけど、夏だから涼しげ」とか。

おせちのパンフレットをみて、あまりの値段に呆れながらも、
でも年に一度だしなどと買うべきやいなや悩んでしまう。


うん、わかるわかる。
少なくとも現在の著者は私よりはかなり金銭的にゆとりがあると思われるのですが、
こういう金銭感覚はよく似ている。
好感が持てます。

「世界中で迷子になって」 角田光代 小学館文庫
満足度★★★.5


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