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「藪医ふらここ堂」朝井まかて

2018年01月09日 | 本(その他)
三哲の医師としての腕前は? おゆんの恋心は?

藪医 ふらここ堂 (講談社文庫)
朝井 まかて
講談社


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江戸は神田三河町の小児医・天野三哲は、「面倒臭ぇ」が口癖。
朝寝坊はする、患者は待たせる、面倒になると逃げ出す、
付いた渾名が「藪のふらここ堂」だ。
ところがこの先生、見えないところで凄腕を発揮するらしい。
三哲に振り回されながらも診療を手伝う娘のおゆん、弟子たち、
ふらここ堂の面々の日常と騒動を描く!


* * * * * * * * * *

江戸の小児医を中心にした人々の人情噺。
この医者、三哲、決して「赤ひげ」みたいに立派な医者ではありません。
「面倒臭え」が口癖で、寝坊でなかなか診察が始まらない。
空いているのに患者は長~く待たされる。
近所でも藪医者として有名。
そんな父に呆れながら診療を手伝うのが、一人娘のおゆん。
本作は彼女の視点から描かれています。
小児科にやってくる母子についてはかなり現代の風潮が投影されていて、
過保護の母親とか、モンスターめいた母親が登場したりします。
三哲はそんな母親と話をしなければならないのが「面倒臭え」わけです。


さて、そこも興味深いのですが、
私の関心は次第におゆんの恋心の行方を追うようになっていました。
まずは幼馴染の二郎助。
おゆんは幼いうちに母親を亡くしているので、
二郎助の母・お安が母親代わりで、2人、兄弟のように育ったわけです。
だから本当に、おゆんにとって二郎助はただの気やすい幼馴染。
けれども二郎助の方はそうではないようで・・・。
そしてもう一人は、薬の商いをする佐吉。
目下男やもめで、まだ幼い勇太を育てている。
これがもう、物腰柔らかな大人のいいい男! 
おゆんは時折勇太を預かったりするのですが、
密かに佐吉のことを思うと顔が赤らんだり、ドキドキしたりするのです。
さてさて、このウブなおゆんの恋心の行方は・・・。


と、そうこうするうちに、おゆんも知らなかった父三哲の出自のこととか、
御殿医に推されることとか、
話は進展してゆくので、全く目が離せません。
最後の方は、やめられず、夜更かしして読みふけってしまいました。


そうそう、もう一人ユニークな登場人物、お亀婆さんも忘れてはいけません。
誰がどう見ても間違いなく「お婆さん」の年齢なのですが、
人から「婆さん」と呼ばれると必ず「婆さん言うな!」と、返します。
一見おちゃらけた産婆さんなのですが、
しかしさすがに長い人生経験はダテじゃない。
最後に迷い路にはまり込んだおゆんに素敵な言葉をかけてくれるのは、
やっぱりこの人。
読み応えたっぷり、そしてとにかく楽しい!!
これ、NHKあたりで、ドラマ化になりませんかねえ・・・?

図書館蔵書にて(単行本)
「藪医ふらここ堂」朝井まかて 講談社
満足度★★★★★
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