映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ブランカとギター弾き

2018年09月12日 | 映画(は行)

お母さんはいくらで買えるの?

* * * * * * * * * *


製作がイタリア、監督が日本人、舞台がフィリピンという異色作。



孤児の少女・ブランカはマニラのスラム街で一人でスリなどをしながら生きています。
彼女は母親をお金で買うことを思いつき、せっせとお金を溜め込んでいるのです。
そんな彼女は公園でギターを弾いている盲目の老人・ピーターと知り合います。
ブランカは老人と親しくなり、歌を教わります。
そしてレストランで歌ってお金を稼ぐ事ができるようになります。
老人の優しく真っ直ぐな心と、自分で働いて稼ぐことを知ったことで、
もう盗みはやめようと思うブランカ。
けれど、彼女の身に大変なことが起こってしまいます・・・。

街で知り合った同じく孤児の少年が「どうしてお金持ちと貧乏人がいるの?」と尋ねるのですが、
ブランカは答えることができません。
そして答えることができないのは私達も同じ・・・。
お金はあればあるだけ増えていって、なければなにも残らない・・・
そういう今の世の中の仕組みだから・・・?



街を歩けばごく当たり前に母親と子供が連れ立って歩いています。
こんなに多くの母親がいるのなら、一人くらい自分の母親になってはくれないかな?
というブランカの発想もわかる気がする。
というのは実際に本作を見なければわからないことではありますが、
ブランカが母親と一緒に歩いている子どもたちを見つめるシーンが何度も何度もあるんですよ。
彼女にとっては「どうして母親のいる子といない子がいるの?」と尋ねたいくらいでしょう。
そして母親のいる子はみな、いい服を来て、いいものを食べていそうですし・・・。



でもそんな彼女は次第に、ピーターの元こそが我が家と感じるようになっていったのではないでしょうか。
本作はあくまでもブランカ目線ではありますが、
実はピーターの人生こそがもっと苦難に満ちていたに違いないのですよ。
盲目で持ち物はギターとアンプだけのホームレス。
そんな彼がどうしてこのような慈愛に満ちた人物でありえるのか。



たくましく生きようとする少女。
苦難を乗り越えて包み込むような愛の力を身につけた老人。
コントラストがバッチリ効いた素敵な作品でした。
この二人を見て、スリ稼業から足を洗おうとする少年もナイスでしたね!

ブランカとギター弾き [DVD]
サイデル・ガブテロ,ピーター・ミラリ,ジョマル・ビスヨ,レイモンド・カマチョ
トランスフォーマー



<WOWOW視聴にて>
「ブランカとギター弾き」
2015年/イタリア/77分
監督・脚本:長谷川宏紀
出演:サイデル・カブテロ、ピーター・ミラリ、ジョマル・ビスヨ、レイモンド・カマチョ
老人と少女の友情度★★★★★
少女のたくましさ★★★★☆
満足度★★★★.5

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