映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「こんにちは、花子さん」 眉村卓

2013年12月28日 | 本(その他)
ニヤリとさせられる、職場のストーリー

こんにちは、花子さん (双葉文庫)
眉村 卓
双葉社


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描かれている舞台は、たしかに日常の職場だ。
新人類もお局さまもいて、
仕事の進め方や上司との付き合い、昼休みの食事、職場恋愛などなど―だが、
何となく奇妙なのだ。
皆さん、お仕事ご苦労さまです。
日常からほんの少し逸脱した、不可思議な「職場」でひと休みしてください。
オフィスSFショート・ショート集。

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眉村卓氏のショート・ショート集。
本作はすべて"職場のあれこれ"を題材にしているというところがミソです。
例えば、
★神通力とも呼ぶべき鋭い推察力を身につけた人が、
 それを買われて昇進すれば全くその力がなくなってしまう。

★若き新人の頃、周囲から『魔女』と呼ばれイヤな思いをしたが、
 それは若いころの話・・・。

★見るからに好青年の武部くんは
 いきなり「君は金のやりくりがうまそうだから、結婚しよう」というが・・・

★あるチェーン店のレストランで、
 店員が皆ロボットになりきった動きをすることにしたら・・・。

★精神強化合宿にて、モーレツな会社人間養成研修を受けた横田は、
 モーレツな会社人間になったのか?

★パソコンと向き合うのは得意だけれど、人とうまく向き合えない僕は、
 ある時上司と共に出張しなければならなくなり・・・

いるいるこんな人、と思ったり、
そんなのあり?と思ったり、
なるほど~と納得させられたり・・・、
題材は普通にオフィスの出来事もありますが、
SF的に不思議な状況もあり。
変幻自在なストーリーに興味はつきません。
確かに多種多様な人が否応なく集められている場所。
学校よりも年齢構成がばらばらで、
それぞれの価値観がありますもんね。
すばらしい才能の持ち主やコツコツ頑張る人が必ずしも出世するとは限らない。
そもそもあえて出世しなくてもいいと考える人もいるし。
なんだかさえないと思っていた人が、
時を経て別の場所で輝いていたりもする。


楽しめる一冊です。

「こんにちは、花子さん」眉村卓 双葉文庫
満足度★★★☆☆


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