映画と本の『たんぽぽ館』

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ガール・オン・ザ・トレイン

2016年11月21日 | 映画(か行)
欠落した記憶に怯える女



* * * * * * * * * *

毎日、通勤電車から見えるある家を食い入るように見つめるレイチェル(エミリー・ブラント)。
そんなところから、物語は始まります。

その家には、自分が果たせなかった理想の夫婦(ヘイリー・ベネット+ルーク・エヴァンス)が住んでいます・・・
というか、レイチェルが勝手にそう想像しているだけなのですが。
レイチェル自身は結婚に失敗しているからです。
・・・ところで、そのすぐ近くにはレイチェルが住んでいた家があり、
今は元夫(ジャスティン・セロー)と新しい妻(レベッカ・ファーガソン)、
そしてその二人の子供が住んでいるのです。

レイチェルははじめ自分が失ったこの家に注目していて、
それから理想の夫婦の家に気づいた、多分そんな流れだったのかもしれません。
ところがある日、その理想の妻の不倫現場をレイチェルは見てしまうのです。
そしてまたその後、その女性が殺人死体となって発見される。

ということから、レイチェルはその不倫相手の男こそが犯人ではないかと思うわけですが、
ところが、事件があったと思われるその夜、
その家の近くでレイチェルの姿が目撃されていたのです。


次第に話がもつれてきますが、実はレイチェルはアルコール依存症で、
泥酔すると言動が乱暴になり、
そのことを後にはなにも覚えていないという悩ましい事情を抱えていました。
離婚も結局はそのためだったのです。
そしてその事件の翌朝、彼女は自身が傷だらけになって目を覚ましたのですが、
前の夜のことはなにも覚えていなかった。
もしや自分が彼女を殺してしまったのでは・・・と悩み、怯えるレイチェル。


少し、狂的にも思えるレイチェルをエミリー・ブラントが好演しています。
全体にもシックで陰鬱、どこか幻想的でもあるトーンが、
ミステリアスなムードを深めています。
自分で自分が信じられないというのは、実際つらいですよね。
けれど皆様、本作にはちゃんと合理的な「答え」があるので、ご安心を。
うわー、そういうことなのか、と虚を突かれます。
そして、男性ならば、女は怖いと思うかも・・・。


「ガール・オン・ザ・トレイン」
2016年/アメリカ/105分
監督:テイト・テイラー
原作:ポーラ・ホーキンズ
出演:エミリー・ブラント、レベッカ・ファーガソン、ヘイリー・ベネット、ジャスティン・セロー、ルーク・エヴァンス、エドガー・ラミレス

ミステリアス度★★★★☆
意外性★★★★☆
満足度★★★★☆


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