映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

フューリー

2014年12月05日 | 映画(は行)
「お前ら行け。ここが俺の家だ・・・」



* * * * * * * * * *

ブラッド・ピット製作総指揮かつ主演ということで
期待していた本作ですが、まさに期待に違わず、迫力満点の力作でした。



1945年4月。
ドイツ侵攻を果たした連合軍ですが、苦戦しています。
ブラッド・ピット扮するのは、シャーマンM4中戦車フューリー号の車長。
“ウォーダディ”と呼ばれ、仲間から信頼されています。
その日、新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)が新搭乗員に任命され、やってきます。
彼はいかにも育ちのいい、気の優しそうな青年。
でも、それではダメなのだ・・・。
ウォーダディはことさらに彼に戦争の現実を突きつけます。
そのたった一日のうちに、幾度もの戦闘があり、
そしてほんの一時のやすらぎの時を持ちながら、
戦士として否応なく成長していくノーマン。

しかし、まだ足りないとでも言うように、
彼らにはさらに過酷なミッションが下されます。
動くことができないフューリー号1台だけで、
300人ものドイツ軍部隊と戦うことに・・・。



一応女子なので、特に戦車には興味はありません。
けれど、殿方にはたまらなく血湧き肉踊るシーン多々なのだろうな。
アメリカのM4シャーマン戦車は、
ドイツのティーガー戦車よりも小さく性能も劣っていて、
その1対1の戦闘シーンはスリルたっぷりであるわけ。
また、そのティーガー戦車は、
現存する6台の内、実際に動く1台を博物館から借りだして撮影したと言いますから、
その力の入れようもわかります。
ですが、私としてはまあ、へ~、と一応スゴイと思う程度でしょうか。
やはり感動のありどころは、ノーマンの心の変化、
ウォーダディの心持ち、
そして、彼ら乗員5人の絆。
実話に基づくというところがまた、スゴイですね。



長く戦闘に加わっていたウォーダディは、
これまで目の前で亡くなった同僚や民間人、そして敵国人に対しても、
鬱屈した思いを抱えていたに違いありません。
「理想は平和だが歴史は残酷だ」
そうつぶやくウォーダディ。
そんな残酷に加担した自分を思う時、彼は生きて帰らないと決めていたようにも思えます。
だから彼は言う。
「お前ら行け。ここが俺の家だ・・・」
この時の、悲しそうだけど微笑んでいて、そしてまた恥ずかしんでいるような
ブラッド・ピットの表情がいい。
さすが。


これまであまり知られていなかったと思うのですが、
末期のナチスは女性や子供までを兵士に仕立て上げて、戦わせていたんですね。
軍の方針に従わないものは、縛り首にされているなどというショッキングなシーンも・・・。
本作は正義とか善悪の白黒をつける作品ではありません。
街を占領したアメリカ軍だって、
早速女性を引っ張りこんではヤってしまっていたりする。
軍法会議などなにもなしに敵将校を射殺。
それが戦争というもの・・・。
かつての日本でも本土決戦などということになったら、
同じような光景があったのだろうな・・・。
でも、ドイツ兵にもノーマン同様の、
きっと育ちのいい気持ちの優しい青年が、兵士として駆りだされていたわけですね。
そんなことを伺わせるラストもなかなかいい。



2014年/アメリカ/135分
監督:デビッド・エアー
製作総指揮:ブラッド・ピット
出演:ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル
激烈な戦闘度★★★★☆
戦場を生きる魂★★★★★

コメント   トラックバック (7)   この記事についてブログを書く
« 「グイン・サーガ 134 売国... | トップ | 奇人たちの晩餐会 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

映画(は行)」カテゴリの最新記事

7 トラックバック

フューリー  監督/デヴィッド・エアー (西京極 紫の館)
【出演】  ブラッド・ピット  シャイア・ラブーフ  ローガン・ラーマン 【ストーリー】 1945年4月、ナチスがはびこるドイツに総攻撃を仕掛ける連合軍に、“ウォー・ダディ”というニックネームのアメリカ人兵士がいた。カリスマ性のあるベテラン兵士である彼は、自ら...
フューリー ジャパン・プレミア (風に吹かれて)
まともな神経じゃいられない 公式サイト http://www.fury-movie.jp11月28日公開 製作総指揮・主演: ブラッド・ピット監督: デヴィッド・エアー  「エンド・オブ・ウォッチ」 
フューリー (映画的・絵画的・音楽的)
 『フューリー』を吉祥寺オデヲンで見ました。 (1)戦争映画はあまり好みではありませんが、ポスターに「アカデミー賞最有力」とあるのにつられて映画館に行ってきました。  本作(注1)の時代設定は、1945年4月(注2)。  「フューリー」と名付けられたM4中戦車シャ....
『フューリー』 悔しいほどの3つのこと (映画のブログ)
 悔しいなぁ。  『フューリー』を上映している135分間、私は歯軋りしたいくらいだった。  これは日本じゃ撮れない映画だ。  デヴィッド・エアー監督・脚本の『フューリー』は、ナチス・ドイツ崩壊目前の1945年4月における、戦車フューリー(憤激)号に乗り込む5人...
「フューリー」 (ここなつ映画レビュー)
第二次世界大戦物で、戦車戦にスポットを当てた作品。よく考えてみたら当然のことだけれど、戦車はチーム制になっていて、内部のメンバーや役割は定められている。そこには命を賭けた、友情を超えた絆が存在する。その中の一機フューリー号での戦いを描いた作品である。戦...
フューリー (銀幕大帝α)
FURY 2014年 イギリス 135分 戦争/アクション 劇場公開(2014/11/28) 監督: デヴィッド・エアー 『サボタージュ』 製作: デヴィッド・エアー 製作総指揮: ブラッド・ピット 脚本: デヴィッド・エアー 出演: ブラッド・ピット:ドン・コリアー(ウォーダ...
戦車アクションを見よ! (笑う社会人の生活)
1日のことですが、映画「フューリー」 を鑑賞しました。 1945年4月、ナチスドイツに総攻撃を仕掛ける連合軍にアメリカ人のベテラン兵士 ウォーダディーがいた 彼は 自らフューリーと名付けた中戦車シャーマンM4に3人の兵士と一緒に戦っていた そんなある日 新兵ノーマ...