きな子もあん子もけなげではありますが・・・

* * * * * * * *
警察犬を目指すラブラドール・レトリーバーのきな子と、
見習訓練士杏子(通称あん子)の物語。
これは実際に見る前に、実話であると知っていた方がいいですね。
香川県で、現在6回警察犬試験に挑戦し、
不合格を続けているラブラドール・レトリーバーきな子と
見習訓練士、川西智紗さん。
ある試験の時に、きな子が障害物を超えられず、
顔面着地したというのが有名になり、
その後も試験を落ち続けているにもかかわらず、
めげずに挑戦を続けているということで、地元では大変人気者。
その映画化ということです。
そのことを知っていないと、この作品、何だか中途半端な感じがしてしまいます。
つまり、たいていの映画は、努力と挫折の末に成功がある。
でもこの作品に結果はないわけですから・・・。
元々私は、さほどのストーリーを期待していたわけではないのです。
単に犬好きで、とにかく犬のしぐさや表情が見たかった・・・と、それだけで。
でも、実際に見てみると、
ちょっと物足りないというか、ぴんとこない感じがしてしまったんですね。
きな子は十分にかわいかったのですが。

なんだろう、結果を出さないことが前提ならば、
頂点に立たないことも、生き方の一つ
・・・というような着地の仕方をしても良かったのではないかと思うんですよね。
けど、実際はまだ試験に挑戦中なので、そうもできなかったということかな。
無理に何が何でも警察犬にならなくても・・・
「しがみつかない生き方」の愛読者である私は
つい、そう思ってしまうわけです。
警察犬になれなかったら、
これが本当に「負け犬」って・・・、そうなのかな?
あん子の見習訓練士としての仕事は、ほとんど雑用ばかりで超多忙に一日がくれていく・・・
というのはよくわかったのですが、
実際、警察犬の訓練としてどんなことをどんな風に進めていくのか。
そういうところが全く見えてこなかったのも、リアリティに欠けてしまった部分。
(実話なのに、実話に見えてこない!)
また、所長さんの、放任主義もわかりますが、
何一つ指導もしないのではね・・・。
精神論だけではいくら何でも無理。
うどん屋さんを継ぐことになった、先輩の描き方も中途半端です。
「天然コケッコー」の夏帆さんは、
田舎のおっとりした雰囲気を持ちつつ、それでも微妙な女心が良く出ていて
すごく良かったのですが、
今回はこれが夏帆さんでなければならないという確信も得られません。
本当に犬のかわいさだけの作品になってしまったようで、ちょっと残念。
ただ一つ光っていたのは、女の子、新菜(にいな)ちゃん。
あの憎まれ口が快感です。
傑作です。
いつも憎まれ口しかきかない彼女だからこそ、終盤の行動が光りますね。
このように見ると、以前にみた「クイール」はすばらしかったです。
崔洋一監督作品。
同じくラブラドール・リトリーバーの盲導犬の物語ですが、
人と比べるとかなり短い犬の一生を描いていて、
犬のかわいさ、けなげさ、
そしてあっという間に老いて去ってしまう、その切なさが見事に描かれていました。
勤めを引退し、故郷に帰った老クイールの散歩道、満開の桜。
風が吹いて花びらが降り注ぐ。
そんなシーンを今も思い出します。
教訓:かわいい犬とかわい子ちゃんだけ揃えればよいというものではない。
2010年/日本/
監督:小林義則
出演:夏帆、寺脇康文、戸田菜穂、山本裕典、浅田美代子、広田亮平、大野百花

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警察犬を目指すラブラドール・レトリーバーのきな子と、
見習訓練士杏子(通称あん子)の物語。
これは実際に見る前に、実話であると知っていた方がいいですね。
香川県で、現在6回警察犬試験に挑戦し、
不合格を続けているラブラドール・レトリーバーきな子と
見習訓練士、川西智紗さん。
ある試験の時に、きな子が障害物を超えられず、
顔面着地したというのが有名になり、
その後も試験を落ち続けているにもかかわらず、
めげずに挑戦を続けているということで、地元では大変人気者。
その映画化ということです。
そのことを知っていないと、この作品、何だか中途半端な感じがしてしまいます。
つまり、たいていの映画は、努力と挫折の末に成功がある。
でもこの作品に結果はないわけですから・・・。
元々私は、さほどのストーリーを期待していたわけではないのです。
単に犬好きで、とにかく犬のしぐさや表情が見たかった・・・と、それだけで。
でも、実際に見てみると、
ちょっと物足りないというか、ぴんとこない感じがしてしまったんですね。
きな子は十分にかわいかったのですが。

なんだろう、結果を出さないことが前提ならば、
頂点に立たないことも、生き方の一つ
・・・というような着地の仕方をしても良かったのではないかと思うんですよね。
けど、実際はまだ試験に挑戦中なので、そうもできなかったということかな。
無理に何が何でも警察犬にならなくても・・・
「しがみつかない生き方」の愛読者である私は
つい、そう思ってしまうわけです。
警察犬になれなかったら、
これが本当に「負け犬」って・・・、そうなのかな?
あん子の見習訓練士としての仕事は、ほとんど雑用ばかりで超多忙に一日がくれていく・・・
というのはよくわかったのですが、
実際、警察犬の訓練としてどんなことをどんな風に進めていくのか。
そういうところが全く見えてこなかったのも、リアリティに欠けてしまった部分。
(実話なのに、実話に見えてこない!)
また、所長さんの、放任主義もわかりますが、
何一つ指導もしないのではね・・・。
精神論だけではいくら何でも無理。
うどん屋さんを継ぐことになった、先輩の描き方も中途半端です。
「天然コケッコー」の夏帆さんは、
田舎のおっとりした雰囲気を持ちつつ、それでも微妙な女心が良く出ていて
すごく良かったのですが、
今回はこれが夏帆さんでなければならないという確信も得られません。
本当に犬のかわいさだけの作品になってしまったようで、ちょっと残念。
ただ一つ光っていたのは、女の子、新菜(にいな)ちゃん。
あの憎まれ口が快感です。
傑作です。
いつも憎まれ口しかきかない彼女だからこそ、終盤の行動が光りますね。
このように見ると、以前にみた「クイール」はすばらしかったです。
崔洋一監督作品。
同じくラブラドール・リトリーバーの盲導犬の物語ですが、
人と比べるとかなり短い犬の一生を描いていて、
犬のかわいさ、けなげさ、
そしてあっという間に老いて去ってしまう、その切なさが見事に描かれていました。
勤めを引退し、故郷に帰った老クイールの散歩道、満開の桜。
風が吹いて花びらが降り注ぐ。
そんなシーンを今も思い出します。
教訓:かわいい犬とかわい子ちゃんだけ揃えればよいというものではない。
2010年/日本/
監督:小林義則
出演:夏帆、寺脇康文、戸田菜穂、山本裕典、浅田美代子、広田亮平、大野百花