泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

通夜

2014-11-09 23:47:01 | 丹下一の泡盛日記

11月8日(土)、両国で稽古の後、斉木燿さんのお通夜へ。
先日NYでお世話になった岸本一郎さん「顔を見ることができるなら日本に行く!」と飛行機に飛び乗った。
さすが岸本さん。そして、さすが斉木さんだ。
斎場はかつてたくさんの演劇人が訪ねてくれた「静荘」の近く。
NYから来日した岸本チームの俳優たちもそこで暮らしていたことがある。
斉木さんも何度も泊まりに来てくれた。
久しぶりにその街に。
懐かしい小さな蕎麦屋でたぬき(ここでこれしか頼んだことがない)をすすっていたら岸本さんから電話。
斎場には、すでにものすごくたくさんの人が集まっていた。
小さな会場に入りきれない長蛇の列。
斉木さんの「人徳」だ。
読経が終わり棺の周りに人々が集まる。
供えられたいくつかの写真の一枚には自分も写っている。
「あの頃」を思い出さずにはいられない。

「同窓会」状態の人々はぞろぞろと駅前の居酒屋に。
芝居の打ち上げのように「献杯」し、ぐびぐびと飲む。
あっという間に酒が回りハイな状態の笑い声や叫び声が。
みんな一生懸命耐えているのだ。
そして一人になりたくないのだ。
時間も遅くなり、そろそろか、とトイレに行って戻って来たら一人が嗚咽している。
優しい顔がその周りに集まっている。

長年のパートナーだったおがやゆりえさんと話す。
気がついたら涙が止まらない。
いかんいかん。泣きたいのはおがやさんの方なのに。
早々に辞する。
帰宅して飲み直すのだが、全然酔わない(と自分では思っている)。
深夜、1987年に斉木さんと一緒に仕事したMとスカイプで話す。

告別式には立ち会えない。
稽古があるからだ。
午後、稽古が終わって16時。
うつそみの斉木さんはいなくなったことだろう。
「次」へ移動する車の中で手を合わせた。

コメント
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