泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

ハングルで名前を書く(日本人の)子ども

2011-07-26 19:27:43 | 丹下一の泡盛日記
金沢での合宿でのこと。
谷川さんのワークショップで子どもたちの好きな歌を一人ずつ教えてもらったのだが、何人かはK-popの曲をあげた。
そして一人は白板にハングル文字でタイトルを書いた。
彼女はお茶を飲む紙コップにもハングル文字で自分の名前を書いていた。
本当に時代は大きく変わったと思った。

自分が育った新宿の新大久保には在日韓国/朝鮮人および台湾人がたくさん住んでいて同じクラスにもごく普通に。
実は長崎でも中国名のクラスメートがいたし、沖縄と縁がある自分は最初から日本が単一民族の国だなどと思ったことなどない。
そして新宿では在日の人たちに対する差別も見聞きした。
ハングル文字で書かれたはがきをみてあざけるような言葉も聞き実に悲しい気持ちになった。

それが今やハングル文字を書けるのが「かっこいい」ことなのだ。
自分もその子どもに合わせてコップに自分の名前をハングル文字でも書いた。
その子は驚いて、そして嬉しそうだった。

1990年にはじめて韓国に行ったのは映画の仕事でだった。
「ありがとう」すら言えなかった。
くやしくて帰国後、本を買ってハングル文字の書き取りもして勉強した。
その後、自分の舞台公演で出かけた時には、メンバー11人を連れて、つたないことばでご飯食べさせたり、劇場まで連れて行ったり。
この頃はとんとご無沙汰で、言葉もほとんど忘れてしまった。
1990年からなんども出かけてソウル、スウォン、釜山、チュクサンなどで観た舞台はものすごく面白かった。
金亜羅演出の「オイディプス」「ハムレット」、オ・テソクの「楽屋」(清水邦夫の)やタイトルは忘れてしまったが強烈に記憶している時代劇。
イ・ユンテクの作品、エンターテイメントだけど2回観た「ジャンプ」、そして3回観た「地下鉄1号線」。


日本では「韓国はどれくらい日本から遅れているのか?」という質問をしばしばうけた。
この話にならない誤差はいつ解消されるのかと思いつつ。
将来、韓国の映画やテレビドラマが日本でもたくさん放映され韓国のスターのファンクラブができると思う、と応えていた。
誰からも相手にされなかった。

シンガポールのディック・リーが来日した時、当時ロンドンではやり始めていた最新のファッションでテレビ番組に登場した。
それは自分が子どもの頃流行った裾が広がったベルボトムタイプのパンツで、彼が出演した日本のテレビのタレントたちは、その「古さ」を話題にした。
ある記事でも「彼はロンドンの最新のファッションだと言うが、どうみてもタイムマシン感覚」と書かれていた。
自分は新聞社にいたので、それが本当にロンドンの最新ファッションだと知っていた。
その後、ややしばらくして日本にも入ってきた。
日本が一番早くて新しい、とどうして思い込んでしまうのか。
20年近くたってたまたまみつけたユーチューブの画像を見ながら思う。
あの記事を書いた人は今どうしてるんだろうなあ?
こういう時差、誤差は少しは埋まらないのだろうか?

鎌倉の帰りに海岸線を通る。
タイ、韓国、ブラジル、ネパールの旗が翻っている。
それぞれの海の家でその国の料理が供されるのだろう。
かつて韓国料理、というだけで「辛いんだろう?」とかタイ料理は「(ナンプラ)臭い」とか言われつつ、自分一人でばくばく食べていた。
だって美味しいんだもの♪
ほんと、いい時代になったもんだ。
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ヒグマ春夫さんのパフォーマンス、素晴らしい!

2011-07-26 11:09:01 | 丹下一の泡盛日記
昨日、午前中でかけていったん戻りわらわらと事務仕事すませて新宿へ。
久しぶりに来たなあ新宿文化センター。
この界隈は時分が育ったエリア。
中学生の頃、このあたりをよくうろついていた。

用事を済ませてそのエリアに突入。
午後早い時間だったのかいくつかのチームが見回りなのか、打ち合わせ終わらせたのか。
いかついスーツの5~6人。
一目で「その筋」とわかる。
この陽気でスーツじゃ暑いだろうと思う。
一人はネクタイ外してシャツの前を開けていたのですれ違う時に胸まで入れた入れ墨が見える。
別のチームとすれ違う。
かならず指を確認してしまうのだが、最後尾の一人は小指を詰めている。

なんかこの感じが「なつかしい」。
ほんと物騒なところで育ってしまったものだ。
そして、誰かが「警官が若く見えたら年取った証拠」と言っていたが、
このヤクザたちがみんな「若く見えた」。
年とったのかなあ。。。
みんな若くてイキがよくて何人かはとてもまじめそうだ。

明大前で打ち合わせの後、ヒグマ春夫さんの「映像パラダイムシフトーvol.30 波動その2」に立ち会う。
1部は昨年の秋、フランスで上演されたインスタレーションの記録映像。
これも素晴らしかった。
「やられた!」という瞬間があって、終演後「パクらせて下さい。あれやってみたいです」とヒグマさんに。
2部が「波動その2」。
素晴らしいパフォーマンスだった。
よく説明できないのだが、たくさんのポイントが自分にヒットしてくる。
流れ続ける文字、映像のフィードバック、ライブペインティングとダンスと情報量がいつになく多い。
そしてその一つひとつがすべて同じことを伝えようとしているように思えた。
時には渦になり、時にはばらばらに「波動」を送り続けている。
刺激的で興奮する時間。
終演後、うちあげでヒグマさんと話す。
これもまた刺激的な時間で幸せに。

幸せな気持ちで終電よりはやめの電車に乗ったら、そのまま乗り過ごして久里浜駅に。
お金は持っていたがタクシー代が勿体ないのでその辺で横になる。
誰かが「大丈夫ですか?」と猫なで声をかけてくる。
適当に返事して寝続けた。
1時間くらいで目が覚めると鞄が離れたところにある。
おかしいなと思いつつ中を調べると財布から札だけが抜き取られている。
それとiPodが無い。
iPhoneやカードには手を出さなかったようだ。
せこいプロの仕業だ。
多分、あの時声をかけてきた男だろう。
経済的にきつい状況でこの1週間を過ごすためにおろしたばかりの金をとられたのはきついが、札とiPodだけだったのだから、不幸中の幸いとすべし。

以前、同じように乗り過ごす人が多かった浦和駅で泥酔者から財布を抜き取り札だけとって捨てる事件が多発したと聞いた。
久里浜もそうなんだ。
大昔、新宿の自宅付近には辻強盗が出たのを思い出す。
始発で帰宅。

体験てんこ盛りの一日だったねえ♪

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