不肖Tamayan.com駄弁録

「英雄は自分のできる事をした人だ。凡人はできる事をせずに、できもしない事を望む。」byロマン・ロラン

"MIND HUNTERS"―戦慄の演習

2006年09月26日 00時18分56秒 | 徒然駄弁-映画編
マインドハンター

アミューズソフトエンタテインメント

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 最近、気分転換を兼ねて、久しぶりにDVDを何本かレンタルした。今日は、その内の一本を紹介しよう。今回紹介するのは、"MIND HUNTERS"(2004年米国。邦題『マインドハンター』。以後、邦題。)、である。久しぶりにレニー・ハーリンの名を見た、なかなか面白い映画である。
 ヴァーニジア州クアンティコ。米国海兵隊の広大な基地敷地の一角に、ある学校がある。知っている人もいようが、かの地にFBIアカデミーがある。FBIに採用され、未来の捜査官を目指す訓練生達が、日夜訓練に勤しんでいる。ここに、訓練も終盤に差し掛かった七人の訓練性がいた。いずれもプロファイラー(心理分析官)を志し、実際の事件を模倣した演習を繰り返していた。
 ある日、教官から新しい演習が提示される。ノースカロナイナの沖合いに浮かぶ小島で、外界との接触を全て絶ち、教官が設定した「事件」を解決するテストが、訓練生達に課される。軍の演習場でもある件の島には、一般的な米国の街が再現されている。訓練生達にすれば、かような環境で実施する以外、いつも通りの演習になるはずだった。
 しかし、「捜査」の過程で、仲間が次々と何者かに殺害される事件が発生した。街にいるのは、七人の訓練生と演習に同行した一人の刑事のみのはず。疑心暗鬼が募り、訓練生達がお互いを疑い出す中、犯人が予告した時間に、一人また一人と訓練生が惨殺される。演習は一転して生き残りをかけた実戦に切り替わり、訓練生達は、習った全ての技術を用いて犯人を捜す。そして、犯人に辿りついた時、衝撃の事実を目にする。
 以上が、本作の大まかなあらすじである。訓練生と犯人との息詰まる心理戦を、描いている。孤立無援の孤島で人が一人ずつ殺されていくという設定は、珍しくはない。しかし、殺す側と立ち向かう側がお互いの心理を読みながら進む展開は、なかなか面白い。訓練生達は、プロファイラーの卵として犯人の心理を追うが、実は逆に犯人に心理を読まれ追い詰められていく。そこが、本作の見所であろう。
 また、造りもしっかりしている。この手の推理モノは、真相発覚時の衝撃を演出するため、途中で真犯人を観客に悟らせてはいけない。本作に関しては、恐らく真犯人を推測出来る人はいないだろう。誰もが怪しく、無実は殺されなければ証明されない。それ故、真犯人が分かるその瞬間まで、緊張が続く。その意味で、見せ方も良い作品である。さすがはレニー・ハーリン、といったところであろうか。
 ただ、一点残念なのは、全体的に演技が良くない点である。教官役にヴァル・キルマーが、演習に急遽参加した刑事をLL・クールJが演じている。また、訓練生の一人を、クリスチャン・スレイターが担当している。しかし、定評のある俳優が揃っている割には、あまり演技に魅力を感じない。上述の通り脚本は良いのだが、出演俳優が上手く脚本の味を出し切れていないように思える。それ故、全体的に物足りなさを感じ、率直なところもったいないと思う。
 かような残念なところがあるにせよ、設定や脚本は大変面白いので、観る価値はあると思う。ちょっとした頭の体操にもなるので、巷に溢れる陳腐なサスペンスに飽きた人を中心に、お勧め出来る作品であろう。
 
 

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