不肖Tamayan.com駄弁録

「英雄は自分のできる事をした人だ。凡人はできる事をせずに、できもしない事を望む。」byロマン・ロラン

"L.A.confidential"

2006年09月08日 00時49分09秒 | 徒然駄弁-映画編
L.A.コンフィデンシャル

ポニーキャニオン

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 昨日は映画自体からは離れて映画を語ったが、今回は、いつも通り映画自体を語ろうかと思う。今回取り上げるのは、"L.A.confidential"(1997年米国。以後、本作。)、である。1950年代初期の米国ハリウッドを舞台にした、非常に優れたサスペンスである。
 ある日、ハリウッドのカフェで、六名の男女が殺害された。捜査の過程で、有名女優に似せた娼婦を使った売春組織が浮かび上がる。そこで働く一人の娼婦と二人の刑事が接点を持った時、事件は複雑な軌跡を辿る。公私混同と反目を繰り返す刑事達。徐々に明らかになる真相と警察内部の腐敗。衝突しながら真相を知った刑事達に、物語の終幕が衝撃となって襲う。
 以上が、本作のあらまし、である。本作は、冒頭で述べた通り、優れた作品である。上映された年のアカデミー賞(最優秀脚色賞・助演女優賞)を獲得したのも、頷ける。まずは、全体的に絵が非常に綺麗である。五十年代初期の空気を鮮やかに再現しており、同じ時代を舞台にした他の作品に比して格段の臨場感がある。
 また、当然ながら、脚本も良い。正義感溢れる刑事が組織の腐敗と戦うという構図は陳腐だが、見せ方が良い。その見せ方も一見オーソドックスだが、観客に答を予測させない展開は、よく出来ていると思う。ただし、見せ方を紹介するとネタバレになるので、ここでは言及を避ける。
 さらには、サスペンスの展開と同時併行で進む、人間ドラマも非常に良い。一人の娼婦と二人の刑事の関係が複雑に絡む様は、非常に見応えがある。その三人の関係が捜査に波紋を投げかけ交差していく展開は、相当ドロドロしているが、人の業をリアルに表現している。
 そして、何よりも、出演俳優陣の演技が素晴らしい。主人公となる二人の刑事を、ラッセル・クロウとガイ・ピアーズが担当している。彼等を鋭敏な頭脳で支える刑事をケヴィン・スペイシーが、彼等のボスをジェームズ・クロムウェルが、もう一人の主要登場人物である娼婦をキム・ベイジンガーが演じている。
 いずれの演技も素晴らしく、文句の付け所が無い。絵や脚本の見せ方も相まって、思わず物語に飲み込まれる。二時間強の少し長めの映画だが、全くその長さを感じさせないほどである。観終わった後も、良い余韻に浸り、満足感に満たされる。拙者はレンタルビデオで観たが、率直なところ、劇場に足を運ぶ価値はあったと思う。
 とにもかくにも、本作は、名作である。有名作品なので既に観た人も多いだろうが、まだ観ていない人には、是非一度観て欲しい作品である。

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