タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

入れ歯とペッサリーは必需品?

2013-10-02 20:48:15 | 婦人科
退院おめでとうございます。
いつもはこんな風景です。

水曜日はタマル産では手術日です。
流産の方の手術だとか、予定で帝王切開される方だとか、
陣痛誘発剤を使わないといけないお母さんの誘発なんかは水曜日にします。
もちろん緊急でなら、24時間、いつでもできますよ。
だから水曜日は婦人科のお話をすることが多いのです。

意外と多い病気に、子宮下垂というものが有ります。
読んで字の如く、子宮が下がる病気です。
どれくらい下がるかと言えば、膣の入口まで下がってくると、
何か挟まったような感じがするので、クリニックを受診されるようです。
もっとひどい方も居られて、コロッと、子宮を含む袋状のものが出て来たりします。
こうなると子宮脱と言って、呼び名が変わるのです。

なぜ子宮でなく袋状のものと言ったかといえば、
膣からぶら下がった袋には、子宮だけでなく、膀胱も入っていることが有るからです。
膀胱も子宮の隣の臓器ですから、一緒に垂れ下がってくることがあるわけで、
特別に膀胱瘤(ぼうこうりゅう)と呼びます。

誰でもこんな病気になるのかと言えば、そんなこともなくて、
赤ちゃんをたくさん産んでいる方に多いのです。
農家の方にも多いのです。腰をかがめますからね。
赤ちゃんを産んだことの無い方はまずならないでしょう。
そういう意味では苦労された方ほどなり易いというのは、少し不条理ですね。

それではどう治療するかと言えば、これは年齢によって変わります。
50歳代の比較的若い方には手術を勧めることにしています。
だって今は人生100年の時代ですからね。
この先長く、患わされずに暮らしていくなら、すっきりと子宮を取ってしまえばいいのです。
一緒に下がっている膀胱は取るわけにはいきませんから、
子宮から剥がして、お腹の中に戻し、膀胱の下の壁を周囲の膜で補強します。
子宮の後ろには直腸という名の部分の腸が有りますから、
直腸も瘤状に下がってくることが有って、この壁をも補強することが有ります。

天理よろづ相談所という病院はこの手術に長けた部長が居られたので、
私もかなりの件数をやったものです。
だから手術自体は得意なのですが、けっこう細かい手術で時間がかかるのと、
1人ではやりにくい手術なので、最近ではタマル産ではこの手術をしていません。
それでも開業した頃はやっていたのですよ。
ですから今では希望が有れば、他院を紹介させていただいています。

年齢的に50歳以下の方では、あまり下がってこないようです。
次に多いのは60歳代の方でしょうか。
60歳代の方には手術かペッサリーかを選択していただいています。
ペッサリーというのは、5センチから7センチ程度の輪っかをいいます。
少し弾力が有って、変形して膣にも入れ易くなっています。
昔のは細くて硬かったのですが、今のものは太くて柔らかいので、
膣に長期間入れておいても、だいじょうぶなことが多くなりました。

それでも、何年も入れていると、膣の一番奥のペッサリーと膣の壁が当たって擦れる箇所の
皮膚がめくれて出血しやすくなることが有ります。
そのために、3ヶ月に1回程度は、ペッサリーを取り出して洗浄します。
位置も少しずれるので、膣の壁が荒れないようになっているわけです。
これを怠って、長期間放っておくと、ペッサリーを取り囲むように膣の壁が覆ってしまい、
抜けなくなることだって有ります。
ですが定期的にさえ通院していただければ、そう問題にはなりません。

ではいつまで入れておくかですが、
人生の活動期が終わるまでです。
旅行に行ったりしなくなれば、もう用無しになるかもしれません。
入れ歯なんかと同じような感じではないでしょうか。
皆さんも将来、お世話になるかもしれないので、ちょっと覚えておいていただくといいでしょうか。

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