タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

子宮頸がん検診は若い女性こそ受けて

2017-10-16 21:59:33 | 婦人科


写真のお父さん方は、最近生まれた赤ちゃんのお父さんたちです。
生まれてすぐに抱くと、父性が湧いてきますよね。

最近、赤ちゃんを産まれたお母さんで、産後に子宮頸部の円錐切除術を受けられた方が居られます。
以前にも、産後に手術した方が居られます。
むかしはね、子宮頸がんは40代の女性に多かったので、妊娠と被ることは少なかったのですよ。
それが最近では、妊娠かどうかで初診される時に、すでに子宮頸がん検診で異常が見つかることが多くなりました。

そういう場合は、どうすると思われますか?
とりあえず、ヒトパピローマウィルスに感染しているかどうかは調べます。
とくに16番や18番の高リスクタイプだと、将来、がんになりやすいですからね。

その次には、精密検査をすべきなのです。
でもね、これにはちょっと躊躇してしまいますね。
以前、途中から転院された妊婦さんが居られたのですが、
40歳過ぎの初めての妊娠だったのですよ。
妊娠中に他院で、精密検査のために、子宮頸部を3ヶ所、数ミリ切除されたのですが、
その後に流産されてしまったのです。
やはり妊娠中の検査は、リスクが有りますね。

ですからタマル産では、妊娠中にはスクリーニング検査だけをして、
産後の1ヶ月健診の時にも異常が有れば、その時に精密検査をすることにしています。
もちろん妊娠初期に子宮頸がんの初期だと、また違った治療が必要になるのですが。
あるいは進行したがんの時もです。
この話は、以前、詳しくしたのですよね。ただし大学病院レベルの話ですよ。

それで赤ちゃんを産んだ後に、運悪く子宮頸部を切除しないといけなくなった場合、
もちろん次の赤ちゃんを産むことはできます。
そのために、子宮を半分残しておくのですからね。
もう絶対産まないというのであれば、子宮を丸ごと切除した方が安全ですよ。
というのも、円錐切除は安全で、しかも開腹手術でもないので侵襲も少ないのは良いのですが、
長期間の経過観察では、浸潤した子宮頸がんの再発や、
次の妊娠での早産などの産科的合併症の増加が報告されているのも事実ですから。

最近、不妊症で遠方から来院された方ですが、
この方の場合は、すでに妊娠される前から、中等度異形成という段階にあります。
治療としては、まず不妊治療を優先すべきでしょうね。
少しでも早い年齢で赤ちゃんを産んでおいて、
産後の状態で、2人目をどうするか、考えていかないといけませんからね。

以前はそこまで考えなくて良かったのですが、
若い女性の子宮頸がんは、びっくりするほど増えてきていますよ。
みなさんも、ぜひ毎年、検診を受けてくださいね。
赤ちゃんを産んだら産婦人科とはお別れ、とは思わないようにしてください。